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2018/04/12

ワーキング革命 - 第25回

働き方改革ICT市場の年間平均成長率は7.9%

IDC Japanは、昨年末に日本国内の働き方改革に関連するICT市場の予測を発表した。その数字によれば、2016年の1兆8,210億円に対して、2021年までに年率7.9%で市場は拡大し、2021年には2兆6,622億円になる。国内のICT業界にとっては注目すべき予測だ。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

ソフトウェアやITサービスの成長率が高い

 働き方改革のICT市場規模について詳しく紐解いていく前に、まずはビジネスとしていかに魅力的であるかを示す調査結果を示そう。それは、国内働き方改革ICT市場の2016年~2021年の年間平均成長率だ。ICT市場全体の成長率が2.1%と予測されているのに対して、働き方改革ICT市場は7.9%という結果がでている。国内のICT市場の成長率が鈍化する中にあって、働き方改革に関連するICTは商材としての魅力が大きいのだ。

 働き方改革ICT市場についてIDC Japanでは四つのカテゴリーに分類している。ハードウェア、ソフトウェア、通信サービス、そしてITサービス/ビジネスサービスだ。この四つの中でも、特に年間平均成長率が高いカテゴリーは、ソフトウェア(11.9%)とITサービス/ビジネスサービス(19.8%)だ。そこで、まずはこの二つのカテゴリーの分類を詳しく見ていこう。

 国内の働き方改革ICT市場の中で、ソフトウェアの市場予測は、2021年に7,030億円と試算されている。その内訳は、プロダクティビティ(生産性)に関連した製品として、Web会議やプレゼンス、IM(インスタントメッセージ)、電子メール、スケジュール管理、Officeなどのアプリケーションになる。予測によれば、これらプロダクティビティ製品の中でも、ファイル同期や共有などの製品やサービスが伸びると試算されている。また、クラウドベースのCRMやERM、SCMなどのアプリケーションも、成長が予測されている。

 エンタープライズモビテリィ管理やセキュリティソフトウェアなども堅実な需要があるが、中でも成長と市場規模の拡大が予測されている分野が、クライアント仮想化ソリューションだ。VDI(仮想デスクトップ)に代表されるシンクライアント系ソリューションは、端末を持ち歩いてどこでもいつでも安全に情報を操作できるモバイル環境を実現する。それだけに、大手企業を中心にクライアント仮想化ソリューションの市場が拡大すると予測されているのだ。

 ITサービス/ビジネスサービスという分野は広いが、その中でビジネスコンサルティングやBPO(事業アウトソース)のような領域を除き、働き方改革に関連したICTだけを抜き出した市場が、2021年に5,333億円に及ぶと予測されている。例えば、スマートデバイスによる働き方改革を実現するためのインフラ構築などもITサービスになる。一般的なシステムインテグレーションではなく、あくまでも働き方改革に特化したITサービスとして、大きな成長が期待されているのだ。ソフトウェアの解説で触れてきたように、クライアント仮想化ソリューションの導入などもITサービスの売上と捉えている。ただし、この中でほとんど持ち出して使うことのないノートPCなどは、働き方改革ICTのカテゴリーには入っていない。スマートデバイスの定義は、タブレットやスマートフォン、2in1型のモバイルPCのようなデバイスになる。

普及の鍵は制度と技術と意識改革

 IDC Japanによる働き方改革ICT市場の予測から、日本人のワーキング革命に直結したIT商材の提案は、大きな潜在需要があると考えられる。一方で働き方改革ICTの導入を妨げている要因もある。それを象徴するIDC Japanのアンケート調査が、働き方改革の実施内容に関する報告だ。アンケートによれば、約5割の企業が残業時間の短縮を実施しているものの、IT関連の施策においてはセキュリティ対策や社外から業務システムへのアクセス許可などの実現でも、1割前後という実態が浮き彫りになった。

 調査を行ったIDC Japanによれば、企業によっては社員が会社のPCを持ち出して使えるようにしてしまうと「隠れ残業」を管理できないため、全面的にテレワークやモバイルデバイスの利用を禁止しているという。その証拠に、大企業では約8割が、中堅中小企業でも約5割が、社内PCの持ち出しを制限している。しかし、実態は半数以上の社員が会社の仕事を自宅のPCで処理している。これでは、隠れ残業を管理できないだけではなく、セキュリティやコンプライアンスといった面からも、大きなリスクとなる。

 管理できないから禁止するのではなく、現状では不可能と思われる課題を解決するためのICT提案が、ソリューションとして求められている。それに加えて、労働時間だけによる評価ではない、新たな制度設計も必要になる。そして、何よりも重要なポイントは、経営者から現場のスタッフに至るまでの意識改革にある。

 もちろん、ICT商材の提案だけで、一つの企業の労働に対する意識を改革することはできない。しかし、数ある働き方改革の実施目的の中でも、以下の五つのテーマに関しては、ICTでサポートできる部分が大きい。

  • 労働生産性の向上
  • ワークライフバランスの向上
  • 柔軟な働き方の実現
  • 部門間のコラボレーション促進
  • 発想力の強化

 これらのポイントから提案を推進し、働き方改革に向けたICT基盤やスマートデバイスの整備を通して、より全社的な取り組みへと導いていくことはできる。

 通勤ラッシュから開放されるテレワークや、自身のライフスタイルに合ったフルフレックスタイム労働を望む人は多い。そうした人たちは、決して仕事が嫌いなのではない。むしろ、自身の集中力や生産性を高めるための働き方を積極的に模索している。そうした社員を支える働き方改革のICT商材は、IDC Japanの予測からも見えてくるように、ビジネスとしての大きな可能性を秘めている。

(PC-Webzine2018年4月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows 95』、『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

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