Microsoft Officeで業務効率アップ!【第43回】

PowerPoint「秒速プレゼンテーション」のすすめ(2)


1枚のスライドの説明は1分以下。どんどんめくっていく新しいスタイルのプレゼン「秒速プレゼンテーション」の2回目だ。今回は、スライドの作り方の基本と、説得力が高くなる理由を紹介していく。今までのスライド作成の苦労が、半分以下になるので、このノウハウをぜひ身につけていただきたい。

文/戸田 覚


見せないスライドに価値がある

 秒速プレゼンテーションでは、1枚のスライドに1つの内容を入れるのが基本だ。下のようなスライドをこれまでによく作成してきたことだろう。

 まあ、基本的といえるスライドのレイアウトで、箇条書きに3つのポイントを盛り込んでいる。だが、この内容がスライド1枚に収まっているのが、そもそも正しいのかを考えてほしい。

 もし、3つの情報を比較するスライドなら、1枚に3項目が入っているべきだ。当たり前だが、3つ並んでいなければ比較はできない。

 ところが、3つの項目を上から順番に説明するとどうだろう。最初の1つを説明している段階で、聞き手は3つ全部目にしていることになる。すると、最初の1つをきちんと聞いてくれずに、2つ目、3つ目に関心を抱いている人も出てくるわけだ。

 ここが、秒速プレゼンテーションのいいところだ。つまり、その時に必要ではない情報は見せないことができるのだ。つまり、聞き手の意識をかなりコントロールしやすいわけだ。

一般的なスライドでは、情報がみんな見えてしまう

内容を分解していく

 では、秒速プレゼンテーションのスライドを作成するには、どのような手順を踏めばいいのだろうか。これは案外簡単で、内容をバラしていけばいい。最初のスライドには、タイトルが1行と3つの解説があった。それぞれをばらばらにして、1枚1つの様相に作り替えるのだ。

 まず、最初のスライドには、「3つのポイント」と記載する。これがタイトル代わりで、全部で3つの項目を説明すると宣言しておく。これによって、聞き手は説明の規模感がなんとなくつかめる。一般的なスライドでは、3つの項目がある図解を見せているわけだが、それを見せることなく「3項目ある」と伝えるのだ。

まず、最初に説明の量を提示する

1枚のスライドが7枚に

 あとは、それぞれの内容を分解していけばいい。項目→説明という形を3回繰り返す。都合、6枚のスライドができあがるはずだ。その内容は最初に作成した、3つの項目がある図解と同じだ。

 ただ、ひたすらにシンプルなスライドを続けていくだけだ。こうすることによって、聞き手はシンプルに理解してくれる。脇目を振らずにスライドの内容だけを頭に入れてくれるのだ。しかも、テンポよくめくっていくので目を離せないし、退屈することもない。

 今回は文字だけで作成したが、途中に写真などを挟み込んでもかまわない。その際も、文字や説明などを無理にレイアウトする必要はなく、なるべく写真を大きくレイアウトするだけでいい。その方が見やすく、頭にも入りやすいものだ。

1枚のスライドが、合計7枚(全体+6枚)に分けられる。これが秒速プレゼンテーションだ

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。