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2019/04/19

デル「Rugged」シリーズ+ICT機器が土木現場の作業効率を大幅アップ


株式会社山口土木が推し進めるICT改革

これまでデルは、働き方のシーンに合わせて最適なデバイスを提供してきました。今回は、その中から現場作業型としてヘビーな環境でも使える「Rugged」シリーズを利用して作業効率アップを実現した株式会社山口土木の事例を紹介します。IoTを積極的に活用し、作業効率も売上も高めてきた信念にも注目です。

文・撮影/飯島範久


過酷な環境で利用するためのマシン「Rugged」

デルの法人向けデバイス・周辺機器はシンクライアントからワークステーション、堅牢性を高めたRuggedといった特殊なものまで、とても好調に推移しているという。ビジネスでデルが選ばれる理由として、デルの竹内裕治氏は、「シンブルで最適な状態ですぐに使えるところでしょう。運用面でもリモートからBIOSの設定変更まで可能で、VMwareによるトータルなエンドポイント環境の管理も行えますし、キッティングでネットに接続さえすれば自動的にデプロイメントする“ゼロタッチ”にも対応しています。また、法人クライアント製品を12~15ヵ月ごとに新製品を出すことで計画的な導入が行え、お客様の安心感にもつながっているのではないかと思います」。

デル株式会社 クライアント製品本部 クライアント・ソリューション統括本部 コンサルタントの竹内裕治氏

そのなかで、通常のノートPCでの利用は厳しい、特殊な環境でも作業効率を損なわない「Rugged」シリーズがあります。Ruggedシリーズの世界シェア(ノートブックのカテゴリとして)は、2010年から2番手の位置をキープし、2018年第3四半期は27%のシェアです。

デルの堅牢PCは、2007年に登場。その後、強度を高めたりさまざまなアップデートを加えていき、2014年以降はRuggedシリーズとして、4モデルで展開してきました。型番5xxxシリーズは、IP-52以上の防塵性と0.9mからの落下に耐えられる防護性のほか、米軍の資材調達基準であるMIL Standard(MIL-STD-810G)にも対応した、工業用向けに強化された耐久モデルです。型番7xxxシリーズはより厳しいフィールドで使用するための耐久モデルで、防爆やEMI認証、IP-65の防塵・防水性、1.8mからの落下に耐える防護性(タブレットは1.2m)を備えています。

2007年にLatitudeシリーズの1つとして登場。2014年にLatitude Ruggedシリーズとなる

2018年にシリーズを5モデルに細分化。5xxxシリーズの販売比重が大きくなったため、過酷な状況よりもライトな環境で使えるモデルとし、モビリティを高めた薄型軽量モデルを追加しています。

薄型にしてよりライトな環境での利用を想定した「Latitude 5420 Rugged」

従来機を踏襲した「Latitude 5424 Rugged」

より過酷な環境に対応した「Latitude 7424 Rugged Extreme」

11インチのタブレット仕様「Latitude 7212 Rugged Extreme Tablet」

新しいRuggedは、第7、8世代のインテルCPUを採用し、フルHD直視型ディスプレイを搭載。直射日光下でも見やすいようにしているため、現場作業時でも快適に使えます。またホットスワップ可能なデュアルバッテリーにより、バッテリーが切れても作業を中断することなく、片方を入れ替えて続けられるため、1日を通して利用可能です。

この日は曇りだったが、画面が見づらいこともなく利用できた

バッテリーパックは2つ搭載し、1つ外しても可動。片方ずつ充電しながら作業を続けられる

Latitude Type-Cドッキングステーションに対応し、オフィスに戻ったらドッキングステーションにつなげて作業を続けられます。モバイルとして利用するにはさすがに重いので、ショルダーベルトなど快適に使えるアクセサリーも用意されています。

デルの佐々木彩氏は、「Ruggedが軍事利用のイメージが強いのは、もともとはアメリカ軍の要望を受けて強度を高めたりして発展してきたためです。現在は、工場や建設現場での利用をはじめ、警察や消防、救急などの工業関連やインフラ系での利用も増えてきており、活用の場は広がっています」。

デル株式会社 クライアント・ソリューション統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティングシニアアナリストの佐々木彩氏

日本での事例としては、Ruggedがマイナス29度の環境でも可動できることで、株式会社フリゴのマイナス25度の冷凍倉庫で利用されています。これまで紙とペンで在庫管理などの作業をしてきましたが、庫内でRuggedを使いリアルタイムで在庫管理を行えるようになりました。それにより、1日の紙使用量は約1,000枚を節約。作業時間も1時間ほど削減したとしています。

株式会社フリゴでは、冷凍倉庫内で手持ちだけでなくフォークリフトにも備え付けて活用している

建設業界の現状と山口土木のIT改革

株式会社山口土木 取締役統括技術部長 松尾泰晴氏。国交省の中部地方整備局からICTアドバイザーに認定されている

そして、今回土木現場での事例として愛知県岡崎市に拠点を置く株式会社山口土木の取締役統括技術部長 松尾泰晴氏に、建設業界の現状とIT変革してきた理由を伺いました。山口土木は、従業員35人という小さな会社。1990年に設立し2018年3月期の売上高は約11億円と、一見すると地方によくあるような建設会社です。取締役を含めて全員が現場作業員のスタイルで、土木構造物や道路舗装などに分かれず、すべて同じメンバーで作業しているそうです。

愛知県岡崎市にある株式会社山口土木。市内の民間元請けや公共事業の元請けが中心

松尾氏は、以前から土木のICT化に積極的に取り組み、建機メーカーの半自動で動く機材を事前にテストしていたり、大学で実演するほか、福井コンピュータのソフトウェア開発から経営に関する部分まで携わっています。デルの製品と出会ったのも、展示会でたまたま福井コンピュータの横に出展しており、Ruggedのデモを行っていたのがきっかけでした。

現場で使っていると、泥だらけになったり塗料がつくことは日常茶飯事。水道水で普通に洗って使っているとのこと。特に端子部分もキャップを気にせず洗えるのが良いそうだ。

たとえクルマに踏まれても、中身のデータは大丈夫なくらいの堅牢性を備えている

「いまやっていることは15年ぐらい前に頭の中で構想していた」と語る松尾氏。周りからは、「そんなのは無理」だとか、「それだと儲からない」とか言われ続けてきたそうで、やっと時代がマッチしてきたと感じているという。「逆に言うと時代に追いつかれたと思っていて、今は追い抜かれないように前に進んでいる」と松尾氏は語ります。

松尾氏がデルのRuggedをはじめICT機器を使って作業しているのは、キーマンの効率化のため。「時間単価の高い人の1分1秒をどれだけ切り詰めていけるか。たとえば作業員の10分を削るより、専務の10分を削ったほうがまったくやれることが違ってきますので、最新機器を使って切り詰める努力をしてきました」。

赤く塗られた人たちの作業時間をどれだけ切り詰められるかを第一に考えている

松尾氏が8年前に入社してから3年間作業をしていたところ、今のやり方だと死んでしまうと思い、まずiPhoneを7台導入したそうです。「当時は建設業界でiPadを使うとすごいと言われていた時代でしたが、図面やカレンダーが見られるとか地図が見られるとかレベル。こうした機器はつながることが重要だと考えていたが、事例を見ても各人がバラバラで使っているだけ。そこでグーグルクラウドを使って、全現場の図面を集約し、自分が外回りしているときに現場から質問がきても、図面を見ることで状況を把握。必要があればFaceTimeで現場を確認して、的確に指示を出しました」。必要な書類もクラウド上で管理することで、会社へ戻らずに作業できることにより、どれだけ時間をお金に変えられるかを追求したそうです。

人員配置も、いままでなら作業後に会社へ戻って、ホワイトボードに次の日の人員配置が書き出されているものを確認する必要がありましたが、無料のアプリを使っていつでも確認可能に。重機の管理もほかの現場で使っていないのに別の重機を借りるケースが多く、全員が重機の状況を把握できるようにして無駄なレンタル代を削減したそうです。また、当日天候によって作業するか否かの連絡もメッセンジャーアプリを使ってやり取りすることで、連絡網などという無駄な作業を解消。これらのことをやっただけで、2年間で売上が倍増、3年目に純利益も大幅に伸びたそうです。

資材が置かれている倉庫内にRuggedを設置して日報を入力させたいとしている。また、資材の在庫管理をバーコードを使って行ないたいとのこと。倉庫でも普通のマシンでは砂塵がひどくてすぐに壊れるという

Ruggedやドローン、レーザースキャナーなどICT機器導入

ただ、iPhoneだけではもう限界で次のフェーズへ。その頃、ドローンや3Dツールが揃いはじめたため、図面を見ただけでは分かりづらい完成イメージを3D空間で自由に見られるようにする取り組みを始めました。ただ、仕事に使えるかひたすらテストを繰り返していたため、松尾氏は現場から遠ざかってしまったことで、売上が大幅に下がってしまいました。それも、ようやく今年は下がる前のレベルまで復活しています。

たとえば、この図面を見てどんな現場か想像できるかというと、依頼主にはおそらく難しい

台風で土砂崩れにより崩壊し、ブルーシート部分に土のうを積み上げて復旧させる。実際の現場をドローンで撮影したもの

3Dデータに置き換えて図面を反映させたもの。3D空間内で自由に視点を変えて見られる

このように、ドローンとレーザースキャナー、3Dツールを活用することで、図面を見ただけでは分かりづらい完成イメージを把握しやすくなる。当時は大型のドローンが主流で、DJIの「Mavic PRO」のような小型で携帯に便利なドローンは無理だと言われていたそうですが、松尾氏はすぐ使えると思い、テスト導入したそうです。そのほかにも、レーザースキャナーで現場を点の集合体で3D化する機器や、正確な位置を把握する衛星を使った測量機も導入しています。

DJI「Mavic Pro」を使って上空からまんべんなく撮影する。現在は「Mavic 2 Pro」を使っている

あらかじめ動きをセットして自動操縦で飛ばし撮影を行っている

ドローンで上から撮影すると、木の下などは見えないため、レーザースキャナーと各座標をマッチングさせることで寸法まで計測できる精度のデータに仕上げています。このデータをもとに施工しているとのこと。

これはレーザースキャナー。1秒間に12万点取得でき、座標だけでなく色情報もデータ化

実際に取材時にスキャンしたデータ。取材陣もスキャンされている

衛星を使った測量機により誤差は500円玉程度だとか。準天頂衛生みちびきが本格運用すればさらに精度が上がるという

現在は最新型の測量機を導入し、垂直を取らなくても正確な位置を把握できます。その結果、工事の依頼を受けた敷地の周りを、依頼人と話しながらでも計測が可能となり、図面がすぐに作れるようになりました。そうすることで、見積もりも迅速に出せるのでお客様にも喜ばれ、「仕事ができる」と思われるだけで、次の仕事にもつながるといいます。

この測量機は垂直を取らなくても自動的に傾きを踏まえて座標を取得できる

松尾氏は「この測量機は400~500万円しますが、この業界には費用対効果がわからない人が多くて、この金額になるとなかなか投資できません。レーザースキャナーは1000万円ぐらいしますができることのメリットがまったく違います。お金を生む感覚が大事だと思っています」と語りました。

こうした現場で利用してきたのが、福井コンピュータの測量現場システム「TREND-FIELD」でした。しかし、使っていると画面が真っ白になることがしばしば。原因が特定できずにいたところ、たまたまRuggedでテストしてみたら問題なく動作。原因はスペックが低すぎて動作しなかったためでした。CADも2Dから3Dとなり、マシンの性能が求められることが大きくなってきています。

Ruggedが導入されてから、わざわざ現場事務所に置いたノートパソコンで座標値を出さずとも、現場ですぐ座標値がわかる

座標点を知りたい場所にプリズムを置いてレーザー測量機が計測。自動的にRuggedで動かしているソフト上に座標点が示される

3Dでの図面も確認できる。多少乱暴に扱っても大丈夫なので、マシンのことを気にせず作業に集中できる

松尾氏は「マシンは2年で償却しています。減価償却(4年)めいっぱいまで使う気はないですね。遅くなってイライラするよりは、速いマシンに乗り換えたほうがいいです。待っている時間がもったいないですから。費用も30万、40万円なので、費用対効果は高いですよ」。

さらにVR機器を利用することで、距離を計ったり、実際の仕上がりをリアルに確認することもできます。遠隔でも入れるようにしているので、発注者と離れたところから入って、アバターどうしで会話も可能。チェックもできる。例えば、図面だけでは不備がわかりづらいところも、VRで中に入って確認すると、問題を把握できるとのこと。

現場事務所にもVRで確認できるようにしている。また、住民説明でも2Dの図面で示すより3Dのほうが理解されるそうだ

VRの中では距離や座標点もわかり、写真を撮影すれば計測しましたという実証になる

本社にもVRが設置されていて、離れた場所からでもアバターとして会話できる

最近は事務員の女性も、興味をもってCADをやりはじめていて、数ヵ月くらいである程度マスターしているという。「こういうことができる集団はすごいと言われていますが、今の世の中、安定は保証されていません。やるかやらないかは自由ですが、みんな危機感を持ってやっています。もし会社が潰れても、どこからでも呼んでもらえるような人になれればいいですね」と松尾氏は語りました。

事務員の女性。2次元のデータからここまでできるように。わからないところは、ほかの従業員と補完しあって勉強している

松尾氏は今後について「私のやる基準はおもしろいかおもしろくないかです。我々の使命は、国土交通省がいま推し進めているICTの全面的な活用を、建設現場に導入して作業効率を高める取組「i-Construction」を普及することだと思っています。自分はプロ土木アスリートだと思っています。新しい建設業のスタイルを作りたい、工事に係るすべての人を幸せにしたいと思っています。関わった人がすべて幸せになればいいですね」と熱く語りました。

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