働き方改革関連法案の順次施行してから約3年。当初はなかなか進まないと思われていましたが、コロナ禍によってこれまでの働き方を変えなければならない事態となり、デジタル化やリモートワークを多くの企業が実施しています。

そうしたなかで、これまでのオフィスワークと違い、リモートワークの普及で従業員どうしのコミュニケーションが欠如しており、コラボレーションによる創作能力を高めづらいという新たな課題も生まれています。

Googleでは、いつでもどこからでも同じ作業環境を確保でき、コミュニケーションを重視したサービス「Google Workspace」を展開。ビジネスに必要なさまざまなツールを提供するとともに、それぞれがシームレスにつながっており、コラボレーションを促進する仕組みになっています。

今回は、そんなGoogle Workspace についてグーグル・クラウド・ジャパンの白川遼さんと佐瀬郁恵さんにお話を伺いました。

エンジニアでありタレントの池澤あやかさん

エンジニアでありタレントの池澤あやかさん

Google Workspaceはコラボレーションを生み出すツール

ソリューション&テクノロジー本部 Google Workspaceスペシャリストの白川遼さん

ソリューション&テクノロジー本部 Google Workspaceスペシャリストの白川遼さん

白川遼さん(以下白川) 「Google Workspaceは、ご存じですか?」

池澤あやかさん(以下池澤) 「はい、利用させていただいています」

白川 「ありがとうございます。Google Workspaceは簡単に言うとリモートで仕事をするためのメールやカレンダー、チャット、ビデオ会議といったツールが1つになっているスイート製品です。

もともとは、Google社内のコミュニケーションを活性化するために社内アプリとして開発したもので、それぞれが自分のPC上だけで仕事をして、個人が最高の成果を出すのではなく、クラウドを活用しチームで、1つの場所に集まって共同で仕事を進めていくというコラボレーションを目的として開発されました。

Google Workspaceは、イノベーションを起こす文化を促進し、メンバーがどこにいても、どんなデバイスでも仕事ができ、Google検索に代表されるような使いやすさを統合した製品になっています」

池澤 「もともとは社内ツールだったんですね」

佐瀬郁恵さん(以下佐瀬) 「2020年10月にG Suiteという名称からGoogle Workspaceにリブランディングしたのですが、そのタイミングで以前の”Suite”というアプリの”集合体”から、”各アプリの境界を感じさせない、統合されたツール”をコンセプトにアップグレードしました。それに従って、さまざまな機能の拡充が進んでおります」

Google Workspac事業本部 ソリューション営業部 セールススペシャリストの佐瀬郁恵さん

Google Workspac事業本部 ソリューション営業部 セールススペシャリストの佐瀬郁恵さん

池澤 「最近、カレンダーの横にタスク管理用のアプリがあったり、メモに直接アクセスできたりと、統合化しているように感じてはいたのですが、そういうことだったんですね」

佐瀬 「Google Workspaceは、さまざまな機能を持ったアプリの集まりではありますが、個々の機能そのものよりも、組織として達成したい目的を効果的・効率的に実現することに焦点を当てて全体が設計されているところが特徴です。われわれはそのことを『さまざまな機能がシームレスにつながっていて、コラボレーションを促進する仕組みです』と説明したりします。

例えば、お客さまへの提案資料を準備しようとしたとき、社内打合せの日程調整や、作った資料のマージなど、多くの周辺作業があります。そういった作業に時間がかかってしまい、お客さまへ提供できる価値の追求やコンテンツの中身など、本来時間をかけるべき箇所に集中できない、というお悩みも多いのではないでしょうか。

また最近はテレワークが浸透し、業務で使われるアプリが増えてきています。打合せするにしても、ウェブ会議用のアプリ立ち上げ、資料を表示するために別のアプリを立ち上げるといった具合です。アプリ自体はどれも便利ではありますが、どのアプリをいつ・どのように使えば良いかなど、常に頭の片隅で考えながら仕事をしているのではないかと思います。Google Workspaceでは、ブラウザ一つでそれが実現できてしまうのです。」

池澤 「確かにいろいろなアプリを駆使していますよね」

Google Workspaceでの働き方

佐瀬 「私たちは普段Gmailの画面を開いていまして、その中にチャットやMeet(ウェブ会議)など、たくさんの機能への入り口が用意されています。また、カレンダーやタスク(ToDoリスト)とも連携しているので、ここを開いておけば仕事がほとんど完結できるようになっています」

池澤 「Gmailは普段から使っていますが、意外と連携していないですね」

仕事をするときは、Gmailの画面をメインに表示。ここからさまざまな機能を呼び出しています

仕事をするときは、Gmailの画面をメインに表示。ここからさまざまな機能を呼び出しています

佐瀬 「お助け機能という観点では、様々な場面でAIが活躍します。資料作成では、スライドを立ち上げて、キーとなる画像を貼り付け『データ探索』というボタンを押すと、さまざまなデザインをAIが提案してくれます。あまりデザインに頭を使わずにコンテンツに集中できるお助け機能です。

画像に限らず、文章を入力しても、それに応じたデザインを提案してくれるので、サクサクと資料が作れてしまいます。またデータはファイル作成と同時に“ドライブ”というストレージに自動保存されており、『保存を忘れてデータが消えてしまった』ということは起こりません」

スライドを立ち上げて、キーとなる画像を貼り付けてデータ探索すると、レイアウトされたデザインが提案されるので、作成者はコンテンツ内容に集中できます

スライドを立ち上げて、キーとなる画像を貼り付けてデータ探索すると、レイアウトされたデザインが提案されるので、作成者はコンテンツ内容に集中できます

池澤 「デザインに頭を使わないのはラクですね」

佐瀬 「ここで、この資料を使って、社内メンバーと打合せするとします。日程調整する相手が複数人のとき、カレンダーを見て共通の空きスロットを調べるだけで時間がかかった経験はないでしょうか。Google Workspaceでは、AIが空いているスロットを提案してくれるのです。

次に先ほどのスライドを予定に添付しようとすると、ポップアップが表示されます。これは、ほかの参加者に資料へのアクセス権限がないという警告になります。これに対して、ワンクリックで権限付与が完了するので、手間なく資料を共有できます。

実際にMeetで打合せを行なう場面では、Meetの画面から直接添付資料にアクセスもできます」

池澤 「すごい。そんな機能があったんですね。知らなかった」

佐瀬 「さまざまなアプリがダイナミックにつながっており、この打合せの資料は誰に共有すればいいの?Meetはどこから入るの?といったことを考えなくても直感的に一連の仕事が進められるようになっています。

また、打ち合わせをしている最中にドキュメントで共同編集すれば、一緒にアジェンダや議事メモを書いて、ホワイトボード代わりにも使えます。タスクの割り当てまでできる機能があり、割り当てた人にはメールで通知される仕組みになっています」

池澤 「知らなかった」

佐瀬 「また、音声入力により文字起こしも可能です。日本語にも対応してかなり正しく文字起こししてくれるので、議事録作成の時間短縮などにも役立ちます」

池澤 「結構ドキュメントの音声入力機能はよく使います。オンラインミーティングで自分がしゃべったものを文字起こしするという感じで」

佐瀬 「いまは、ドキュメントの機能だけなのですが、今後Meet内で自動的に議事録を起こす機能を搭載する予定です」

池澤 「それはめっちゃ便利になりますね」

ドキュメントでは、@でSmart Canvas機能が利用でき、会議の予定などの情報を取得可能。音声入力を使うことで、議事録も取れるようになっています

ドキュメントでは、@でSmart Canvas機能が利用でき、会議の予定などの情報を取得可能。音声入力を使うことで、議事録も取れるようになっています

Google Workspaceでデータ活用を身近に

佐瀬 「もう1つ本日お伝えしたいのが、現場でデータを活用するための支援機能がたくさん搭載されていることです。いまDXで企業全体でどうデジタル化に取り組んでいくか、が課題になっています。ただ、現場でデータをどう活用していくのか考えようとしても、なかなか思い付かなかったり、それを技術的に実現できなかったりというケースも多いかと思います。そうしたなかで気軽に現場のデータを知見に変えていく仕掛けがたくさん含まれているのも特徴となっています」

池澤 「現場が手軽にデータを活用できると便利ですよね」

佐瀬 「データの活用というところで、Google Cloud Searchという機能があります。御存知の通りGoogleは『ググる』という言葉もあるぐらい検索を非常に得意としていますが、Googleの検索画面をそのまま社内でお使いいただけるような形にカスタマイズしたものです。

このGoogle Cloud Searchを使うと、Google Workspaceのアプリ内で使われてるメールやドライブのファイル、カレンダーの予定など、企業内のあらゆるデータを横串で検索できます。ファイルのタイトルだけでなく、ファイル内は全文検索、画像の中の文字もOCR検索という形で、幅広く検索することができます。

池澤 「検索に関しては長けてますからその強みを活かしてますね」

Google Cloud Searchは、社内のデータを活用するための高度な検索機能

Google Cloud Searchは、社内のデータを活用するための高度な検索機能

佐藤 「また、Google Cloudで提供しているBigQueryというデータウェアハウスとも連動し、選択したデータをスプレットシート上へ数秒で持ってくることができます。データ処理はすごく時間がかかる印象があると思いますが、データを見に行っているような感覚で瞬時に手元に持ってこられるのが特徴です。Google Workspaceはデータを活用することにフォーカスして設計されているのです」

白川 「Google WorkspaceのログデータをBigQueryへ連携すると、いま部署がどういう働き方をしているのかを可視化できるんです。例えば組織間でどのくらいコラボレーションしているのかがわかるので、DXを推進するための次のアクションを一緒に考えたりできるようになります」

Google WorkspaceのログデータをBigQueryに載せて、データポータルで可視化した画面

Google WorkspaceのログデータをBigQueryに載せて、データポータルで可視化した画面

池澤 「すごい! これってBigQueryにデータを入れてBigQueryのほうでこういうボードを作っているんですか?」

白川 「そうです。BigQueryにログデータをエクスポートし、データポータルというGoogleの無料のBIツールを使って可視化しています。BigQuery自体は毎月10GBのストレージまでは無料で、それ以上を使う場合は10GB当たり25円ですので、このユースケースですと1000人の企業でも無償枠もしくは数百円以内でご利用頂けると思います。

池澤 「こういうのって、気合を入れないとできないと思っていましたが、すごいですね」

白川 「低コストで社員の働き方分析ができるので是非色々な企業様にお試しいただきたいです」

AppSheetで簡単に効率よく作業をこなす

白川 「あとGoogle Workspaceで業務の自動化ってやられたことありますか?」

池澤 「あまりやったことはないですけど、Google Apps Scriptは使ったことがあります」

白川 「池澤さんのようにJavaScriptを書ける方なら、Google Apps Scriptを使って業務の自動化はたやすいと思います。ただJavaScriptは、ある程度の知識がどうしても必要になってしまうので、誰でも自動化できるかというと難しい部分があります。

そこで、AppSheetというノーコードでアプリを作れるツールが、2020年にGoogle Cloudの仲間に加わりました。近年は専門知識のない人でもアプリを作れるというニーズが非常に高まっており、それに応えたツールになります」

池澤 「それは知りませんでした」

白川 「例えば、お客さまのアドレスや担当者のアドレスがあって、問い合わせ内容があったりする、いわゆるタスクをスプレッドシートで管理しているようなケースがあったとします。メニューの“拡張機能”から“AppSheetでアプリを作成”を選択すると、このスプレッドシートのテーブルを見て、自動でアプリを作ってくれるんです。クリック2回でアプリができちゃうわけです」

池澤 「すごい! JavaScriptいらない!」

AppSheetで自動作成されたアプリは右側のプレビューで確認できます

AppSheetで自動作成されたアプリは右側のプレビューで確認できます

白川 「右側にプレビューがあるので、どんなアプリになるのか確認できます。ここでは簡単な問い合わせ一覧みたいなものができました。あと例えば、タスクが割り当てられたら、その人にメールで通知してあげたり、チャットに通知を上げたいという場合は、オートメーションという機能を使って、簡単にワークフローを作れます。

ほかにも、自動でBotを作ろうとすると『こんなBotがいいんじゃないですか』と、AIが提案してくれます。例えば、いまシートにレコードが追加されたらメールを送る、といったことを自動で提案してくれます。誰でも業務を自動化できるのが嬉しいポイントです。

もちろん、作り込んでいくと見栄えをよくできますし、例えば、コロナワクチンの職域接種の事例として、1回目予約入れたら2週間後に2回目をGoogleカレンダーの空き状況を確認してブッキング。予約ができたらQRコードを出すようにして、受付ではそれを使って管理するといった事例もございます」

予約が完了するとQRコードを表示して、受付で読み込むことで予約の確認ができるというアプリも少しの作業でできてしまいます

予約が完了するとQRコードを表示して、受付で読み込むことで予約の確認ができるというアプリも少しの作業でできてしまいます

池澤 「便利そうですね。これはかなり業務の効率化につながるんじゃないでしょうか」

白川 「そうですね、ノーコードは、いま注目されていますね。ある製造業の事例としては社内に1万ものアプリが勝手に作られていて、みんな、どんどん業務をデジタル化しているんです。それもIT部門が作るのではなく、現場がちょっとしたマニュアル作業を効率的に処理するために作っているんです」

池澤 「1万! エンジニアチームにいちいち任せていたら、エンジニアが死んじゃいます」

佐瀬 「大規模な企業様ですと、各々の部門が自分たちの業務を効率化するために、様々なITが導入されることもあるかと思いますが、IT部門としては、そういう事態は避けたいのではないでしょうか。

それがこのAppSheetという形で実現されるようになると、どこでどのようなアプリが作られているのかが把握できるので、セキュリティや管理という面でも非常にメリットが大きいと思います」

Google Workspaceで働き方がどう変わる?

佐瀬 「コロナ禍でリモートワークが当たり前になりましたが、コロナ後のワークスタイルを考えたとき、オフィスに毎日集まってみんなで仕事をするという状況には戻らず、決まった場所で仕事をすることはないと思っています。

家庭で仕事をするとなると、どうしても子育てや介護などと自分の仕事を両立させて業務にあたらなければならなくなります。仕事の時間をより効率的に使い、時間は貴重と考えることが重要になってきます。

もう1つ、効率的に仕事をしたり離れた場所で仕事をしても、個人の力ではなくチームで働いて、その力を最大化していくことがますます重要になってきています。そういった未来の働く環境に適応していくために、Google Workspaceを活用することで効果を最大化していけると考えています。Google Workspaceで実現する効果的な働き方は、カルチャーの変革や制度の改革も併せて実施することで活きてくると思っています」

池澤 「これまでとは違う文化へ、いかに慣れていけるかが鍵というわけですね」

佐瀬 「そうですね、自治体や製造業、金融業などでも利用が広がっています。事例としましては、ANA様がコロナ禍になってから、飛行機の中で結婚式企画された際、Google Workspaceををフル活用いただいた様子を公開しています」

池澤 「ニュースにもなりましたよね。ツールを使いこなして、みんなリモートで連携しながら企画を実施までに至ったみたいな」

佐瀬 「いろんな立場の方が離れた場所で仕事されている中、どう一緒にコラボレーションしていくのかが、ストーリー化されていて事例としてわかりやすい動画になっています」

池澤 「私もいままで、ほぼ単機能でしか使ってこなかったから、意識改革が必要ですよね。こういう実践的な事例を見ると、導入意識が高まると思います」

佐瀬 「やっぱり『こういう機能があります』と言うよりも、いまの働き方が『これを使うとこう変わります』といって理解していただけるかがポイントだと思っています」

池澤 「確かに、イメージさせるのは難しそうですね」

白川 「導入前には勉強会を開いて使い方をレクチャーしたり、どのような業務をしているのかを聞いて、それをGoogle Workspaceならこうなりますとご提案しています。また年に3~4回ぐらい大きなイベントを開催していて、例えば業界別に使い方のセミナーを行ったり、新機能でこんなことができますといったことをみなさんにお伝えしていますので、ご興味があればぜひ参加して頂きたいです」

池澤 「Google Workspaceって普段、普通に使っているからある意味空気化していたんです。なので、機能の連携でこういうことができるとか新機能が搭載されたとか、あまり着目したことがありませんでした。AppSheetの件もあまり追えていなかったので、ここまで使えるんだということがわかり、すごい勉強になりました。ちょっと個人的に使ってみたいと思います」

佐瀬 「Google Workspaceは単なるツールとして見ていただくのではなく、さまざまな機能を自分たちの仕事の中でどう取り入れて活かしていけるのか、ちょっと想像を働かせていただけると非常にうれしく思っています。今後も新機能が搭載され、さら使いやすくなって参りますので、その進化にもご期待ください」

Google Workspaceが新しい働き方を実現します

ビジネスに必要なツールを1つに集約! チームコラボレーションを強化する統合型ワークスペースがGoogle Workspaceです。場所とデバイスを選ばない自由な働き方を実現し、シームレスなコミュニケーションが可能。リアルタイムで共同編集することで、組織を超えたチームワークを活かし、生産性の向上に寄与します。

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