スマホをビジネスに活用するには?

スマホの利用時間は延びる一方だが、ほとんどの人は動画視聴やゲーム、SNSなどに時間を費やしている。仕事に使っているという人でも、会社への連絡くらいというのが少なくない。スマホを触るときくらい息抜きしたいという方もいらっしゃるだろうが、PCに向かえない時でも、スマホは手元にあるのだから、ちょっとした時間にスマホを利用して、もっと仕事の効率化を図りたいと考える人も多いのではないだろうか?

もちろん、「スマホをフル活用して」みたいなことを考えたらなかなか大変だろうが、ワンポイントの利用で、デスクワークの負担が少しでも減らせるならラッキーではないだろうか? そこで注目したいのがスマホのOfficeだ。デスクワークの中でも、長時間を占めるドキュメント作成のスタンダードツール「Office」の利用を、一部でもスマホで軽減できるなら、これをターゲットにしない手はない。

Office 365はMicrosoft 365に改名したようだが、まだまだ世間的にはOfficeという呼び名の方が馴染みがあるので、本稿でもMicrosoft 365と言った方がわかりやすい時以外は、概ねOfficeで説明していくことにする。

さて、スマホでOfficeを使う場合、PCと同じでアプリをインストールする方法と、ブラウザベースで利用する方法(Office Online)がある。PCをブラウザベースで利用している人ならスマホでも操作に慣れているからと考えるかもしれないが、画面の大きさを考えるとアプリの方が使いやすい場合が多いので、アプリをダウンロードしてインストールしよう。

App StoreでもPlayストアでも、実はマイクロソフト製のアプリが大量に登録されている。マイクロソフトで検索するとずらずら出てくる。元々スマホ用のExcel、Word、Power Pointは存在したのだが、これらがスマホ用のOfficeに統合されたのは2020年で、まだそれほど歴史があるわけではない。

Playストアで「マイクロソフト」と検索すると、たくさんのアプリが出てくる

Playストアで「マイクロソフト」と検索すると、たくさんのアプリが出てくる

しかし、スマホ用のOfficeアプリはなかなか優秀だ。スマートワーク総研では、戸田覚氏のOffice連載「戸田覚のMicrosoft 365で業務効率アップ」で、スマホのOffice利用のさまざまな情報を紹介している。各記事はワンポイントレッスンになっているため理解しやすく、関心を持った一つの記事を読むだけで、スマホでのOffice利用の技術改善に効果があるだろう。

スマホのOfficeの全体像をつかむためには「機能豊富なスマホ向け新Officeを使いこなそう(1)」の一読をお勧めする。

Microsoft 365にバージョンアップしたスマホ版Office

Microsoft 365にバージョンアップしたスマホ版Office

OneDriveによるファイル共有

会社や自宅でのPCを使用した仕事がメインだとしたら、スマホはサブ的な位置付けになる。そこで重要になるのは、PCとの連携、特にデータ共有だろう。ここでOneDriveが力を発揮する。OneDriveはマイクロソフトが提供するオンラインストレージで、基本無料で利用できる。

OneDriveを使えば単にファイルを共有するだけではなく、1つのファイルを複数人でコラボして作業を行うこともできるし、OneDrive以外のアプリからファイルを利用することも可能だ。詳しくは「AndroidスマホでOneDriveを使う(1)」「スマホのアプリでOneDriveを使う(1)」〜iPhone編をお読みいただきたい。

OneDriveによる共有が、スマホOffice活用の鍵だ

OneDriveによる共有が、スマホOffice活用の鍵だ

個別のOfficeアプリを利用しよう

ファイル共有の基本をつかんだら、個別のOfficeアプリを利用してみよう。Excelの利用法PowerPointの利用法も解説している。PCでの使い勝手とは異なる部分もあるが、全てをスマホで代替しようと考えてはいけない。大切なのは、自分でPCとスマホの役割を判断し、使い分けていくことだ。

Excelの操作もPC版とは異なる部分がある

Excelの操作もPC版とは異なる部分がある

スマホのデバイスとしての特徴を活かす

スマホのデバイスとしての特性を活かした利用法も考えられる。撮影と録音だ。ノートPCの付属カメラはオンライン会議などには有効だが、風景や物を撮るのには向かない。

対面での打ち合わせなどの録音も、スマホがあればICレコーダーなしでもいけるが、スマホ版Officeの「音声」機能を使えば、スマホに話しかけるだけでどんどんメモをとれて、そのメモをPCと共有すればWindowsの付箋として利用できる。

Officeをより使いやすくする

Office以外のマイクロソフト製のアプリも、うまく連携させればドキュメント作成の強い助けになる。手書きの数字や演算記号を認識して、データ化して答えを出してくれる「Microsoft Math Solver」などは思わず唸ってしまう機能を持っている。他にも使えるアプリがないか検索してみよう。

逆にスマホのデバイスとしての弱点を挙げるなら、やはり入力に時間がかかることだろうが、この問題についてはスマホの入力に実機のキーボードを別途入手して利用する方法も紹介している。

気になる記事があったら、ぜひ読んであなたの仕事に使えるか試してほしい。そこで得られた知識で可能なのは5分の時短かもしれないが、スマホに対する見方がこれまでとは少し変わってくるのではないだろうか?

なお、改名後のスマホ版Microsoft 365についても、今後「戸田覚のMicrosoft 365で業務効率アップ」の連載で新しい情報を紹介していく。

機能豊富なスマホ向け新Officeを使いこなそう(1) https://swri.jp/article/670
AndroidスマホでOneDriveを使う(1) https://swri.jp/article/1063
スマホのアプリでOneDriveを使う(1)〜iPhone編 https://swri.jp/article/1073
スマホのExcelでここまでできる(1) https://swri.jp/article/646
iPad、iPhone使用でパワポのプレゼンをレベルアップ(1) https://swri.jp/article/721
スマホ版Microsoft Officeの新機能「音声」がすごい(1) https://swri.jp/article/1112
Microsoftの計算アプリは√や関数の手書きも認識 https://swri.jp/article/701
スマホやタブレットでMicrosoft 365を使うなら外付けキーボードがおすすめ(1)https://swri.jp/article/724

著者プロフィール

狐塚 淳(こづか じゅん)

スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、生成系AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。