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こだわりのWindows 10 Mobileスマホ「VAIO Phone Biz」はこうして作られた - 第2回


VAIO株式会社 商品企画部 商品企画担当 岩井 剛氏とビジネスユニット2 ダイレクターの林 文祥氏のお二人に、新領域たるスマートフォン市場への参入意図、そしてVAIO Phone Bizの開発秘話を伺う短期集中連載。第2回では協業しての挑戦、そしてVAIOブランド製品としてのこだわりについて語っていただいた。

第2回
相互接続試験、Continuum……高い技術的ハードルは積極的な協業でクリア

VAIO Phone Biz開発者インタビュー

文/飯島範久


 VAIO株式会社 商品企画部 商品企画担当 岩井 剛氏とビジネスユニット2 ダイレクターの林 文祥氏のお二人に、新領域たるスマートフォン市場への参入意図、そしてVAIO Phone Bizの開発秘話を伺う短期集中連載。第2回では協業しての挑戦、そしてVAIOブランド製品としてのこだわりについて語っていただいた。

VAIO株式会社 商品企画部 商品企画担当 岩井剛氏

VAIO株式会社 ビジネスユニット2 ダイレクター 林文祥氏

MVNOの潮流を見据えたIOT適合・CA対応

―― 開発にあたってはNTTドコモをはじめさまざまな企業と協業されたとか。

岩井 協業のきっかけを作ってくださったのはマイクロソフトさんです。NTTドコモさんもWindows 10 Mobileを法人向けに扱いたいという意向があり、では一緒に進めてはどうかという話になりました。

 VAIOとしてもNTTドコモさんと組むことには大きなメリットがあり、まず相互接続試験(IOT)を通したり、キャリアアグリゲーション(CA)に対応できること。そして、NTTドコモさんのネットワークにしっかり対応できるということは、昨今盛り上がりを見せているMVNOの回線でも快適に使えることにも直結しますので、前向きに取り組ませていただきました。

―― NTTドコモの相互接続試験をクリアするにはいくつかハードルがあったと思いますが、苦労した点は?

 やはりアンテナ設計の部分ですね。VAIOは後発組ですので、NTTドコモさんの厳しい基準をクリアするための設計経験やノウハウを蓄積していませんので。PCの無線通信とは別次元でしたので、そのあたりは設計ノウハウを持っているODMを活用し、VAIOは応用のほうやNTTドコモさんとのパイプを活用するようにしました。

―― ボディーがアルミ削り出しというのは設計段階からの構想だったのでしょうか?

岩井 そうですね。ただ、背面全体をアルミにしてしまうと電波自体が通じなくなってしまうので、アルミと樹脂の面積配分を慎重に決めていきました。

540g以上のインゴットから削り出し、最終的に37g程度まで仕上げていく。

―― 通信性能とデザインがせめぎ合ったのですね。

岩井 はい。背面をオールアルミに、というのはもちろん理想ではありますが、必ずどこかに電波が通る素材を使わなければなりません。その中でNTTドコモさんの要求に応えるには、どの程度樹脂にすべきか、そしてその樹脂部分とアルミに一体感があるデザインを考えました。落下時の強度を確保するためにコーナー部分をアルミにすることなどは、VAIOとしてこだわったところです。

―― VAIOらしいデザインということで、アルミ削り出しにこだわったと。

岩井 そうですね。一見して「VAIO」と伝わることがいちばん重要だと思っています。実質的にはVAIO製として初のスマートフォンなのですが、PCではある程度の認知度はあるものの、スマートフォンは新規参入になります。ですので、VAIOの世界観をスマートフォンでも感じていただきたかったのです。

 スマートフォンは基本的に携帯電話の発展形として生まれた製品ですが、VAIOとしては、どちらかというとPCを極限まで小さくして、ポケットに入るようにしたらどうなるのかという形で商品開発を行いました。

 そういった哲学といいますか、考え方というものを表現できる形ということで、VAIOのフラッグシップであるZラインのデザインをここに持ち込んでいます。

アルミと樹脂が同居する背面部分。コーナーはアルミを残すこだわりを貫いた。

ビジネスを変えるContinuumに対応させることが重要

―― 画面サイズを5.5インチにした理由は?

岩井 PCに近い感覚でビジネスで使っていただくための端末なので、PCで編集したOffice文書をそのまま手元でも快適に閲覧・編集できるサイズ、解像度を考えました。PCと同様のフルHDで、できるだけ大きいけれど、大き過ぎないサイズというところで落とし所を狙った末、5.5インチになりました。

―― CPUにSnapdragon 617を選択した理由は?

岩井 価格と性能のバランスですね。開発当時、マイクロソフトさんの対応リストに入っていたContinuum対応CPUは、Snapdragon 800シリーズのみでした。しかし、スペックを見る限りでは、617でもワイヤレスのContinuumには対応できることがわかっていたので、実機検証を行いました。

 実は、マイクロソフトさんは基本的に自社製スマートフォンの「Lumia」を使って検証されているのですが、Lumiaに617を搭載したモデルはなかったのです。そこで、VAIOがマイクロソフトさん、そしてクアルコムさんと協力して、(617を搭載した)VAIO Phone Bizの試作機をそれぞれに提供し、検証していただきました。

VAIO Phone BizはワイヤレスでのContinuum機能に特化している。

―― メモリーを3GBにしたのもContinuumを考慮してのことですか?

岩井 きっかけは、Continuumの推奨スペックが3GB前提だったからですが、Officeアプリの使用時、特にPCで作った重いファイルの場合には3GBのほうが快適に使えたこと、そして企業が導入する端末は長く使われるケースが多いので、スペックに冗長性を持たせる意味でも3GBにしています。

―― Continuumに関して企業側の反応は?

 お客様から「この1台あればPCは要らないの?」という質問をいただいた際には、「代替品にはなりませんが、プラスαにはなります」とお伝えしています。

岩井 おまけ的な機能だと想像されて、実際に使ってみると意外とレイテンシ(遅延)も少ないし、使えるねという反応はいただいております。Continuumに関しては、VAIOとしても勉強している段階で、いくつか想定はしていますが、実際のお客様の業務にどうハマるかは、営業しながら学んでいます。

 例えば金融系のお客様ですとPCの持ち出しを禁止しているところもありますが、スマートフォンなら許可されていますので、Continuum機能でPC代わりに使えるというメリットを感じていただいているようです。ローカルにデータを保存せず、シンクライアント的に使えるという意味では、大きくて重たいPCを持ち歩かなくて済むことは大きなメリットだと思います。

スマートフォンの画面をタッチパッドのように使ってカーソル操作できる。

次回は――VAIOとは切っても切れない「安曇野Finish」に迫る!

 高いハードルを越えて誕生したVAIO Phone Biz。次回は、そのクオリティーを支えた「安曇野Finish」のこだわりなどについて語っていただく。(以下次回)

筆者プロフィール:飯島範久

1992年にアスキー(現KADOKAWA)へ入社し『DOS/V ISSUE』や『インターネットアスキー』『週刊アスキー』などの編集に携わる。2015年に23年務めた会社を辞めフリーとして活動開始。PCやスマホはもちろん、ガジェット好きで各種媒体に執筆している。Microsoft Officeは95から使っている。

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