柔軟で利便性の高いガジェット

緊急事態宣言が発令された2020年4月に、筆者が最初に買ったテレワーク対策のガジェットが、USBケーブルでChromebookなどと接続できるヘッドセットだ。インタビューの時に集中して相手の話を聞き、こちらからの質問を的確に伝えるためには、ヘッドセットは必須のガジェットだった。

しかし、2021年ごろになると、オンラインとオンサイトの取材が混在するようになってきた。時には、オンサイトの取材に向かう途中で、オンラインの打ち合わせが入ることもあり、ハイブリッドな働き方へとシフトしていった。

こうしたハイブリッドな働き方は、筆者に限ったことではないだろう。営業や保守サービスのように、客先に出向く機会の多い業務では、オンラインとオンサイトの混在は、さらに顕著になってきている。

そうなると、Chromebookを活用したコミュニケーションを在宅でも出先でも円滑にするためには、ケーブル接続のヘッドセットよりも、柔軟で利便性の高いガジェットが求められてくる。それが、マイク機能を備えた完全ワイヤレスイヤホンだ。

1台2役の利便性

在宅と外出というハイブリッドな取材スタイルへと変化し始めた時に、ケーブル付きのヘッドセットを持ち歩くのは「苦」と考えて、筆者は安価な完全ワイヤレスイヤホンを手に入れた。ところが、その選択はすぐに間違いだったと気付く。

まず、困るのがペアリングする機器の問題だ。Zoomなどを利用するのであれば、Chromebookとペアリングすればいいのだが、そうなると出先や移動中にスマートフォンを利用できない。Bluetoothなのだから、使いたい機器とペアリングし直せばいいのだが、その切り替えは意外と面倒だ。USBケーブルを差し替えるのとは違い、ペアリングの解除と再接続は手間がかかる。

また、出先だけではなく在宅で仕事をしている時にも、Chromebookかスマートフォンかという二者択一は不便である。USBヘッドセットの時には、片耳だけにイヤーピースがあるタイプだったので、スマートフォンに着信があったら、空いている耳で話をすれば良かった。ところが、ワイヤレスイヤホンになると両耳をふさいでしまうので、スマートフォンの着信に気付けないことや、通話のためにいちいちイヤホンを外す手間がある。

こうした問題を解決するためには、完全ワイヤレスイヤホンに少なくとも二つの機能が求められる。一つは、マルチポイントという1台2役の利便性だ。もう一つは、両耳にセットしていても、周囲の音が伝わる透過性だ。もっとも、スマートフォンの着信だけならば、マルチポイントだけでも解決できる。ただ、欲を言えば在宅で装着していても、宅配便などのチャイムも耳にしたいのだ。こうしたわがままをかなえてくれる完全ワイヤレスイヤホンを改めて探してみたところ、「Google Pixel Buds Pro」にたどり着いた。

Chromebookとワイヤレスイヤホン「[Google Pixel Buds Pro](https://store.google.com/jp/product/pixel_buds_pro)」

Chromebookとワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds Pro

マルチポイント接続の活用が便利

Google Pixel Buds Proは、Bluetooth 4.0以降に対応したAndroid OSおよびiOSデバイス、タブレット、ノートPCなどとのペア設定が可能な完全ワイヤレスイヤホンだ。利用するためには、Android 6.0以降のOSと、Googleアシスタントに対応したスマートフォン、Googleアカウントが必要になる。左右の各イヤホンには三つのマイクが装備されており、快適な通話に加えて、「アクティブノイズキャンセリング」や「外部音取り込みモード」に対応する。

そして、最大の魅力がマルチポイント接続による二つのデバイス利用だ。Google Pixel Buds Proのマルチポイント接続では、二つの音源への接続を同時に維持して、スマートフォンとChromebookからの音を素早く切り替えられる。Google Pixel Buds Proのマルチポイント接続を利用するためには、ペアリングしたAndroidスマートフォンに専用アプリケーション「Google Pixel Buds」をインストールして、「マルチポイントを使用」をオンにするだけでいい。すると、ChromebookからもGoogle Pixel Buds ProとBluetoothでペアリングできるようになる。後は、Bluetoothの電波が届く範囲でデバイスを利用するだけだ。

Google Pixel Buds Proは、「Googleアシスタント」に対応しているので、イヤホンのセンサーを長くタッチすると、音声でスマートフォンへの着信メッセージを確認したり、声で返信メッセージを入力したりできる。さらに、ChromebookもAndroidスマートフォンとペアリングしておくと、SMSやLINEなどのメッセージをChromebookから返事も入力できる。まさに、Googleのエコシステムに囲まれた快適さを実感する。
Google Pixel Buds Proの紹介をきっかけとして、Chromebookによる次世代のワークスタイルを「耳」から提案するのも効果的だ。

ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

著者プロフィール

田中 亘(たかなわたる)

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系、ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。