筆者プロフィール:山口健太
1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て2012年より現職。主な執筆媒体は日経BP ITpro、週刊アスキー、ITmedia、マイナビニュースなど。著書に『スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)。
2016/07/11
VAIOが2016年4月22日に発売したWindows 10 Mobileスマートフォン「VAIO Phone Biz」。本格的にビジネスユーザーを視野に入れた一台だ。当連載では数回にわたってその実力を確認していきたい。ロードテスト第1回となる今回は、VAIO Phone Bizが登場した背景や、他のWindows 10 Mobileとの違いを見ていこう。
文/山口健太
VAIOが2016年4月22日に発売したWindows 10 Mobileスマートフォン「VAIO Phone Biz」。本格的にビジネスユーザーを視野に入れた一台だ。当連載では数回にわたってその実力を確認していきたい。ロードテスト第1回となる今回は、VAIO Phone Bizが登場した背景や、他のWindows 10 Mobileとの違いを見ていこう。
ソニーのPCブランドとして国内外で高い知名度を誇ってきたVAIOは、2014年7月に新会社として独立。長野県の安曇野本社を中心にVAIOブランドのPC事業を手がけており、Android搭載機「VAIO Phone」でスマートフォン市場にも参入した。
だが、Windows PCのVAIOユーザーはWindows Phoneに高い関心を示していたという。折しもマイクロソフトは、Windows 10においてPCとモバイルのOSを統合し、共通のアプリプラットフォームを提唱。Windows PCとスマートフォンの親和性が向上したことにVAIOも注目し、法人ユーザーなどビジネス利用を想定した「VAIO Phone Biz」においてWindows 10 Mobileの採用に踏み切ったというわけだ。
注意したいのは、Windows 10 MobileではPC向けWindowsと完全に同じアプリが動作するわけではないという点だ。既存のWindows用デスクトップアプリの動作は非対応であり、Windows 10と共通で動くのは新たに導入されたUWPアプリになる。
まずは標準搭載のMicrosoft Officeや、Windows 10からの新しいWebブラウザー「Microsoft Edge」を用いて、どのような業務を遂行できるかチェックしたい。UWPアプリの不足は、個人所有のiPhoneやAndroidスマートフォンと併用することで解決できる場合もある。VAIO Phone Bizを評価する際には、ビジネスに特化したスマートフォンとみなすのが良いだろう。
それでは、さっそくVAIO Phone Bizの本体を見ていこう。
日本では海外と異なり、多数のWindows 10 Mobile機が流通している。当初は価格を抑えたローエンドモデルが先行していたものの、VAIO Phone Bizは国内で入手できるWindows 10 Mobile機として、2016年6月現在で最強スペックを誇っている。
5.5インチ・フルHDの大画面はビジネスアプリの利用に申し分ない大きさだ。CPUにはSnapdragon 617、メモリーは大容量の3GBを搭載しており、基本的な動作に不満を感じることはないだろう。
VAIO Phone Bizのスペックは現時点で国内最強。
大画面スマートフォンといえば本体の大きさが気になるところだが、幅は約77mmと意外にも細く、持ちやすい。重量は約167gとそれほど重くなく、見た目相応の重量感だ。
手に持ってみると、アルミの板から削り出されたバックパネルの質感に驚かされる。ブラスト加工による表面処理は落ち着いた印象で、精巧に彫り込まれたロゴを引き立てている。
デザイン上のポイントになっているVAIOロゴ。
インターフェイスとして注目したいのが、本体下部のmicroUSBポートだ。最新のスマートフォンでは、先進的な「USB Type-C」を採用するものも増えている。だが、実際の使い勝手を考えると、余計なケーブルを持ち歩く必要がなく、貸し借りも容易。派手さはないものの、安心して利用できるのがmicroUSBといえる。
ビジネスの現場で使いやすいmicroUSBポート。
VAIO Phone Bizは、SIMフリーのスマートフォンであるという点では他のWindows 10 Mobileと同等だ。法人向けにはNTTドコモも販売を手がけているものの、特定のキャリアに縛られることなく、MVNOを含め自由にSIMカードを選ぶことができる。
だがVAIO Phone Bizは、NTTドコモの相互接続性試験(IOT)を完了しているという点で、他の端末とは一線を画している。また、国内向けのWindows 10 Mobileとして初めてドコモのキャリアアグリゲーションにも対応。下り最大225Mbpsの高速通信を利用できるなど、ドコモのネットワークにとことん最適化している印象だ。
ドコモが公開しているIOT完了済みの製品リストでは、Windows 10 MobileはVAIOを含めた2機種のみ。ドコモの4つのLTEバンドに対応するのはVAIO Phone Bizだけだ。
IOTを通すには多大な費用と時間を要するとされており、「おおむね使えれば問題ない」格安スマホでは回避しているのが実情だ。だが、いくらLTEが日本全国に普及しているとはいえ、電波が掴みにくい場所はいくらでもある。他のSIMフリースマホがドコモの電波を掴みにくい状況でも、IOT合格済みのVAIO Phone Bizならしっかり掴める可能性がある。
日本全国に展開したNTTドコモのネットワークを、フルに活用できる。スペック表には現れにくい特徴だが、これこそがVAIO Phone Bizの最大の優位性なのだ。
現在入手可能なWindows 10 Mobileスマホとして、最高性能を誇るVAIO Phone Biz。その完成度の高いハードウェアをあらためて実感できた。次回はWindows 10 Mobileの特徴的な機能である「Continuum for Phones」の使い心地を検証したい。
1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て2012年より現職。主な執筆媒体は日経BP ITpro、週刊アスキー、ITmedia、マイナビニュースなど。著書に『スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)。
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