戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第14回】

TODOリストがなぜ役立たないか(2)



 前回に続いて自分働き方改革(ジバラ)のために、現実的にタスクを管理していく方法を紹介しよう。

 あらゆる作業をTODOリストに記載していくのは現実的ではないと第13回目に紹介した。これがアポイントなら、すべて無条件に記載するからカレンダーアプリは利用者が多いわけだ。

 数日、数週間にわたって作業していくようなスパンの長い仕事は、締め切り日だけがわかっても管理しきれない。もっと、多くの情報を記録しておきたいのだ。そんな、現実的な作業を管理する方法を紹介しよう。

文/戸田 覚


自由記載のメモの方が使いやすい

 長年、タスク管理に苦労していたのだが、これが実に単純であることに2年程前に気付いた。ある程度時間がかかる作業が複数同時並行で動いているのなら、TODOリストを使うよりも、普通のノートを使って自由に書いていった方が管理しやすいことに気付いた。

 ノートといっても紙のノートではなく、ノートアプリだ。ここで管理するのは、スパンの長い作業だ。複数の企画書作成、提案書作成、商談の準備などが同時並行で進んでいる場合に、それぞれの締め切りと進行具合などを把握していく必要がある。進行度合いをフリーテキストで書いていくなら、ノートアプリのほうが手っ取り早いのだ。そのうえで、毎日朝晩にでも、このノートを見ればいい。長期スパンの仕事なので、通知は不要だ。

 おすすめは、Googleドキュメントだ。無料で使える上に、デバイスを問わずにデータを共有できる。パソコンで作成したリストをスマホでも利用でき、編集も可能だ。iPhone、Android、iPad、Mac何でも使えるのがいいところだ。単なるノートアプリなので、フリーテキストで記述できるので、自分がわかりやすいように書けばいい。

 終了したスケジュールや変更されたことなどは、取り消し線を引いておけばOK。これも標準機能なので簡単に利用できる。もちろん、未完了は赤字、終わった物を黒字にするなど、書式は自分で工夫すればOKだ。

タスクを自由に書いてスマホなどと共有できる

スマホでも同じスケジュールを見られる。取り消し線を引くことも可能だ

チームの作業管理もノートがしやすい

 僕の会社では、チームで作業することがとても多い。1つの原稿を作るために、複数名が別々のパートを担当することがある。

 メンバーが提出した企画書を僕がとりまとめ、内容の適切さをチェックして必要なら修正、加筆してクライアントに提出することも多い。こんな作業では、メンバーがいつできあがったコンテンツや企画を送ってくるかが、とても重要になる。到着を待って作業をするので、そのための時間をあらかじめ確保しておきたいからだ。多くの企業でも同じような状況が多いはずだ。「商談のための資料を部下が出してきたらチェックして持参する」「部下の揃えた写真でスライドを作る」といった具合だ。

 一昔前までは、自分のスケジュールや作業管理に「○○君から資料が来る」などと書いていた。だが、TODOリストを共有すれば、メンバーの作業状況も簡単に把握できる。そのための機能を持つ高度なTODOアプリも存在する。僕の会社でも最初はTODO採用していたのだが、使い勝手の悪さに破綻してしまった。メンバーそれぞれが面倒がってタスクをきちんと入力しなかったり、また、作業が遅れたら締め切りをどんどんズラしてしまうからだ。TODOリストには、締め切りを調整してもその履歴が残らないという欠点がある。

 そこで、TODOリストをやめてGoogleドキュメントを利用したらうまく機能するようになった。理由があって締め切りを調整する場合には、その内容と情報を書いておけば一目で事情がわかる。自分のための作業管理にもなっているので、朝晩見るリストとしてメンバーそれぞれがちゃんと書くようにもなっている。

 それぞれがノートを共有するだけで最新の情報が常に把握できるので、自分自身の予定も調整しやすいのだ。

メンバーのスケジュールもGoogleドキュメントやWord Onlineで管理していれば、共有するだけで状況が常に確認できる

まとめ

 さて、話をまとめよう。TODOリストで管理するべきは、「電話を掛ける」など、すぐに終わる作業だ。これでこそ、通知する意味がある。だが、件数が多くないならカレンダーアプリでもほぼ代用できてしまうだろう。

 作業時間が長い仕事が並行している場合には、TODOリストで管理するのは無理がある。フリーでテキストが書けるGoogleドキュメントがおすすめ。もちろん、Word OnlineなどでもOKだ。

 次回は仕事を激変させる「デジタル手書き」を紹介する。

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。