「テレワーク・デイズ2019」実施直前、プレイベントも盛況

~推進キャラクターの桜井日奈子さんが周知動画を紹介~

2019年7月22日から実施される「テレワーク・デイズ2019」の告知イベント「テレワーク・デイズ2019&スムーズビズ推進期間 プレイベント」が7月1日、東京都千代田区のイイノホールで開催され多くの参加者を集めた。東京オリンピック・パラリンピック開催前、最後の予行演習となる「テレワーク・デイズ」は非常に大規模な催しになる模様だ。

文/狐塚淳


「テレワーク・デイズ2019」は延べ60万人の参加が目標

2017年に開始された「テレワーク・デイズ」は、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時の都心の混雑を解消するためにテレワークを推進するための予行演習的な位置づけの催しであり、今年で3回目になる。なお、2017年のみは単日の開催で「テレワーク・デイ」だった。

2012年のロンドンオリンピックで、行政が市内の企業にテレワークを呼びかけ、8割の企業がテレワークを実施、大会中の交通機関などの混雑緩和に貢献した例にならい、2017年から実施されている。2017年は950団体、6万3千人の参加だったが、2018年には1682団体、延べ30万人の参加に増大している。

今回実施される「テレワーク・デイズ2019」は7月22日~9月6日の約1か月の期間で、全国で3,000団体、延べ60万人の参加を目標としている大規模なものだ。団体数、参加者数とも昨年のほぼ倍の目標値になっている。

東京都心の大企業や、競技会場周辺の企業などに実施を促すとともに、首都圏以外の企業や団体、官公庁などにも参加を呼びかけており、東京以外で参加を表明している団体の多い道府県は、神奈川県、大阪府、愛知県、北海道の順になっている(7月3日現在)。

都内企業に対しては、大会開催日程の7月22日~8月2日、8月19日~8月30日に集中的に実施を呼びかけ、また、期間中5日以上の実施を奨励している。

また、テレワーク一斉実施の効果測定を行うために7月24日をコア日に設定し、初参加の企業や試行実施などの場合、7月24日の1日でも参加を可能にする。

奨励する活動としては、モバイル、サテライトオフィス、地域など、さまざまなテレワークの実施、時差出勤、フレックスタイム、ワーケーションなどを組み合わせるなど、多様な働き方での参加が可能となっている。

テレワーク・デイズ」のサイト

プレイベントの主催者挨拶に登場した多様な顔ぶれ

東京オリンピック・パラリンピックの開催を来年に控え、開催期間中のテレワークを推進する予行演習としての「テレワーク・デイズ」も、今回が最後。すでに前年までの規模を大きく上回った企業などの参加が予定されているが、さらに周知を徹底し、より多くの参加企業・団体を集めることを目的としたのが今回のプレイベントだ。また、今回は、「テレワーク」「時差Biz」「2020TDM」の3つの柱により新しい働き方の東京モデルを目指す「スムーズビズ」の取り組みとの共同イベントになっている。

プレイベントの主催には総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府、東京都が並び、共催には一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、東京商工会議所、公益社団法人経済同友会、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会、一般社団法人日本テレワーク協会が名を連ねた。

総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省は、働き方改革の実現に向けてこれまでもそれぞれ独自の取り組みを進めてきたし、東京都はもちろん大会の開催主体だからここに名を連ねるのは当然だが、プレイベントにこれだけの主催・共催の名前が並ぶと、やはり日本の国民的行事であるオリンピック・パラリンピックとテレワークの強い関係性が意識される。

冒頭、テレワーク・デイズ2019推進キャラクターの桜井日奈子さんが周知動画「~Hello, My TELEWORK~」を紹介した。周知動画では桜井さんが、企業で働く女性に扮し、テレワークやサテライトオフィス利用など、新しい働き方でビジネスを進めていく成功体験を紹介する、直感的にわかりやすいものだった。

テレワーク・デイズ2019周知動画「~Hello, My TELEWORK~」

テレワーク・デイズ2019推進キャラクターの桜井日奈子さん

主催・共催者の挨拶では、石田真敏総務大臣がビデオメッセージで登場、世耕弘成経済産業大臣の挨拶文は滝波宏文経済産業大臣政務官が代読し、テレワーク・デイズへの意気込みとともにそれぞれの省の取り組みを紹介した。

続いて挨拶に立った、鈴木俊一東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣は大会中の物流・配送ルートに一部規制を設けるなどの適正化についても述べた。最後の挨拶は篠原弘道経団連副会長・デジタルエコノミー推進委員長が、テレワーク・デイズが多様な働き方を考えるきっかけにしたいと述べた。

主催者挨拶:石田真敏総務大臣のビデオメッセージ

主催者挨拶:鈴木俊一東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣

東京オリンピック・パラリンピックの成功と円滑な経済活動に向けて

続くパネルセッションでは、モデレータにテレワークマネジメント代表取締役の田澤由利氏を迎え、味の素や愛媛県西条市、トヨタ自動車など15の登壇企業・団体が3つのグループに分かれ、それぞれ「人の流れを変える働き方改革」「物の流れを変える業務改革」「新たな動きを創る社会改革」のテーマで、各企業の先進の取り組みが紹介された。

なかでも、セッション2に参加したセブン-イレブン・ジャパンの、店舗への配送時間帯を変更することで、都内の交通混雑が発生する大会期間中の経済活動に支障をきたさない取り組みなどは、ついついビジネスマンの働き方にばかり目が行きがちなテレワーク・デイズの取り組みの一方で、途切れることのない経済活動を実施していくことの重要さに気づかせてくれた。

パネルセッションでは、登場15企業・団体の多様な働き方などへの先進的な取り組みが紹介された

最後に小池百合子東京都知事が「2019夏の取組に向けて」と題した挨拶をして閉会となった。小池知事は、新宿都庁舎の職員1万人を完全オフピーク通勤にするなど都としてのテレワーク・デイズへの取り組みを述べ、テレワーク・デイズ全体の取り組みが、東京オリンピック・パラリンピックの成功と経済活動の円滑な実施に寄与し、ぜひともレガシーになってほしいと結んだ。

小池百合子東京都知事による閉会の挨拶

都内のテレワーク・デイズ参加企業は5日以上の参加を求められているが、2020年の開催期間中本社をクローズして全社テレワークを行うことを発表したリコーなど、来年の大会中の都内混雑解消に向けて、今後もさまざまな活発な動きが出てきそうだ。

テレワーク・デイズには参加団体のほかに「応援団体」がある。応援団体は、大会時の企業などのテレワーク実現に向けたノウハウ、ワークスペース、ソフトウェア等を提供、もしくはワーケーションを支援する企業だ。応援団体の中には、今回パネルセッションに登壇したシェアオフィス、サテライトオフィス事業を展開するWeWorkJapanのように、テレワーク・デイズに向けた無料キャンペーンなどを企画しているところもある。

これからテレワーク・デイズへの参加を考えている企業や、テレワークに取り組もうとしている企業は、こうしたキャンペーンなどを利用して、取り組みのハードルを下げる試みも有効だろう。

筆者プロフィール:狐塚淳

 スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。