ニューノーマル・ワークスタイル 第8回

Chromebookで本格的な動画制作を実現する「PowerDirector」


Chromebookのビジネス利用で注目したいのが、動画編集だ。コロナ禍による巣ごもり需要の高まりを受け、YouTubeやTikTokといった映像コンテンツの利用者が増えている。そうした映像コンテンツを自社製品のプロモーションなどに活用する企業も多い。人目を引く魅力的な動画を制作できるかどうかによって、ビジネスの宣伝力を左右するとも言えるだろう。サイバーリンクのPowerDirectorを活用すれば、そんな動画がChromebookで制作できるようになる。

文/田中亘


動画制作の入門版

PowerDirectorは、Android/iOSで利用できる動画編集アプリケーションだ。Chromebookにも対応しており、インストールするとフルサイズの画面で操作できる。PowerDirectorには、無料で利用できる体験版と月額課金のサブスクリプション版がある。PowerDirectorを提供しているサイバーリンクによれば、体験版もサブスクリプション版も利用できる編集機能にほとんど差がないという。ただ、体験版で作成した動画には、画面の右下にPowerDirectorという透かしが入る。いわば宣伝費のようなもので、透かしを気にしないでYouTubeなどに動画を投稿しているユーザーも多いようだ。そんなPowerDirectorの魅力は、簡単にプロレベルの動画を制作できること。これから動画制作を始めてみたいという人にとっては、Chromebookで利用できる手軽な入門版になる。

動画制作の7ステップ

実際に動画を制作するとは、どのような手順になるのだろうか。参考までに、PowerDirectorのサイトに紹介されている7つのステップを見てみよう。

①動画をインポートする

スマートフォンやデジタルカメラなどで撮影した動画を準備して、PowerDirectorで編集できるようにするまでの手順だ。Googleドライブと連携させて、スマートフォンで撮影した動画をクラウド経由で利用できる。もちろん、Chromebookのカメラで撮影した動画も利用可能だ。

②動画をまとめてカットする

インポートした動画は「素材」となる。例えば、3分の動画から15秒の作品を作りたいと思うならば、素材の動画から必要な箇所を抽出しなければならない。これが映像制作の過程で必要になる「カット割」である。

③プレビューウィンドウで変更点を確認する

素材からカットされた抽出映像がどのように映し出されるかを確認するのが、「プレビューウィンドウ」だ。その名の通り、動画のプレビューが見られる。

④クリップ間にトランジションを追加する

クリップとは、カットされた映像の断片のこと。複数のクリップを並べる際に、何もせずにクリップをつなげると、場面の切り替わりが不自然な動画になってしまう。映像が遷移する際に、切り替え効果の「トランジション」を設定することで、自然な動画に仕上げられる。

⑤編集ツールを使ってエフェクトを加える

①~④までの作業ができたら、タイトルや映像のエフェクトを追加する。これで映像制作の動画の部分はほぼ完成する。

⑥サウンドの調整

最後の仕上げが「音入れ」となる。ナレーションやBGMなどを追加する作業だ。動画制作というと映像の方に気を取られがちだが、テレビCMなどでは最初に耳に届く音に反応して映像を見る人が多いように、音が与える印象は重要だ。

⑦動画の保存とエクスポート

動画と音が整ったら、最後に保存して公開したい動画プラットフォームにアップロードする。PowerDirectorは、YouTubeをはじめfacebookやTikTokなどの有名な動画プラットフォームに対応している。

こうしたステップを経て、素材として撮影された動画が、人目を引く作品となるのだ。

表現の幅を広げる豊富な素材

個人で動画制作を入門的に楽しむのであれば、PowerDirectorの体験版でも十分かもしれない。しかし、ビジネスで利用しようと考えているならば、サブスクリプション版の利用が適している。先に解説したPowerDirectorという透かしが動画から消えるだけではなく、豊富な素材が利用可能となり、動画制作における表現の幅を広げることができるからだ。

ビジネスで動画を制作しようとすると、全ての素材を独自に用意するのは難しい。特にBGMのような背景音や、ベルやチャイムのような効果音を使おうとすると、フリー素材を探すのに苦労する。しかし、PowerDirectorのサブスクリプション版では、数百種類を超える写真素材やテンプレート、音楽が全て自由に利用できる。

PowerDirectorで動画制作の基本的なテクニックを理解したら、WindowsやMacを活用してさらに本格的な動画編集を行う道もある。もちろん、Chromebookだけで完結してもいいのだが、4K動画やさらに高度な合成を使いたければ、WindowsやMacが必要になる。例えば、レイヤーやシェイプを重ねて動画を合成する「マスク&ブレンド」、映像のさまざまな効果をコントロールする「キーフレーム」、オブジェクトの動きに追従して文字や画像を動かす「AIモーショントラッキング」といった機能を使って、より本格的な動画編集ができる。PowerDirectorはデータの互換性を持っているため、Chromebookで制作したプロジェクトはほかのPCでも利用が可能だ。Chromebookをきっかけとして、より高度な動画制作に進む道も用意されている。

一方で、ChromebookだけでもSNSなどに投稿する動画であれば十分に制作できる。スマートフォンでPowerDirectorを利用する場合と比べて、キーボードやタッチパッド、マウスが使えるので、快適な操作性が得られる。特に、高性能なプロセッサーを搭載しているChromebookならば、映像のプレビューやレンダリングの速度も向上する。

PowerDirectorの利用が高性能なChromebookの推奨にもつながるので、ChromebookとPowerDirectorの組み合わせは、魅力的な提案と言えるだろう。

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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著者プロフィール

田中亘(たかなわたる)

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系、ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。