戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第17回】

5分で分析達人になるExcelの楽ちん機能(1)


 世は空前の“分析”ブームと言ってもいいだろう。分析関係の本がよく売れているし、そもそも企画やプレゼンでは「分析結果」があるかないかで説得力はけた違いだ。これまでは、素人が突然分析をしようと思っても、その方法すらわからなかった。ところが、Excelの機能をうまく使うと、だれでも5分とかからずに分析ができるようになる。人に頼まなくてもちょっとした分析ができるなら、これも立派な自分働き方改革(ジバラ)だ。

文/戸田 覚


変更したい箇所を指定する

 今回から2回に分けて、Excelを使った分析の方法を紹介していこう。どちらも、やり方さえ把握すれば、5分と掛からずに分析ができる。第1回目は、複雑な計算がとても楽になる分析機能「ゴールシーク」の使い方だ。この機能は、目標の数値を設定するのに、とても便利に使える。

 ちょっと難しそうに思える分析機能だが、ダイアログボックスで2箇所のセルを指定して、目標を入力するだけでOKだ。

 ゴールシークとは、求める結果を導き出すために計算のプロセスをどう変えればよいかを求められる機能だ。

 計算1のような計算は仕事でよく行う。例えば、5万円の商品が20個で税込み108万円になるという計算式だ。では、売上を税込み129万円にしようと思ったら、いくらで売ればいいのだろう。割り算をしていけばいいのだが、面倒だ。こんな計算が簡単に出せるのがゴールシークなのだ。

計算1

 5×20×1.08=108

計算2

 ?×20×1.08=129

こんな計算式から簡単に目的のデータを導き出せる

ゴールシークは、「データ」-「予測」-「What-If分析」-「ゴールシーク」で利用可能

数式を入力したセルを指定し、続いて、目標値、変化させるセルを選択するだけ

実行すると、このように求められる。59,722円 で販売すればよいことがわかる

すでに完成している表が分析の土台になる

 ゴールシークを使うと、すでにできあがっている表を元に分析、シミュレーションをして目標の予測や設定ができるようになる。

 複雑な計算が行われている表でも、問題なく利用可能だ。あまりにも計算が複雑だと結果を求めるのに数秒かかることはある。

 仕事では大きな表をよく使う。例えば、サンプルはある施設の入場人員を集計した表だ。これは、2018年のデータだが、これを元に来年の平均来園者を増加させる作戦を練ろうと思う。「9周年アニバーサリー」が「10周年アニバーサリー」のイベントになるので、その集客目標を作りたいわけだ。こんなケースでも、平均人数に目標値を入れて、ゴールシークで計算すれば、簡単に数値は出せる。平均人数を目標に近づけるための計算も、ひたすら電卓を叩けば可能だが、面倒で時間がかかる。省力化を考えても、ゴールシークを使うべきだ。

 このように、すでに使っている表を活用してゴールシークを利用すれば、5分とかからずに、シミュレーションができるわけだ。

 次回は、売上の予測を立てるもっと高度な分析を瞬時に出す方法を紹介する。

すでに完成しているこんな大きな表でもゴールシークが活躍する

入場者の平均を「35,000人 」に増やすには、イベントの集客をどの程度にすればよいのだろうか?

ゴールシークを使って、82,555人 を目標にすればよいことがわかった

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。