スマ研・ニュース解説 Vol.9


スマートワーク関連の気になるニュースを深掘り! 第9回は「テレワーク・デイズ2019を振り返る」、「産業医の約7割が、働き方改革による『長時間労働の改善を感じる』と回答」、「福利厚生の『どこでも社食』が『幸楽苑』と提携」の3本です。

文/狐塚淳


【NewsPickUp-1】

東京オリンピック・パラリンピック開催前の最後の「テレワーク・デイズ」が終了 

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時の混雑緩和のために、テレワークの導入・活用を推奨する「テレワーク・デイズ2019」が終了した。3回目となる「テレワーク・デイズ」だが、今回の実施期間は7月22日~9月6日。参加団体の総計は2,887団体に上った。

https://teleworkdays.jp/

【解説】

 2019年7月22日から9月6日まで、来年の東京オリンピック・パラリンピックの期間とまるまる重なる1月半近い「テレワーク・デイズ2019」が終了した。2012年ロンドンオリンピックの時に、行政が市内企業にテレワークを呼びかけ、大会中の交通機関などの混雑緩和に貢献した例にならい、2017年から実施されてきた「テレワーク・デイズ」も、今回が本番前最後の予行演習となった。

 全国で3,000団体、延べ60万人の参加を目標として設定した今回の「テレワーク・デイズ」だが、9月9日の最終更新では参加団体の総計は2,887団体とほぼ目標をクリアした模様だ。まだ延べ参加者数の発表はないが、こちらも目標に近い数値を達成できていると予想される。ちなみに2018年の参加団体数は1,682団体、延べ30万人の参加だった。

 東京都以外にも、大阪府や神奈川県、愛知県や北海道などの企業・団体が数多くこの試みに参加しているのは、オリンピックを意識してよりも、働き方改革の一環としてのテレワークの実験や導入の意味合いもあるのだろう。

 今回、来年の開会式と同じ7月24日が効果測定を行うためのコア日に指定され、当日は全参加団体の半数を超える1,762団体が参加した。当日の鉄道利用者の前年との比較は、ピーク時間帯の8時台で霞が関・虎ノ門エリアで約22%減、浜松町・田町エリアで約12%減少など大きな成果を上げた地区もあるが、全体では約3%の減少にとどまっている。

 オリンピック時には競技場周辺の駅や乗り換えのターミナル駅ではかなりの混雑が予想されるため、さらなるテレワークの実施が望まれる結果となっている。しかし、コア日の参加企業が半数を超える程度であったことは、まだアナウンスが不十分であったとも言えるわけで、来年の同日のテレワーク参加企業増加は望めそうだ。ロンドン五輪のテレワーク・デイズもぶっつけ本番だったが、8割の企業が対応した。

 オリンピック以外の効果を考えると、長期にわたるテレワーク・デイズが全国的に実施されたことで、テレワークの認知と導入への機運が高まったであろうことは、今後の働き方改革の浸透に有益であったと言えるだろう。

TDMの取組(速報)「交通輸送技術検討会(第6回)」資料(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、東京都)より ※TDMは「交通需要マネジメント」の略

https://tokyo2020.org/jp/games/transportation/data/20190826-appendix.pdf

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