ニューノーマル・ワークスタイル 第11回

中小企業のDX推進に貢献 Chatworkでコミュニケーション変革


2011年3月から提供を開始した純国産のビジネスチャットツールが「Chatwork」だ。フルクラウドのサービスなので、Chromebookでも100%の機能を活用できる。ビジネスチャットは、働き方改革やDXの推進に伴ってコミュニケーションやコラボレーションを加速させるツールとして注目されている。コロナ禍を経て、さらに普及が広がってきたビジネスチャットだが、なかなか導入に踏み切れない中小企業も多い。そんな企業にとって無料トライアルから始められるChatworkは、ビジネスチャット導入のきっかけとなる商材といえるだろう。

文/田中亘


中小企業に横たわる三つの課題

国内の中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けたビジネス変革で大企業よりも後手に回ってしまう原因は、大きく三つある。一つ目は「予算」だ。大企業に比べると、経営規模の小さな企業が情報システムに投資できる額は低い。それは、ハードウェアやソフトウェアといった直接的な投資だけではなく、デジタルを使いこなすために求められるIT教育の差にも通じる。

DXについては、多くの専門書やメディアで語られているが、本質的に成否を握るのは「人材」に尽きる。DXによるビジネス変革であれ業務革新であれ、それを導入して推進し、成功に導くのは、とどのつまり個々の社員の努力にかかっている。特定の社員だけが恩恵を受けるのではなく、全社的なITリテラシーの向上を図らなければ、コミュニケーションもコラボレーションも変革できない。大企業では、ITリテラシーの向上にも予算を投入できるので、二つ目の課題となる「ITスキル」のバラつきも解消される。

反対に中小企業では、個々のITリテラシーに依存する度合いが高くなるため、システムだけに投資をしても現場に定着しないケースが多い。そして、こうした原因を作ってしまう最大の課題が三つ目の「IT専任者」の不在である。この問題は、老舗の中小企業ほど深刻だ。コンピュータが業務で必須となる以前から経営基盤を確立してきた老舗の企業ほど、勘と経験を大切にしがちになる。それは人事においても同様で、本業に貢献できる人材は積極的に登用するが、ITに関しては経営者の知識も疎いため、技術の導入以前に必要とするIT人材を採用できない。こうした三重苦から、中小企業のDXは遅れてきた。そうした問題を解決する一つの糸口が、Chromebookによるビジネスコミュニケーションの促進にある。

メールとチャットの違い

「メールがあるのに、なんで別のコミュニケーション方法が必要になるんだ?」というのが、ビジネスチャットになじみのない経営者の素朴な疑問ではないだろうか。実は、そう感じてしまう経営者がいる企業ほど、組織でのコミュニケーションが上意下達になっている可能性が高い。あるいは、職人気質な組織なので「いちいち聞かないで、見て盗め」というような職場環境なのかもしれない。そこまで極端ではなくても、メールとビジネスチャットの違いを強く意識している経営者は少ない。

その反対に、ビジネスチャットに代表されるフラットなコミュニケーション方法を重視してきた経営者もいる。筆者の知る限りでは、トヨタ自動車の豊田章男氏は、10年ほど前に登壇した外資系IT企業のイベントで、ビジネスチャットによるフラットなコミュニケーションの重要性を語っていた。大企業のトップともなると、製造現場の一工員と話す機会は皆無に等しい。しかし、組織や階級に左右されないビジネスチャットがあれば、現場の悩みや問題を経営者がダイレクトにキャッチできる。DXが叫ばれるようになるよりもずっと前から、豊田氏は先端的なデジタルツールが経営にとっていかに重要かを見越していたのだろう。

そこまで大げさではなくても、スマートフォンやLINEを代表とするコンシューマー向けのSNSが普及してくると、目端の利く社員の多くはメールを使わずにSNSで業務連絡をするようになってきた。その背景には、メール特有の不便さがある。メールは紙でやりとりしていた通信方法を電子化したものなので、どうしても独特の流儀がある。相手の名前に始まり、定型的なあいさつ文や儀礼的な文章が入り、なかなか本題が書けない。その本題も、ついつい手紙のような構えた文章になってしまいがちだ。対外的なコミュニケーションであれば、そうした儀礼的なやりとりは大切になるが、気心の知れた社員同士や頻繁にやりとりする取引先が相手となると、ついつい面倒になる。そうした背景から、コンシューマー向けのSNSを使うシャドーITが広がってきた。

短期間で全社員が使える操作性

コンシューマー向けのSNSを活用した疑似的なビジネスチャットは、無駄な文章を省いて会話するような感覚でデジタルコミュニケーションを促進できる。しかし、ビジネスに特化していないチャットやSNSの利用は、セキュリティ面での懸念がある。やりとりが暗号化されていなかったり、ログイン認証が甘かったりするなど、セキュリティ対策が脆弱で情報漏えいにつながる危険性も高い。そこで、Chatworkのようにビジネスに特化したチャットツールの利用が求められる。

Chatworkは、2011年3月の発売以来、国内の中小企業に広く導入されている。その背景には、価格の安さもさることながら、難しい操作を覚えなくても短期間で使えるようになるという操作性の容易さがある。必要な情報がWebブラウザーの画面全体に表示されるので、迷わず扱える。コンシューマー向けSNSを利用した経験のある人ならば、すぐに機能を理解できるので、中小企業でもIT教育を行わずに、短期間で全社員が使えるようになる。冒頭で触れた三つの課題をクリアしてくれるのだ。

Chatworkの導入事例によれば、メールに費やす時間が1人当たり月20時間以上削減されたり、1日100件の電話が30%減ったりするなど、多くの導入効果が語られている。また、ChatworkはGmailやZoomなど各種のサービスと連携できるので、単なるコミュニケーションツールとしてだけではなく、業務のフロントエンドとしても活用可能だ。

Chatworkは、ユーザー数100人までならば無料で利用できる。提供される機能は、月額500円/1ユーザーのビジネス向けとほぼ同等だが、グループチャット数が七つに制限され、ビデオ通話が1:1までとなっている。それでも、ビジネスチャットとしての基本的な機能は利用できるので、フリープランから使い始めて効果を実感してもらうことで、ビジネスプランへのスムーズな導入へとつなげられるだろう。

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。

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この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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著者プロフィール

田中亘(たかなわたる)

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系、ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。