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2018/08/10

働き方改革のキーワード - 第14回

時差通勤は歓迎だが、本質的な解決策は別にある



時差Bizは対処療法。本命はやはりテレワークとワークスタイルの変更

時差通勤を推進したい東京都が始めた「時差Biz」。しかし利用できる人間は限られており、なにより本質的な解決策ではない。本命はやはり、通勤自体をなくせるテレワーク、そして個人の役割と達成目標をはっきりさせるワークスタイルへの変更にある。

文/まつもとあつし


東京都が進める「時差Biz」

 7月9日より東京都は「時差Biz」という取り組みを始めました。これは、通勤ラッシュの混雑緩和への取り組みで、早朝の臨時列車の運行や、交通ポイントの付与を行うというもので、昨年度に続き2年目となります(夏季は8月10日まで実施)。

JR東日本が時差Bizと連携するキャンペーン。事前にエントリーを行い対象区間の下車駅改札を朝6時~7時45分に出場した乗客が対象となる。

 すでに企業の取り組みとしても、フレックス制度や裁量・在宅勤務制度などがあるのに、なぜ? と感じる人がいるかもしれません。しかし、都市圏の通勤ラッシュ時の混雑率は、平成29年度も東京圏で163%、大阪圏で125%、名古屋圏で131%を超えており、東京地下鉄東西線やJR総武線、横須賀線では190%を超えています。これは「体が触れあい相当圧迫感がある」レベルの混雑となります(参考:国土交通省「東京圏で混雑率180%超の路線が12路線から11路線へ」

 実は時差通勤を推進しようという取り組みは1960年代にも盛んでした。当時は都市圏における鉄道網が十分に整備されていない一方で、高度経済成長と労働人口の増加から通勤ラッシュは現在よりも酷く、路線によっては混雑率250%を超えるところもありました。混雑率は300%に達すると窓ガラスが割れてしまうという懸念もあり、鉄道会社自ら事業所を回り、時差通勤をお願いして回るということも行われていたのです。

国土交通省「三大都市圏における主要区間の平均混雑率・輸送力・輸送人員の推移」。

 現在では、鉄道網は整備され労働人口も減少に転じています。それにも関わらず2000年代以降、混雑率はあまり緩和されていません。特に東京圏は平均で混雑率が160%を超えており、働く人々にとって通勤が辛いものである状況はここ10年以上改善されていないのです。「朝の通勤ラッシュで疲れてしまって仕事にならない」という経験は多くの人に共通します。働き方改革、生産性向上を進める上でも、通勤ラッシュの解消の必要性は高まってきているといえるでしょう。

坂本龍馬なら時差通勤ではなく――?

 東京都の今年度の「時差Biz」では、イメージキャラクターとして坂本龍馬が登場しています。首都圏の駅や電車内でのポスター等で目にした人も多いでしょう。

 しかし、筆者はこのポスターをみて首を傾げてしまいました。脱藩し維新に奔走した坂本龍馬は果たして「通勤時間をずらす」というキャンペーンに適しているのでしょうか?

 時差通勤は通勤ラッシュを改善し、生産性向上につながる1つのアプローチではありますが、抜本的な対策とは言えません。例えば朝、子どもを保育園に預けたり、学校に送り出さなければならない人たちにとっては、通勤時間を前倒しすることが難しく、この恩恵を受けることができません。時差通勤を導入した企業には、事前に1週間の出勤シフトを申請する必要があったり、上司の許可がその都度求められるなど、かえって負担が多くなっているのではないか、という事例も見受けられます。

 本質的にはテレワークへの思い切った移行が推進されるべきであるはずです。2000年代からの20年はインターネットやブロードバンドの普及が進んだ期間でもあります。それにも関わらず「通勤ラッシュ」が過去のものにならないのは、「会社にいないと仕事ができない」というワークスタイルが根強く日本に定着しているためです。

 この状況を変えるためには、曖昧な役割分担を止め、「何を達成すれば成果として認められるのか」というコンセンサスのもとに仕事を進めるというワークスタイルへの転換が求められているのです。坂本龍馬も「自分が果たすべき役割」が明確であったからこそ、組織を離れ、日本の様々な場所やタイミングで重要な仕事を行なえたはずなのです。

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筆者プロフィール:まつもとあつし

スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。

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