筆者プロフィール:山口健太
1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て2012年より現職。主な執筆媒体は日経BP ITpro、週刊アスキー、ITmedia、マイナビニュースなど。著書に『スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)。
2016/09/07
これまで本連載では、VAIO Phone Bizの特徴やWindows 10 Mobileの目玉機能である「Continuum for Phones」について、紹介してきた。第3回となる今回は、VAIO Phone Bizの可能性が大きく広がる「仮想環境」や、海外におけるSIMフリー端末としての使い勝手といった、一歩進んだ使い方を見ていこう。
文/山口健太
第2回で取り上げたContinuum for Phonesは、iOSやAndroidにはみられないWindows 10 Mobileの特徴的な機能である。だが、Continuumはまだ荒削りな状態で、ビジネスにおける即戦力になるかといえば心許ない部分もある。
たとえばContinuumに対応したアプリは、まだそれほど多くない。標準ブラウザーの「Microsoft Edge」やOfficeアプリ、いくつかのSNSアプリなどが対応しており、基本的な使い勝手を評価するには十分なレベルに達しているものの、ラインアップの寂しさは否めない。
今後、対応アプリが充実していったとしても、まだ課題はある。それはContinuumが全画面表示しかできないという点だ。ディスプレイが21インチでも30インチでも、常に全画面にアプリが表示されてしまう。
Continuumではアプリが必ず全画面表示になってしまう。
PCでWindowsを使っている人なら、誰もが当たり前のようにマルチウィンドウを使いこなしている。WordやExcelでビジネス文書を作る場合なら、資料となるWebサイトやPDFファイルを横に並べることも多いのではないだろうか。
Windows 10 MobileのContinuumも、将来的にはこうしたマルチウィンドウに対応する可能性はあるものの、現時点では常に全画面表示になる。この制限を突破できるのが、「仮想環境」の利用だ。
Windows 10 Mobileから利用できる「仮想環境」のソリューションとは、どのようなものだろうか。
たとえばシトリックスの「XenDesktop」なら、サーバー上の仮想環境で動作するWindowsを、iOSやAndroidなどさまざまなデバイスからリモートデスクトップのように利用できる。Edgeからも接続可能だ。
利用イメージとしては、VAIO Phone BizをContinuumでディスプレイに接続し、Edgeを起動、XenDesktopに接続する。するとブラウザー内にはWindows 7などのデスクトップが表示される。全画面に表示されるので、Windows 10 Mobileとは気付かないほどだ。
XenDesktopに接続した状態。全画面表示でWindows 7を利用できる。
ここではフル機能のWindowsを利用できる点に注目してほしい。たとえばExcelは、モバイル版ではなくPC版のOfficeなので、マクロやアドインといったモバイル版では使えない機能も利用できる。また、サーバー側の強力なCPUやメモリを使えるため、処理能力も大きく向上する。
シトリックスによれば、将来的にはUWPアプリ版のクライアントソフトも提供するという。これはEdgeを用いるよりもパフォーマンスが向上するという。
ほかにも、出先から会社のPCに接続できる環境ならば、Windowsのリモートデスクトップをそのまま使えるUWPアプリ版の「Remote Desktop」が提供されている。
第1回で紹介したように、VAIO Phone BizはNTTドコモのネットワークに最適化されている。では、海外に持ち出すとどうなるのか、実際に確かめてみた。
VAIO Phone Bizを持って初夏のスコットランド・グラスゴーを訪れた。
SIMフリー端末の魅力は、国内だけでなく海外でも、SIMカードを自由に入れ替えて使える点にある。そこで重要になってくるのが、対応バンドだ。VAIO Phone Bizでは、LTEがバンド1/3/8/19/21、3G(W-CDMA)がバンド1/6/8/11/19に対応する。
たとえば欧州では、LTEのバンド3や7を用いてLTEサービスを展開するキャリアが多い。英国の大手キャリア「EE」のSIMカードをVAIO Phone Bizに入れてみたところ、簡単にLTEに接続することができた。
英国EEのLTEネットワークに接続できた。
欲を言えば、スマートフォンには世界中のバンドに対応してほしい。だが、バンド対応を広く取れば取るほど、個々のバンドはつかみにくくなるとされる。VAIO Phone Bizは、日本のビジネスユーザーにとって最も重要な、日本国内での利用に絞り込んだ設計と考えてよいだろう。
米国やアジアなどの地域では、VAIO Phone BizをSIMフリー端末として活用することは難しそうだ。こうした地域を訪れる際には、現地のキャリアに対応したモバイルWi-Fiルーターを用意しておくのが良いだろう。
本連載では3回に渡り、法人向けスマホとしてのVAIO Phone Bizの魅力を紹介してきた。MVNOの選択肢も多いNTTドコモの国内ネットワークに最適化したことで、安心してビジネスに利用できる。Windows 10 Mobile独自のContinuum機能は、スマホをPCのように利用できる可能性を秘めていることも分かった。
海外と異なり、日本ではWindows 10 Mobile端末の選択肢が豊富で、目移りするほど。その中でもVAIO Phone Bizは日本国内の法人利用に最適化した端末として、現時点ではベストな存在だ。
1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て2012年より現職。主な執筆媒体は日経BP ITpro、週刊アスキー、ITmedia、マイナビニュースなど。著書に『スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)。
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