ワーキング革命 - 第39回

「ちゃんと働いているか」がチェックできる「MaLion」シリーズ


2019年4月1日から、働き方改革関連法が施行され、大企業を中心に残業の抑制や有休消化の促進が始まっている。中小企業への適用は来年になるが、すでに準備を開始した企業も多い。そんな中にあって、経営者や管理者の頭を悩ませている問題が、社外での労働実態の把握だ。その課題を解決するソリューションとしてインターコムは、在宅勤務やモバイルワークの見える化で働き方改革に貢献する「MaLion」シリーズを提供している。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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IT資産管理や情報漏えい対策から派生

 ファクスサーバーの「まいと~く」シリーズやIBMメインフレーム用端末エミュレーター「FALCON」シリーズなどのアプリケーションを開発してきたインターコムは、WindowsとMac OSに対応した情報漏えい対策・資産管理ソフトウェア「MaLion」シリーズを12年以上にわたり開発してきた。

 MaLionの基本的な機能は、PCにインストールしたエージェントからの情報をサーバーで収集して、PCの稼働時間や状況をリアルタイムで監視する。また、収集した情報をもとに、PCにインストールされているアプリケーションや各種デバイスなどのIT資産管理も行う。そんな高度なPCのモニタリング機能を有するMaLionを、インターコムは働き方改革のIT商材として提唱している。

 これまで本連載で取り上げてきたワーキング革命のソリューションの多くは、持ち出しPCのセキュリティ対策が中心だった。だが、今回のMaLionによるワーキング革命は、単なるセキュリティ対策とは異なる。そのソリューションの基本は、社員が利用するPCの「見える化」による働き方改革への貢献だ。

経営者が抱える課題は働き方の的確な見える化

 働き方改革関連法では、労働時間の短縮だけではなく、ワークライフバランスを実現できる柔軟な労働環境の実現も目指している。その中でも特に、多様な働き方を実現する手段の一つとして、在宅勤務を促進するテレワークや、場所に縛られないモバイルワークなどが注目されている。しかし、PCを活用したテレワークやモバイルワークの推進には、大きな課題が横たわっている。それは、「ちゃんと働いているか」をチェックする体制や制度の整備だ。

 性善説にのっとるのであれば、全ての社員は誠実に職務に対応するので、社内にいなくても与えられた業務を的確に遂行するから、積極的に社外でのPC利用を解放できる。その結果、全社での働き方改革は推進される。ところが、こうした性善説でテレワークを早くから導入してきた企業では、予期しない課題に直面した。それが「ちゃんと働いているか」のチェック問題だった。

 おそらく「ちゃんと働いているか」を気にするのは、総務部や労務管理に携わる部門であって、個々の社員や上長などは気にしないと思われるかも知れない。ところが、実際にはテレワークを申請する個々の社員も、「ちゃんと働いているか」を実証できなければ、在宅勤務を申請しづらいのだという。どれだけ上長からの信頼が厚くても、チームやグループ、あるいは同じ部署や部門の同僚や部下の全てから、「あいつは家でもちゃんと働いている」と信用されているとは限らないからだ。

 つまり、自分は「ちゃんと働いている」と実証できる環境が整備されなければ、本当のテレワークやモバイルワークは実現できない。そんな課題を解決するソリューションが、MaLionのようなPC監視ツールを応用した働き方のモニタリングによる「見える化」となる。

AIエンジンで過度な時間外労働を解析

 インターコムのMaLionシリーズは、組織のクライアントPCを一元的に管理して、従業員の働き方を見える化する。基本となっているのは、OSへのログオン監視によるPCの利用時間のモニタリングだ。その結果、社内でも社外でも従業員の利用するPCが、労働時間の範囲内で適正に使われているかを見える化できる。

 MaLionシリーズは、Windows PCだけではなくMacにも対応するので、クリエイターやデザイナーなどMac利用が中心の従業員における「ちゃんと働いているか」の見える化も実現する。きちんと働いていることを証明できる環境を整備すれば、多くの従業員がテレワークやモバイルワークを利用するようになる。

 MaLionシリーズの提案は、働き方改革関連法への実践的な対策となり、 多くの企業経営者や人材管理者の課題を解決する。加えて、MaLionシリーズには経営者が魅力に感じる労働管理機能が備わっている。それは、従業員の過度な働き方や危険な兆候の発見だ。

 MaLionシリーズには、オンプレミスで運用するサーバー版とクラウド版がある。その中で、サーバー版の最新版となる「MaLion 6」では、従業員の過度な時間外労働の傾向をAIエンジンで解析する新機能が搭載されている。機械学習を活用したレポート作成機能により、過度な時間外労働の把握や、業務量の多い従業員の掌握、情報漏えいのリスクが高い行為の発見も可能になる。

 MaLionシリーズの需要が増えている業種は、印刷や出版、広告業界だという。こうした業界では、クリエイターやデザイナーがMacを利用しているケースが多いため、これまで労働実態の把握が困難だった。しかし、Mac OSにも対応しているMaLionシリーズの導入によって、実労が把握できるようになっているのだ。また、IT業界でもMacユーザーが増加しているので、MaLionシリーズを提案する機会が増えている。そして、不動産業界でもサービス残業の把握などに活用されているケースがあるという。

 加えて、もともとのMaLionシリーズの機能を活用すれば、情報漏えい対策の強化やIT資産管理による総ITコストの節約にもつながる。これまで、IT資産管理やPCの利用実態に興味を示さなかった中堅・中小企業の経営者にも、働き方改革という視点でMaLionシリーズを提案すれば、新しいビジネスへとつなげられるだろう。

(PC-Webzine2019年6月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

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