スマ研・ニュース解説 Vol.4

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【NewsPickUp-2】

中小企業庁、中小企業の生産性向上などに役立つ人材育成プラットフォームを公開

中小企業庁は、2018年8月、中小企業で働く従業員等を、将来、社内の中核的な人材に成長できるよう育成するため、社会人基礎力や人手不足解消術、生産性向上術を始めとした専門知識などのカリキュラムを、いつでも、どこでも学ぶことができ、かつ学習履歴や成果を可視化できる人材育成のプラットフォーム「ビジログ」を公開した。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2018/180820busilog.htm

【解説】

 企業の働き方改革への関心の中心は、「時短」から「生産性の向上」に移行してきている。しかし、時短のようにルールを決めることである程度達成が可能なものとは異なり、生産性の向上は掛け声だけでは進まない。従業員個々人の生産性を高めるためには、意識・技能両面での進歩が必要であり、企業はそのための教育、学習機会を用意する必要がある。

 しかし、多くの中小企業にとっては、そのノウハウもなければ、そのためのコストの捻出や学びのために従業員の手を空けることも困難だというのが実情だろう。中小企業庁はそんな企業のニーズに応えて、中小企業の生産性向上などに役立つ無料の人材育成プラットフォーム「ビジログ」(https://busilog.go.jp/)を公開した。「ビジログ」は「ビジネススキル」+「記録(ログ)」という造語だ。

「ビジログ」の特徴は、中小企業で働く従業員に必要な社会人基礎力や専門知識を身につけることができるカリキュラムを、EdTechを活用することで、時間や場所にとらわれない多様な学びのスタイルで提供する点だ。また、受講履歴を一元管理し、受講者の理解度・進捗を可視化することで、成果や成長を実感しながら、学びを継続することが可能になっている。コンテンツとしては「キャリア・オーナーシップ」「社会人基礎力」「専門知識」の3つに分類され、「生産性向上術」は「専門知識」の中に含まれる。「ビジログ」のサイトは8月にオープンし、一部のウェブ講座の受講はすでに開始されている。10月中旬からは双方向ライブ講座の受講も開始される。

「中小企業が、第四次産業革命等の急激な環境変化や人口減少という構造的問題に対応しながら、成長・発展を続けるためには、経営者を支える中核人材の育成が急務であり、中小企業等で働く従業員を、将来、社内の中核的な人材に育成するためのプラットフォームが必要だ」と、中小企業庁は「ビジログ」の意義を説明している。

 中小企業にとって、従業員の学びの場をいかに確保するかは重要な問題だ。これまでにも中小機構が運営する中小企業大学校(http://www.smrj.go.jp/institute/index.html)などが適正な価格でそうした教育環境を提供してきた(中小企業大学校でもこの8月からはWeBeeCampus(https://webeecampus.smrj.go.jp/)というオンライン学習の提供を開始している)。

「ビジログ」の登場は、無料のEdTech受講機会の提供であることから、日程の決まった物理的な講習に比べて受講の自由度が高く、コストハードルも大幅に低減されている。今後、ビジネスの発展を図る中小企業は、学びを従業員の自主性に任せているだけでなく、こうした施策を利用することで、生産性を向上し、従業員満足度の高い職場環境を作っていくことが重要になるだろう。

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