戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第13回】

TODOリストがなぜ役立たないか(1)



 自分の働き方を改革(ジバラ)するのに最もムダなのが、わかっているのに失念して探すのに時間をかけること。例えば、ファイルを作成したのにどこに保存したのか忘れてしまい、探すのに大きな時間をかけるのはムダ。やるべきことがあるのに、記録を忘れて、催促されたり、信頼性を失うのもムダだ。こんなムダを防ぐには、自己管理が大事になる。作業の管理と言えば、TODOリストの出番だ。タスクリストとも呼ばれ、昔は紙で、今やアプリで管理できる。だが、デジタルのTODOリストは、思ったより役に立たない。いったいなぜなのだろうか。

文/戸田 覚


なぜ誰もTODOリストを使わないのか

 Googleカレンダーや類似のアプリでスケジュール管理をしている人は非常に多い。皆さんの周囲でも、紙の手帳からスマホのスケジュール管理に乗り換えた人は数え切れないほどいるはずだ。カレンダーアプリの利用率は相当に高いのに、なぜかTODOリストは使われていない。僕の周囲では誰一人使っていない。カレンダーアプリを利用していて、スマホで情報を管理する“素地”ができあがっている人でさえ誰も使ってないのだ。皆さんも周囲にヒアリングしてみてほしい。ちょっと使ってみた人は多いが、長期的にTODOリストでタスクを管理しているという方は、とても少ないはずだ。

 僕もさんざんTODOリストを試してきて、「これは使えない」という結論に達した。そのメリット、デメリットを最初に紹介しよう。なお、ここでいうTODOリストとは、「TODOアプリ」と考えていただきたい。

TODOリストのメリット

○数多くの短期、中期的な作業を管理できる

○通知などで作業を知らせてくれる

○スマホを使えばいつでもどこでも、他のデバイスでも作業が把握できる

TODOリストのデメリット

×入力するのが面倒

×そもそも、必死に管理するほどタスクがない

×全部を管理しようと思うと手間がかかりすぎる

だからTODOリストは使えない

 僕は非常に忙しいと自分では思っていたが、TODOリストにタスクを記録しはじめると、実は管理すべき項目はさほどないことに気付いた。原稿の締め切りはもちろんあるのだが、多くても1日に2~3本程度で、しかもほぼ毎月ルーチーンになっているので、TODOリストよりもカレンダーで管理した方が適している。単発の仕事や、やらなければならない各種の作業もあるが、こちらも常に動いているのは、多くて10本程度だ。

 多くの方が、忙しいと思っていてもこの程度の作業しかしていないと思う。例えば、毎週月曜に営業会議があり、その報告を毎週金曜に作っているなら、それはもうTODOリストに記載する必要はないだろう。決まりごととして頭に染みついているはずだ。このあたりは、TODOというよりカレンダーに書いておけばいい。

使うならGoogle TODOがおすすめ

 企画書やスライド作成、商談資料の準備など、ある程度時間の掛かる作業は締め切りを決めて管理したい。だが、こんな作業はTODOリストには向かないと思う。一定期間作業し続ける長期スパンの作業は、期日を教えてもらってもあまり意味がないのだ。こんな作業の管理方法は次回紹介する。

 本当に、TODOリストアプリに向くのは、リストを見て作業をすれば短時間で終わることだ。例えば、電話をかけたら話し中で、午後またかけようと思うなら、TODOリストの出番だ。「来週の水曜日に入金を確認する」「2週間後に商談の返事を聞く」こんな作業もTODOリスト向きだ。

 この種のタスクが多いなら、TODOリストを使ってもよいと思う。僕は?々試したのだが、最も使いやすいのは、Google TODOだと思っている。Googleカレンダーのように無料で使えるTODOのサービスで、最近アプリが登場した。パソコンではブラウザーでも利?できる。

GoogleのTODOが使い勝手の良さでおすすめ

タスクが多いならカテゴリ別に管理もできるが、果たしてここまで必要だろうか

GoogleのTODOはパソコンではブラウザーでスマホと同じ情報が見られる

TODOアプリを使うと管理マニアになりそうだ

 だが、TODOアプリを使っていると、だんだんやり過ぎの感が否めなくなってくる。作業は片っ端から書き、終わったら終了する必要がある。これも面倒だ。「午後顧客に電話をかけよう」と思っていても忘れると、TODOリストに入れておけば良かったと後悔する。今度は、すべてを入れはじめると、作業管理の負担ばかり増えてくる。

 また、複数のメンバーで作業をする場合には、メンバーの作業状況も把握したいところだが、これをTODOで管理しようと思うと間違いなく破綻する。

 次回はこのあたりの課題と解決方法を紹介しよう。

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。