筆者プロフィール:まつもとあつし
スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。
2019/01/16
拙速に成立してしまった感もある改正入管法。ほとんどの日本企業は大規模な外国人雇用を想定しておらず、どう活用すれば良いのかといった答えを持ち合わせないまま、5年間で最大34万5000人の受け入れを目指すことになった。外国人雇用によって我々の働き方を良い方向に変えるための方策はあるのか?
文/まつもとあつし
12月8日に改正入管法(改正出入国管理法・来年4月施行)が成立しました。これは、「一定の能力」が認められる外国人労働者に対して新しい在留資格を設け、今後5年間で最大34万5000人の受け入れを目指そうというものです。
これまで日本での外国人の就労は研究者・SE・経営者などの高度な専門人材(高度外国人材)に形式上は限られていました。しかし、実際には日本で働く外国人の4割がその劣悪な待遇が問題視されている「技能実習生」や留学生のアルバイトが占めています。人手不足を背景にコンビニエンスストアや飲食店で働く若い外国人が増えたという印象を読者の皆さんも感じているはずです。
スマートワーク総研でも繰り返し指摘されているように、日本の人口構造はこれからさらに危機的な状況を迎えます。
2030年の人口ピラミッド(日本の将来推計人口 平成29年推計/国立社会保障・人口問題研究所より)。
もはやピラミッドとは呼べない形で、まるで「棺桶型」だとも言われています。人手不足がこれから一層深刻化していくなか、外国人の労働力に頼らざるを得ない状況に日本は置かれています。
新しい制度では、一定の日本語能力・就業分野の知識があれば「特定技能1号」として最長5年間の在留が認められます。対象となるのは以下の14業種が想定されています。
介護/ビルクリーニング/素形材産業/産業機械製造/電気・電子情報関連産業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造/外食業
「特定技能1号」の資格は1年ごとに更新の必要があり、家族の帯同は認められていません。しかし、その期間にさらに高度な試験に合格し熟練した技能が審査で認められれば、在留資格を更新することで事実上の永住が認められる「特定技能2号」の資格が得られるようになります(業種は現在検討中)。この資格を取得すれば家族の帯同も認められるのです。
この制度は事実上の「移民」を認めるものだという指摘もあります。諸外国で移民を巡る問題が深刻になるなか、この法案の採決を巡っては、「もっと慎重な議論を、正確なデータと共に十分に行うべきだった」という批判も少なくありません。
かなり拙速に成立した改正入管法ですが、詳細はこれから法令などで整備するとされています。技能実習生の労働環境が改善されるのか、悪質なブローカーや雇用主への規制がどのように行われるのか、注視しておく必要がありますが、一方でこの変化を前向きに捉え、スマートワークに活かしていくことも考えなければなりません。
国内の市場が縮小していくなか、あらゆる産業で海外市場への展開を押し進める必要があります。外国人の雇用はその即戦力としてまず検討されるべき課題となります。また、外国人のみならず体の不自由な方の雇用や性的マイノリティと共に働ける職場環境作り(包括・包含=インクルージョン)は、組織の多様性を増し、海外も含めた多種多様な市場とその変化への対応力の向上が期待できます。
もちろんそういった環境作りにはコストが求められます。それは単に言葉の問題だけではありません。海外での移民問題が示すように、文化的な衝突や、雇用環境を巡っての対立も当然起こりうるものとして想定しておかねばなりません。外国人雇用を促進することで、企業価値の向上や環境・社会価値の創出が十分に行われなければ、苦労ばかり絶えないということにもなりかねないからです。
これまで大規模な外国人雇用を想定していなかった多くの日本企業では、この課題に対する解答をまだ持ち合わせていないところがほとんどのはずです。スマートワーク総研でもまだ数少ない国内での成功事例などを積極的に紹介していきたいと考えています。
スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。
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