第12世代インテル Coreプロセッサーがマルチタスク環境を快適にする

 この数年間で働き方が大きく変化したことで、ノートPCに求められる要望や使い方も大きく変化している。インテルの第二技術本部で部長を務める安生健一朗氏は「仕事の効率性を求めて、アプリケーションをマルチタスクで使用するユーザーが増え、その頻度も高くなっています。同時にさまざまな場所で頻繁にノートPCを使用するため、バッテリー駆動時間への要求もシビアになっています」と指摘する。

 こうしたユーザーの要求を満たすためにインテル Evo プラットフォームではノートPCが満たすべき要件を提示しており、その最新版では第12世代インテル Coreプロセッサーを搭載していることが求められている。この第12世代インテル Coreプロセッサーが、マルチタスク環境の快適性の向上に貢献している。

 第12世代インテル Coreプロセッサーの進化について安生氏は「ノートPCで仕事をする場合、例えば文書を作成しながらバックグラウンドでデータをダウンロードしたり、定期的に新着メールを確認したりすることがあります。このときダウンロードするデータのサイズが大きいと、文書を作成するアプリケーションの反応が鈍くなることがあります。データのダウンロードを急いでいなければ、今作業をしている文書作成を優先することが生産性の向上につながります」と説明する。

 そして「第12世代インテル Coreプロセッサーには、このようなケースでアプリケーションの優先順位に応じて処理を自動的に分担する仕組みが実装されており、仕事の生産性を向上させることができます」と続ける。

インテル 株式会社 
第二技術本部 部長
博士(工学) 安生健一朗 氏

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第二技術本部 部長
博士(工学) 安生健一朗 氏

2種類のコアが処理を分担して高性能と省電力を両立する

 第12世代インテル Coreプロセッサーには第11世代までのインテル Coreプロセッサーとは全く異なるアーキテクチャが採用されており、コアが「P-core」と「E-core」の2種類で構成されている。P-coreは高性能な処理を、E-coreは高効率な処理をそれぞれ担当する。

 P-coreはインテル ハイパースレッディング・テクノロジーにより疑似的に二つのコアを使用することで高性能化している。E-coreはP-coreよりもトランジスタ(計算器)の数が少なく、面積の小さな一つのコアを使用することで省電力化している。

 先ほどの例では、文書の作成はP-coreが行い、バックグラウンドのデータのダウンロードはE-core が行う。優先順位の低い作業を消費電力が低いE-coreが処理することで、CPUのリソース(電力)を優先順位の高い作業に割り当てることで高速に処理する仕組みだ。

 またユーザーが起動している複数のアプリケーションの中で優先順位が高いのはどれか、どの処理をP-core、あるいはE-coreに振り分けるのかを動的かつ効率よく判断する「インテル スレッド・ディレクター」も第12世代インテル Coreプロセッサーに搭載する。

 安生氏は「インテル スレッド・ディレクターはWindows 11のスケジューラーと連携して動作し、Windows 11の標準APIに準拠して開発されたアプリケーションを組み合わせることで、P-coreとE-coreを持つ第12世代インテル Coreプロセッサーの性能を最大限に引き出すことができます」と説明する。つまり最新のインテル Evoプラットフォームに準拠したWindows 11搭載ノートPCが、マルチタスク環境を最も生産性が高く利用できるということになる。

第12 世代インテル Coreプロセッサーの革新的な進化のポイント

第12 世代インテル Coreプロセッサーの革新的な進化のポイント

内蔵GPUにCPUの処理を分散 アプリのAI機能の高速化にも貢献

 インテル Coreプロセッサーにはグラフィックス機能(GPU)が内蔵されており、第12世代のそれはさらに進化している。第12世代インテル Coreプロセッサーに内蔵される「インテル Iris Xeグラフィックス」は、第11世代のそれに対してメモリーが高速化され、2基のハードウェアエンコーダーを搭載していることが主な進化のポイントだ。

 CPUにGPUが内蔵されている利点についてインテルのマーケティング本部 ビジネス・マーケティングでディレクターを務める矢嶋哲郎氏は「インテルはXPU戦略を推進しており、アプリケーションの種類に応じてそれぞれの処理を適材適所で分散させることでシステム(PC)全体の性能や効率を向上させています」と説明する。

 そして「インテル Iris Xeグラフィックスを内蔵するインテル Coreプロセッサーでは、CPUの処理の一部をGPUに割り当てる機能が搭載されています。GPUはAIや機械学習の処理を得意とするため、Web会議での音声のノイズ除去や画像や映像の編集・加工など、AIを利用する機能がより高速に処理でき、システム全体の性能向上につながります」と続ける。

 今後、インテルは内蔵GPUに加えて外付け(ディスクリート)GPUとなる「インテル Arcグラフィックス」も提供する予定だ。インテル Arcグラフィックスはインテル Iris Xeグラフィックスおよびインテル Coreプロセッサーとリソースを共有し、処理を分散できる仕組みを持つ。今後もインテルのXPU戦略が推進され、システム全体の高性能化、高効率化が進むことになる。インテル Coreプロセッサーとインテル Arcグラフィックスを搭載するPCによって、我々の仕事もさらにはかどることだろう。

インテル 株式会社
マーケティング本部 ビジネス・マーケティング
ディレクター 矢嶋哲郎 氏

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マーケティング本部 ビジネス・マーケティング
ディレクター 矢嶋哲郎 氏