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2018/11/19

ペーパーレス化ソリューション導入のススメ - 第1回

電子政府の推進で、官民100%ペーパーレスの時代へ


世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画からわかること

ペーパーレス化が何度目かの注目を集めている。その背景には2018年6月に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」の存在がある。そこには電子政府の実現に向けて官民連携したデジタル化を推進するロードマップが描かれており、ペーパーレス化は不可避の情勢であることがわかる。

文/狐塚淳


電子政府に向けた日本の歩み

 日本政府は、2000年11月制定の「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」以来、すでに20年近くIT戦略に取り組んできました。2001年には「e-Japan戦略」として、超高速ネットワークインフラを整備し、電子政府の早期実現や電子商取引の普及を図る方向性を示しましたが、その進展には時間がかかっていました。

 しかし、2013年に策定された「世界最先端IT国家創造宣言」により、それまで府省庁で縦割りだった電子政府への取り組みが、横断的に推進されるように変わりました。その後、府省共通の人事給与システムの本格稼働や行政データ標準の導入、自治体クラウド導入推進など、電子政府実現のための課題は確実に前進しています。

 一方で、ITを巡る技術革新も進んできており、今後の電子政府に向けての活動には、そうした新しい技術への対応も必要になります。その中でも特に政府が注目しているのが「ビッグデータ」の利活用です。データフォーマットの標準化やIoT技術などで収集されるビッグデータがAI技術で解析されることで、「生産性向上や新事業の創出、就業機会の増大」につながり、国民生活や国民経済の発展に寄与していくと考えられています。この流れを受け、2016年には「官民データ活用推進基本法(官民データ基本法)」が施行され、官民データ活用がIT戦略の目的に加わりました。

 そして2017年12月には、政府の取り組みを地方や民間に広げることで電子政府(デジタル・ガバメント)の実現を目指す「IT新戦略の策定に向けた基本方針」が策定され、さらに2018年1月には「デジタル・ガバメント実行計画」が策定されたことで、取り組みは加速しています。

 今年、2018年6月に閣議決定された基本政策「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」では、政府自体が行政サービスのデジタル改革を行い、その仕組みとノウハウを地方に展開する方向性や、民間のデジタル化を推進するためのルール作りなどが第1部「世界最先端デジタル国家創造宣言」で述べられています。

 それを具体化していくための見取り図として第2部「官民データ活用推進基本計画」では、政府が抱える課題の解決のために官民データ利活用の推進を図るべき重要な8分野(電子行政、健康・医療・介護、観光、金融、農林水産、ものづくり、インフラ・防災・減災等、移動)を指定し、それらに集中して取り組んでいくための具体的な「施策集」が掲載されています。

 重点8分野のトップにくる「電子政府」の推進は、他の重点分野への取り組みの前提となるもので、「デジタルファースト法案(仮称)」の策定が予定されるなど、対応が急がれています。

「世界最先端デジタル国家創造宣言」はデジタル社会にどうアプローチするのか?

 「世界最先端デジタル国家創造宣言」のなかでは、「デジタル技術を徹底的に活用した行政サービス改革の断行」によって、国民一人一人の死亡・相続、引っ越しなどのライフイベントの手続きをワンストップ化し、手間やコストを削減すると述べられています。そのために行政サービスを利用者視点でとらえなおし、すぐ使えて簡単で便利な行政サービスの実現を目指すとしています。その実現のために、以下の3つのアプローチを挙げています。

(1) 行政サービスの100%デジタル化

(2) 行政保有データの100%オープン化

(3) デジタル改革の基盤整備

 (1) の「行政サービスの100%デジタル化」とは、単なるIT化ではありません。BPR(業務改革)を前提に、手続きのオンライン化を徹底し、添付書類の撤廃とワンストップサービスの推進に取り組みます。行政サイドの運営効率化を背景に国民サービスを向上させます。

 (2) の「行政保有データの100%オープン化」については、クラウド化、オープンデータ化は進んでいますが、利活用がこれからであり、APIを通じた公開などで促進します。

 (3) の「デジタル改革の基盤整備」は、行政データ標準の策定や法人情報のデータ連携を進めるための法人デジタルプラットフォームの構築について述べられています。

 また、ここでは詳しく述べませんが、行政と地方との連携について、「地方のデジタル改革」に向けては「(政府の)IT戦略の成果の地方展開」「地方公共団体における(政府では実現している)クラウド導入の促進」「オープンデータの推進」「シェアリングエコノミーの推進」「地域生活の利便性向上のための『地方デジタル化総合パッケージ』」の5点を挙げ、「民間部門のデジタル改革」については「官民協働による手続コスト削減」「データ流通環境の整備」の2点を挙げています。

 行政がデジタル化の枠組みを先行して作り、それを地方に広げ、民間との協力でデータ流通を活性化していくという方向性です。さまざまな規格やデータ形式が乱立することで困難になる連携と展開を、ある程度の差異は吸収できる形で行政が組み立て、主導していくことで、進展のスピードを上げることが狙いになっています。

 「官民データ活用推進基本計画」には、「世界最先端デジタル国家創造宣言」の8つの重点分野について、取り組む259の施策が整理されています。

 たとえば、[No.1-6]行政手続等における各種添付書類の提出不要化では、「平成30年上半期までに、マイナンバー制度等を活用した各種添付書類の提出不要化に向けた検討状況を『手続の見直し工程表』として取りまとめ、各府省デジタル・ガバメント中長期計画に盛り込むとともに、これに基づき取組を実施」と記述され、進捗面では「提出不要化した行政手続等の数」を、効果としては「未設定(平成30年度中に検討)」をKPIとして挙げています。

「官民データ活用推進基本計画」では、各施策についての、目標・手順・効果・KPIなどが整理されている。

 [No.1-17]死亡・相続ワンストップサービスの推進のように「関連する手続は多数存在し、その大半がオンライン化されていない」というような段階の施策もありますが、[No.1-3]民-民手続きにおけるオンライン化の推進では、「法令上オンライン手続が可能だが、依然、慣習として対面・書面手続が残っている手続について」改善の取り組みが必要と述べ、官民双方が社会全体のデジタル化に向けた意識改革を実現しようとあります。

 このように、政府と行政サービスのすべてをデジタル化するための重点目標達成に向けて個別の施策の内容を明確にしています。

民間同士のオンライン手続き促進も「施策」として検討されている。

企業がペーパーレス化を急がなくてはならない理由

 ここで、企業のペーパーレス化について振り返っておきましょう。古くはゼロックスが1970年代に提案していますが、その後1980年代のPC導入、1990年代のインターネット普及、そしてここ数年は働き方改革の促進を図るために、ペーパーレス化は注目されてきました。

 オフィスがペーパーレスになれば、紙の消費が削減されて環境保護やCO2削減に貢献できますし、印刷コストの削減や、転記や確認といった人件費の削減など業務の生産性向上が可能です。また、最近で言えば、テレワークの実現などワークスタイルを変革するためにもデジタル化、ペーパーレスは前提のひとつとなっています。

 しかし、これまで多くの企業でペーパーレス化がそれなりの進展はあっても十分な成果を上げてこなかった理由は、それぞれの試みが企業内で閉じていることが多かったためです。例えば他社と見積書や請求書をやりとりするとき、取引相手が紙ベースで社判を押したものしか受け付けなかったら、紙を無くすことは不可能です。行政への届け出等についても添付書類がデータの形では認められなければ、やはりプリントアウトが必要になります。

 このようにこれまでのペーパーレスの取り組みが予想ほどうまくいかなかったのは、企業内では成果を上げていても、外部とのやりとりでペーパーが介在していたためです。中間のメディアとして結局紙が必要なら、ペーパーレス化のために高額な投資は難しくなります。しかし、ここまで見てきたように、政府は行政サービスを100%電子化する姿勢を見せており、その大まかなスケジュールが見えるところまで来ています。それは同時にペーパーレスな電子政府(デジタル・ガバメント)の開始でもあります。

 さらに政府は、自らが実現したデジタル化を横展開し、地方自治体や民間との連携を視野に入れています。これが実現すれば、官民の取引や情報共有はデジタル化され、民間企業同士でもその仕組みを利用してのペーパーレスな取引が実現します。

 政府主導で「制度」としてのペーパーレスが実現すれば、システムは間に紙を挟むことなく回るようになり、本来ペーパーレスにより実現するはずだった効率化や生産性向上が適正な投資で実現可能になるはずです。また、ペーパーレス対応が政府調達等の条件になる可能性も高く、ビジネスチャンスを損なわないためにも、このタイミングでペーパーレスに取り組むことは企業にとって将来に向けた有望な投資です。

 企業は、近い将来実現する、この「制度」としてのペーパーレス化に対応できるよう、自社のデータと業務のデジタル化を推進していく必要があります。すでに、自覚的な企業は、ペーパーレス化のソリューションの選定や導入に取り組み始めています。既存の紙の書類をデータ化するためのPDF化関連や、大量のPDFデータを企業システムで処理できる形式にするためのRPAなどに注目が集まっています。

 すべての企業が、きたるべき「制度としてのペーパーレス化」を意識し、自社の現行システムからペーパーレス対応に移行するための準備を始めるタイミングが訪れているのです。

 次回は、ペーパーレス化をスムーズに進めてくれるソリューションをいくつか紹介します。

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筆者プロフィール:狐塚淳

 スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。

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