Office改めMicrosoft 365、ちゃんと知っているだろうか?

マイクロソフトはOfficeの名称をMicrosoft 365に変更した。Microsoft 365サイトのトップページでは「Office は Microsoft 365 になります〜Microsoft Teams、Word、Excel、PowerPoint などを利用して生産性を向上させましょう。すべてが 1 か所にまとめられています」と予告が載っていたが、現在は「Microsoft 365になりました」という表示になっている。

考えてみると、Office 365という名称は、一年中出社しているブラック企業みたいなイメージがなくもない。コロナ以降在宅テレワークのパーセンテージも増加したし、もはやOffice=事務所にこだわらなくても「仕事」はできる。

もっとも、多くのビジネスパーソンはOfficeという名前を長年使ってきていて親しみもあり、短くて言いやすいので、完全に置き換わるのには時間も必要だろう。

マイクロソフト社の予告ページ。現在は「なりました」の表示に変わっている

マイクロソフト社の予告ページ。現在は「なりました」の表示に変わっている

何しろWindows対応のOfficeが最初に発売されたのが1990年。Windows95の登場で爆発的に使われ出してからでも四半世紀以上が経過している。今や小学校でプログラミング教育が行われる時代だから、親子三代でOfficeユーザーというのも、あり得ない話ではない。

ところが、意外なことに、みんなそれほどOfficeのことを知っているわけではない。Officeとは何かという問いにスラスラ応えられる人は少ないだろう。Officeに含まれるアプリケーションを聞かれて、Word、Excel、PowerPointまではスラスラ出てくるだろうが、少し考えて「OutlookもOfficeか。ああ、Teamsも加わったんだよね」と言った返事が返ってくる感じの人がほとんどだ。

Officeはシームレスな使い勝手で、複数のアプリケーションを個別にも使用し、連携させることも可能だ。そうしたアプリケーションを集めてパッケージ化したソフトウェアスイートがOfficeだ。そしてそこに含まれるアプリケーションは、上記以外にもAccessやPublisher、OneDriveなど多数。

なぜこんなに多数のアプリケーションを提供することが可能なのかというと、もちろんマイクロソフト社内で開発している部分もあるのだが、優れた機能を持つ他社製のアプリケーションを買ってきて、Officeに組み込むということを繰り返してきたからだ。Excelだって元々はMac用の他社製アプリだった。これによってOfficeは、今会社のデスクで必要とされる流行りの機能を全て網羅するスイートであり続けているわけだ。

長い歴史の中で、一度はOfficeに組み込まれながら消えていったアプリもあるが、機能の一部が継承されているケースもある。Wordの数式エディターなども一時期セキュリティの問題で使えなくなったのが復活したりしている。とにかくOfficeはどんどん便利になり、いろんなことができるようになっている。そのため、「えっ、Officeでこんなことができるの?」というような、あまり知られていない機能も珍しくない。

例えば、Excelのメニューから「挿入」を選んだ際に表示される地球儀のアイコン(バージョンによってはアメリカの地図アイコン)がある。これは入力データに対応したデータの多寡を地図で表現できる「塗り分けMap」機能のアイコンだ。

地球儀アイコンで「塗り分けMap」が挿入できる

地球儀アイコンで「塗り分けMap」が挿入できる

下図のように日本の都道府県別の人口を入力して選択しアイコンを押すと、色の濃さで人口の多い少ないが分かる日本地図が表示される。ちなみに、筆者もこの機能がいつ追加されたものか、よく知らない。Officeという巨大アプリの全機能を使用したことのある人は、本当に稀だろう。

人口の多寡で濃い薄いが塗り分けられたマップが登場する

人口の多寡で濃い薄いが塗り分けられたマップが登場する

スマートワーク総研の戸田覚氏の連載「Microsoft 365で業務効率アップ!」では、よく知られた機能はもちろん、こうしたちょっと便利だが、あまり知られていない機能も解説している。いくつか紹介していこう。

戸田覚の「Microsoft 365で業務効率アップ!」(https://swri.jp/series/1)

戸田覚の「Microsoft 365で業務効率アップ!」(https://swri.jp/series/1

こんな機能まであったとは!

Excelと言えば、入力した数字を簡単にグラフ化してくれるのが何より便利だが、数値として入力していない部分まで可視化することも可能だ。「Excelを使って一瞬で予測する」では、過去や現在の数値データから、将来予測をグラフ化する方法を紹介している。

最近はWebでの翻訳サービスが盛んだが、Wordで作業している時に、文章をコピペしてブラウザーに切り替えるのは面倒だと言う人のために「Wordで英文を翻訳する」機能があるのは意外と知られていない。

今やAPIによって、Googleマップを表示しているサイトはいくらでもある。逆に手持ちの住所データをGoogleマップ上に表示したいときはないだろうか? そんな時には「GoogleマップにExcelのデータを表示する(1)」を参照してほしい。Excelデータは簡単にインポートできる。

地域の施設のリストなどをインポートして表示できる

地域の施設のリストなどをインポートして表示できる

パワポで目立ちたい時に検討してほしいのがアニメーション機能だ。「注目度UP PowerPointのグラフをアニメーションする(1)」では、グラフを動かす方法を解説している。一つの要素だけを目立たせ、注目を集める方法も紹介している。普段、Officeを普通に使っているだけでは、こうした機能はなかなか知らないだろう。

紙だけじゃない、オンラインでのOffice活用

10年前は紙のドキュメントに出力することが目的だったが、今やネットワークの時代。テレワークでWeb会議も当たり前だが、Officeはオンライン周りの機能も強化されているので、その辺の使い方にも十分に対応している。

社内外に向けてオンラインでプレゼンテーションを行う機会も増加しているだろう。対面に比べてどうも説得力が発揮されないと悩んでいる場合、「Web会議向きのパワポスライドを作りプレゼンで勝利(1)」を読んでほしい。Webプレゼンでは対面のプレゼンよりスライドの見やすさが重要だと、戸田氏は説明している。

電帳法の開始でペーパーレスも進んでいる。ドキュメント作成に圧倒的な力を発揮してきたOfficeにもプリントアウトではない使い方が求められているケースもあるだろう。「印刷されない前提で、まったく新しいOfficeの資料を作ろう(1)」は、そんなことを感じている人のヒントになるだろう。ドキュメントにリンクを埋め込めるのがポイントだ。

歴史の長さは機能拡張の時間でもある

マイクロソフトが買収統合してきたアプリとの連携や、サードパーティー制アドインなど、昔のOfficeソフトではできなかった機能が、幾つも連携している。

一時期はOfficeファミリーの扱いだった作図アプリのVisioは、今はOfficeから外れているが、その機能を実現するアドインがある。「Excelで組織図などをサクッと作成できるアドイン」で、その便利さを知ってほしい。

サードパーティー製のアドインもたくさんある。RelaxToolsはとにかく多機能。「Excelの機能を200個以上増やすRelaxToolsを活用(1)」で、使いたい機能を探してほしい。

アドインを使ったことがないと言う人は、「便利なExcelのアドインを使いこなそう(1)」から始めてもらうのがいいだろう。

Officeのアドインは多数あり、簡単に入手できる

Officeのアドインは多数あり、簡単に入手できる

駆け足で紹介してきたが、いかがだっただろうか? 何か引っかかるものがあれば、ぜひご一読いただきたい。「そんなの全部知ってる」という達人の方はスルーしていただいて構わないが、「Microsoft 365で業務効率アップ!」は毎週火曜日更新。来週は、未知のネタが出てくるかもしれない。

GoogleマップにExcelのデータを表示する(1) https://swri.jp/article/633
注目度UP PowerPointのグラフをアニメーションする(1) https://swri.jp/article/568

Web会議向きのパワポスライドを作りプレゼンで勝利(1) https://swri.jp/article/909
印刷されない前提で、まったく新しいOfficeの資料を作ろう(1) https://swri.jp/article/689

Excelで組織図などをサクッと作成できるアドイン https://swri.jp/article/826
Excelの機能を200個以上増やすRelaxToolsを活用(1) https://swri.jp/article/774
便利なExcelのアドインを使いこなそう(1) https://swri.jp/article/631

著者プロフィール

狐塚 淳(こづか じゅん)

スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、生成系AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。