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2018/01/11

いますぐ読みたい「働き方ブック」レビュー - 第12回

日本人を机に縛り付けてきた「紙とハンコ」から150年ぶりに解放される日



『電子契約の教科書 基礎から導入事例まで』宮内宏・著

明治維新以来「紙とハンコ」で回ってきた日本社会。だがスマートワークの波は確実に「ハンコレス=電子契約」へと進んでいる。今回は、業務の効率化が求められる「働き方改革」を進めるうえで最初の難所になる電子契約を、たった一冊で広く深く勉強できてしまう凄い本をご紹介!

文/成田全


“電子契約”の時代は15年以上前から始まっている

 福岡県の志賀島で出土した、日本に現存する最古の印である国宝「金印」。純金製の王印は建武中元2年(57年)、後漢の光武帝が倭奴国王に与えたと『後漢書』に記載されているという。それから約1800年後の明治4年(1871年)、太政官布告第456号「諸品売買取引心得方定書」によって実印制度が定められたことが、庶民がハンコを使う契機になったと言われている。

 それからさらに約150年、日本では「紙にハンコ」の文化が続いている。「俺は押さんぞ!」とゴネる人が出ると、途端に事態が滞ってしまう相変わらずの状態だ。また複写式の用紙にボールペンでゴリゴリと文字を書き、めくった先にポンポンポンとハンコを押す昔ながらの作業をやっている方も多いことと思う。ところによってはその用紙を何枚も出さないと仕事が終わらない、なんてこともあるという。

 しかし世の中の流れは確実に「ハンコレス」へと進んでいる。日本では2000年に政府によって日本型IT社会の実現を目指す「e-Japan構想」が策定され、同年には「電子署名法(正式名称は「電子署名および認証業務に関する法律」)」を制定、2001年から施行されている。実はもう15年以上前から電子契約の時代は始まっているのだ。

 そして業務の効率化が求められる「働き方改革」が進む今、このまま非効率の極みである「紙にハンコ」を使い続けることは、会社存亡の機となりかねない。とは言うものの、これまで連綿と続いてきた制度を変えるというのは一朝一夕にできることではないだろう。そこで今回ご紹介する『電子契約の教科書 基礎から導入事例まで』を読み、「変えるとどうなるのか、何がメリットなのか、困ることはないのか」を知ってもらいたい。

電子契約の4つのメリット

 本書は「教科書」と謳っている通り、電子契約についての基礎的な内容と導入・活用するための具体的、技術的な内容が法律をベースに説明されている。それだけに、読むのには少々骨が折れるのだ。

 そこで本書の読み方としてお勧めしたいのが、「第1章」→「第5章」→「第6章」という順番で先に概要とメリット、具体例を頭に入れてしまうことだ。

「第1章 電子契約とは」に目を通すと、電子契約にはどんなメリットがあるのかがわかる。紙とハンコに固執する人が電子契約と聞いて心配するのは「秘密が漏洩するのではないか」「書類を改竄されないか」「法的に無効にならないのか」といったことだろう。さらには「自分の手で現物の紙とハンコを持たないと不安」という度を越した心配性な人がいるかもしれない。しかし冷静に考えてみてほしい。紙には紛失や盗難、焼失する危険があり、また台風や地震といった災害によって失われてしまう可能性もある。

 電子契約のメリットは大きく分けて4つある。まずは「収入印紙や郵送費の削減」だ。そして紙を印刷する手間が省け、印刷した文書に押印して郵便などで先方へ送り、押印して返送してもらう時間のロスがなくなるので「大幅な時短」が可能となる。それから昨今問題となっている「コンプライアンスの問題」も、電子化によって外部からアクセス可能になることで、監査・監視体制が取れる。また電子契約には原本とコピーの違いがないため、コピーを遠隔地のストレージへ収納しておくなど「リスク分散」も可能となる。

お金も、時間も、手間も、リスクも、スペースも圧縮

 続く「第5章 電子契約の普及」では、2001年から他の業界に先駆けて見積もり依頼~請求・決済まで電子契約にした建設業界の取り組みを紹介。また購買部門での導入が主流となっている状況から、今後は販売部門へ、そして企業間のBtoBから個人とのやり取りができるBtoCへ、さらには大企業が中心となるハブ=スポーク型から、大小を問わず企業同士がつながるメッシュ型への移行が期待されている現状が解説される。

 最後の「第6章 電子契約導入事例」では、新規出店のための工事関連書類を電子化したファミリーマート、取引先と書面で行っていた請求書受領・検収金額確認に関する業務フローを電子化した東亞合成グループ、法人向け賃貸契約サービスを電子化したレオパレス21を紹介している。

 これらのことを頭に入れた後に、電子契約を導入・運用するための具体的な内容である「第2章 電子契約の基盤―電子署名と電子署名法」「第3章 電子契約の導入の実務」「第4章 電子契約と法規制」を読むと、電子契約には何が必要で、どのようなアクションが必要なのかわかりやすくなることと思う。そして劇的なスピードで仕事が進む電子契約を取り入れることをすぐに検討しなくてはならない理由もわかることだろう。

「紙にハンコ」はこれまで当たり前にやってきたことなので、それほど手間になると思われていないかもしれないが、塵も積もれば山となってしまう。そして第4回で取り上げた「テレワーク」、そして第5回「PC・スマホ・クラウドの活用法」など、会社へ行かなくても仕事ができることが働き方改革に必要であることはこれまで何度もご紹介してきた。しかし「紙にハンコ」があると、そのためだけに出社する必要が出てくるのだ。働き方改革を推進したい会社は、ウェブ会議などのシステムの構築を急ぐ前に、まずはペーパーレス化と電子契約に全力で取り組むべきなのだ。お金も、時間も、手間も、リスクも、そして書類を置くストレージのスペースも圧縮できる電子契約について不安を抱えている方は、ぜひ本書で圧倒的なメリットをご理解いただきたい。

今月読みたい「働き方ブック」はこれ!

 スマートワーク・ブームを反映して毎月洪水のように押し寄せる「働き方ブック」のなかからオススメ本をスマートワーク総研がピックアップ!

『北欧の最新研究によるストレスがなくなる働き方』(マリーネ・フリース・アナスン、マリー・キングストン/フォレスト出版)

本書は、【世界幸福度ランキング1位】常連国であるデンマークの「ストレス研究の専門家」と「組織心理学の専門家」が数多くの事例から導き出した実践の書です。「ストレス」という現象の複雑で多面的な性質を真摯に受け止め、ストレスの背景的知識と、新しい理論的観点を紹介しています。本書のおもな目的は、「あなた自身のストレスを防ぐ能力」「チームのメンバーがストレスに襲われたときに対処する能力」「ストレスに襲われたメンバーの仕事復帰を支援する能力」を向上させること。(公式サイトより)

『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』(重光直之、片岡裕司、小森谷浩志/日本経済新聞出版社)

「チームがまとまらない」「みんなが自主的に動いてくれない」「職場で孤独感を覚える」……そんな悩めるマネジャーのための強力メソッドがある。本書で紹介する「マネハプ」だ。「マネハプ(マネジメントハプニングス)」とは、経営学の権威(グル)、ヘンリー・ミンツバーグ教授が開発した人材育成プログラム「リフレクションラウンドテーブル」の中核となる手法。このプログラムは世界でも広がりを見せて、今では世界20カ国以上に展開されている。(公式サイトより)

『同一労働同一賃金ガイドライン案に沿った待遇基準・賃金制度の作り方』(菊谷寛之/第一法規株式会社)

人事労務担当者に向けて、賃金コンサルタントの第一人者である著者がこれまで培ってきた経験とコンサル事例から「同一労働同一賃金ガイドライン案」を読み解くとともに、待遇差の基準づくりと賃金制度・体系づくりの考え方・あり方等を提案・解説する。(公式サイトより)

『ワーク・ライフ・バランスと経営学:男女共同参画に向けた人間的な働き方改革』(平澤克彦、中村艶子・編/ミネルヴァ書房)

日本は今、働き方改革や女性活躍、男性の育児参加など、多くの課題に挑戦している。焦点を当てる角度や呼称は様々でも、職業生活と個人や家庭生活の調和をめざす基礎となる枠組がワーク・ライフ・バランスである。本書は、その概念や分析視角を考察した上で、主要各国の施策の特徴を析出し、日本における実態を検証する。多方面から取り上げる視点と事例から、未来志向的な働きやすい職場環境とは何かを探る。(公式サイトより)

『まるわかり! RPA』(日経コンピュータ・編/日経BP社)

働き方改革が産業界を挙げた一大テーマとなる中、人間のPC操作をソフトウェアで自動する新しい技術「RPA」が脚光を浴びています。データの入力や転記、チェックといった定型作業を、人間の数倍から数十倍のスピードで正確にこなすのがRPA。将来的には人工知能(AI)との連携も進むとみられ、日本産業界にとって労働生産性向上の切り札になる可能性を秘めています。本書はRPAの基本的な仕組みから事例に基づく導入のポイント、主要IT企業の製品やサービスまで、ITを使った働き方改革の悩み所を解説します。(公式サイトより)

『EXTREME TEAMS アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣』(ロバート・ブルース・ショー・著、上原裕美子・訳/すばる舎)

すごい会社はチームが違う!現代の最先端企業7社、ピクサー、ネットフリックス、エアビーアンドビー、ザッポス、パタゴニア、ホールフーズ、アリババのマネジメントやプラクティスを横断的に紹介。変化の激しい時代にも成長し続ける企業の条件を知ることができる1冊。

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。文学、漫画、映画、ドラマ、テレビ、芸能、お笑い、事件、自然科学、音楽、美術、地理、歴史、食、酒、社会、雑学など幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1500人以上を取材。

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