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2017/11/08

ワーキング革命 - 第20回

楽しくなければ働き方改革ではない〜サイボウズが問いかける疑問とは〜

日本をあげて働き方改革に取り組んでいる中にあって、創業20周年を迎えたサイボウズが「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」という問いかけと、「アリキリ」というアニメーションを制作した。そこに込められたメッセージと、ワーキング革命の本質についてサイボウズに聞いた。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

離職率約28%の会社が行き着いた答えとのギャップ

 サイボウズで今回のプロモーションを担当したビジネスマーケティング本部の杉山浩史氏は、「世の中の流れに対して、少し疑問を抱いています」と話す。働き方改革とは、こういうことじゃないという「モヤモヤした思い」を「アリキリ」に例えたという。そのアリキリがどういうものなのかは、実際のサイトのアニメーションを見てもらうのがいいのだが、すぐにサイトを開けない人のために、三つのエピソードに分かれたストーリーをかいつまんで紹介しよう。

 まず第1話は「残業編」。先進的な働き方を学ぼうとするキリギリスの井上さんが、働きアリの後藤さんを訪問する話。お伽話のアリとキリギリスに例えて、真面目になろうとするキリギリスに対して、アリは「これまでの生き方の方が楽しいですよね」と諭す。続く第2話は「女性活躍編」。女王アリが登場して、あちこちの会社から「女性活躍のために社外取締役になってほしい」という依頼に疲れている本音を語る。そして第3話の「イクメン編」では、サナギになった息子を見上げるチョウチョが登場し「土日でもないのに旦那がずっと家にいる」とパートナーから煙たがられているイクメンの悲哀を嘆く。

 これら一連のアニメーションで、「世の中は、画一的な流れになっているのではないか」という疑問を杉山氏は投げかける。長時間労働を抑制するために定時になったら電気やPCの電源を落としたり、上辺だけの女性活躍であったり、イクメンも何か少し違うのだと、サイボウズでは感じている。その背景には、かつて離職率約28%という大きな問題を抱えてきた同社の過去がある。

サイボウズが働き方改革をテーマに制作したアニメ「アリキリ」。

働き方改革12年のベテラン企業の思い

 今年で創業20周年を迎えたサイボウズは、2005年に離職率約28%という大変な時期を経験している。その当時を振り返る記事では、創業者の青野氏が「当時は2度目のITバブルがはじけ、サイボウズとしても長時間労働や休日出勤が日常化していた時期」と話している。その結果、100人に満たない会社が、1年間で20人弱が辞める状態だった。

 IT系の企業では、人の動きが常に激しい。能力のある人ほど、多くの会社を渡り歩く傾向はあるものの、同社の離職率には別の問題があった。そこで、個々の問題に個別に対応しながら数々の対策を続ける中で、『選択型人事制度』や『在宅勤務制度』、『ウルトラワーク制度』など、独自の労働環境を作り上げてきた。その結果、2012年には離職率が約4%にまで減少する。さらに社内結婚で44組以上の夫婦が誕生する社内恋愛も活発な会社になっている。

 こうした成果がある企業だから、政府が推進する画一的な働き方改革の方針と、それに準じた制度だけを整備しようとする企業の取り組みについて疑問を感じているのだ。そして、一石を投じたいと思い、アリキリキャンペーンを展開するに至ったという。

 政府の推進する働き方改革に対して、ネガティブキャンペーンとも受け取れるアリキリのアニメーション。しかし、実際にキャンペーンを開始すると、そうした不安とは別に、SNSでは好意的な意見が多く書き込まれたという。その中でも、20代の男性からの共感や意見は、同社にとっても意外な結果だった。中には「実際に会社の社長にアクションを起こして、社内の改革に結びついた成果をブログで報告してきた方もいます」と杉山氏は事例を話す。

 もっとも、すべての会社に今回のキャンペーンが適合するわけではない。サイボウズの分析によれば、キャンペーンへの反応を示した人たちの傾向は、首都圏を中心とした都市部が6割近くを占め、20代を中心に若い世代からの共感が高いという。「20代は、圧倒的に価値観が違う」と杉山氏が指摘するように、“ミレニアル”と呼ばれるデジタルネイティブな世代にとって、これからの自分たちの仕事と暮らしに対する向き合い方の変化を感じるエピソードだ。

考えてもらうきっかけ作りに

 アリキリのアニメーションは、あくまでも問題提起が目的で、同サイトには答えはない。サイボウズによれば、「一人ひとりに考えていただくこと」が大切なのだという。答えは画一的ではなく、人の数だけ働き方がある。一方で、マーケティングキャンペーンの目的は、創業20周年を記念した行事であると同時に、同社の認知度を高めるためのプロモーションでもある。もちろん、働き方改革のために同社のグループウェアを活用することが解決の一助となれば、それにこしたことはないが、あえてそこは狙っていない。あくまでも問題提起が優先で「考えてもらうきっかけ作り」に主眼が置かれている。

 同社のキャンペーンをワーキング革命の商材として取り上げるのであれば、まさにアリキリのアニメーションからの「話題のきっかけ作り」が効果的だ。「こんなアニメーションがあるのですが、御社でも世間で言われている働き方改革には、疑問を感じていませんか」という問いかけが、それぞれの会社にとっての「楽しい働き方」のきっかけになる。

 そこから、サイボウズで実践してきたような各種の働き方制度の情報や、それに付随するIT関連機器やソリューションなどへと結び付けていく。もちろん、答えは簡単ではない。職場が楽しいか否かは、各自の価値観の差によるもので、業種や業態、職種や職制によっても、それぞれに受け止め方が異なる。ただ「好き」というだけでは、希望する仕事に就けない人も多い。労働時間は賃金のためと割り切って働いている人もいる。

 そうした人たちすべてが「笑顔で仕事」ができるような職場は稀有だろう。それでも、先のエピソードにあったように、20代の社員が社長に直談判するように、働くことに前向きな人たちもいる。そういう人たちが一人でも多く出てきて「楽しさ」で会社を変えていけるような動きになれば、理想に近付けるのだろう。

(PC-Webzine2017年11月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows 95』、『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

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