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2018/05/28

働き方改革のキーワード - 第12回

フリーアドレスブーム再び――成否を分けるものは何か?



メリットを享受するには大前提となる要素がいくつも存在する

1990年代にオフィスコストの削減対策として脚光を浴び、その後忘れ去られたフリーアドレスが、20年の時を経て再び注目を集めている。しかしその理由はコスト削減に留まらない。テレワークが現実的になった時代のフリーアドレスは、働き方改革の要とも言える制度なのだ。

文/まつもとあつし


テレワーク時代のフリーアドレスに求められるもの

 決められた席ではなく、オフィス内のどこに座って仕事をしてもよいという「フリーアドレスオフィス」。1990年代に一度ブームとなり、しかしそこまで定着しなかったこの取り組みに再び注目が集まっています(関連記事)。

 部署ごとに机で島を作り、上長が上座に少し大きめの机を確保、そこから職位が上の人から順に自席を設けていく――という昔ながらのワークプレイスのスタイルは、むしろテレビドラマの中だけで目にする懐かしいものになっていくかもしれません。

 かつては「経営資源の最適化」がフリーアドレスのメリットとしてクローズアップされていました。雇用の流動化が進む中、1人に1つの席を確保するのではなく、複数の人間でシェアすれば、単純にオフィスコストが削減できるというものです。しかし、実際には導入企業の多くで、フリーアドレスは定着しませんでした。筆者も在籍していた会社で経験しましたが、単に「どの席に座っても良い」という号令だけでは、結局、書類や備品が仕舞われた同じ机で仕事をしたくなるのは当然の流れで、いつのまにか元のオフィスの姿に戻ってしまったケースが多かったのです。

 しかし、現在は当時とは環境が大きく異なっています。

 働き方改革を進める中で、オフィスから離れた場所で働く「テレワーク」が少しずつ浸透しています。スマートワーク総研では事例を繰り返し紹介していますが、それらの情報に触れた人は、テレワークを導入したいという意向を強く持つことも調査から明らかになっています。

総務省「平成28年版情報通信白書」より抜粋。

 また、オフィスに求められる機能も変化し始めています。テレワークでも仕事のかなりの部分が行えることにより、チームメンバーが同じ場所で仕事をする意味が改めて問われているのです。

 その大きな要因が、チーム内の密なコミュニケーションや別部署・社外の協力者も加わったコラボレーションから生まれる知見の共有、枠にとらわれない発想、さらには、自由闊達なオフィスの空気から生まれるモチベーションの高さが生産性を高めるという期待です。単に、仕事道具があり、上司や同僚がいるから、という理由ではなく、一段高いところでのオフィスの存在意義の再確認が行われているところだと言えるでしょう。

 密なコミュニケーションやコラボレーションが生まれるオフィス設計を考える際には、部署やレポートラインに縛られた座席配置ではなく、その時々の状況に応じたプロジェクト・チームが近くに集まり、効率的に仕事を進められることが優先されます。また、このあとみていくように、そのためのツールも整ってきています。このため、フリーアドレスに再び注目が集まっているのです。テレワーク時代のフリーアドレスはかつてのそれとは似て非なるものと理解するべきでしょう。

フリーアドレス化を成し遂げた総務省行政管理局の風景。

フリーアドレスの成否を分けるもの

 フリーアドレスは単に「好きな場所で仕事をしてよい」と号令をかけて実現するものではありません。以下にフリーアドレスを成功させるために、必要とされる要素を挙げます。

1. 目的の共有と合意の形成
 何のためにフリーアドレスを導入するのかという目的を、組織内で十分に確認し、影響を受けるスタッフが前向きにこの仕組みと向き合えるよう丁寧に合意を形成することが不可欠です。

2. クラウド/スマートデバイスとその管理ツールの導入
 テレワーク同様、フリーアドレスでも、ノートパソコンやスマホ・タブレットをオフィス内のどこでも障壁なく使えるようにする必要があります。そのためにはMDMを導入し、セキュリティも含めた管理体制を整える必要があります。

3. グループウェアや入退室管理
 オフィス内の好きな場所で仕事ができるということは、誰がどこにいるのか分かりにくくなるというデメリットもあります。部下が目の届く範囲にいないと仕事が進められないというのは困りますが、グループウェアや入退室管理の仕組みを整えることで、誰がどこでどんな仕事をしているかを共有することは、円滑なコミュニケーションのために欠かせません。

4. 十分な数と容量のロッカー/ペーパーレス化
 机に私物を残す習慣があると、席の固定化につながってしまいます。退社時にはすべての私物をロッカーに入れるというルールを徹底する必要があります。また、その際の荷物を減らす意味でもペーパーレス環境の整備は重要です。

5. 共有備品/無線LAN/十分な数の電源
 文具や画像・動画編集作業などに用いるデスクトップパソコンなど、共有できるものは共有スペースに十分にその数を確保して、「どこでも仕事が円滑に行なえる」安心感を保つことも大切です。また、あらゆる場所でインターネットに接続できること、腰を据えて長時間仕事ができるように電源の確保も重要となります。

 逆にいえば、これらの条件が整わないのであればフリーアドレス導入はその効果が生まれにくい、という点は理解しておく必要があるのです。

 単なるオフィスコストの削減という発想ではなく、フリーアドレス導入によって生まれた空間を社内外のコラボレーションが生まれる仕掛け(ベンチャーなどでよく目にする卓球台などちょっとしたゲームができるスペースなど)に活かすことで、付加価値を含めた生産性向上という目的をブレさせず、導入に向けた投資と着実な運用を心がければテレワーク時代のフリーアドレスは成功するはずです。

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筆者プロフィール:まつもとあつし

スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。

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