ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第36回

タッチ対応15型ディスプレイ搭載で約1.5kg! クラムシェル型のお手本のようなノートPC


マイクロソフト「Surface Laptop 3 15インチ」法人向け税別14万4,800円~

スマートワークに活用するモバイルPCに求められる最重要スペックは、軽さと長時間駆動ですが、それ以外の処理速度、画面サイズ、解像度、操作性、堅牢性などの要素もバランスよく備えている必要があります。そこで今回ご紹介したいのが、マイクロソフトの「Surface Laptop 3 15インチ」。突出した特徴はないもののトータルバランスに優れた、まさにクラムシェルタイプのリファレンスモデルのように仕上げられているのです。

文/ジャイアン鈴木


法人向けモデルは6つのタイプを用意

「Surface Laptop 3」は製品名のとおりシリーズの3世代目。第1、第2世代は13.5インチモデルのみでしたが、今回は13.5インチ(2256×1504ドット)と15インチ(2496×1664ドット)の2モデルがリリースされました。

15インチモデルには、CPUはCore i5-1035G7 / Core i7-1065G7、メモリーは8GB / 16GB / 32GB、ストレージは128GB / 256GB / 512GB / 1TBを用意。これらを組み合わせて、法人向けには下記の6モデルがラインアップされています。左からCPU、メモリー、ストレージ、色で価格はいずれも税別です。

・Core-i5 / 8GB / 128GB / プラチナ 14万4,800円
・Core-i5 / 8GB / 256GB / プラチナ 16万4,800円
・Core-i5 / 8GB / 256GB / ブラック 16万4,800円
・Core-i7 / 16GB / 256GB / プラチナ 20万5,800円
・Core-i7 / 16GB / 512GB / ブラック 24万9,800円
・Core-i7 / 32GB / 1TB / ブラック 31万800円

 ちなみにCore i5-1035G7のクロック周波数は1.20GHz(最大3.70GHz)、Core i7-1065G7は1.30GHz(最大3.90GHz)と多少の差はありますが、コア数 / スレッド数はどちらも4コア8スレッドと同じ。処理性能は体感できるほどの差ではないので、基本的にはメモリー容量とストレージ容量で購入するモデルを選んでよいでしょう。なお今回はCore-i5 / 8GB / 256GB / プラチナという構成の「RDZ-00018」(16万4,800円)を借用しています。

今回借用したのはプラチナモデル。このほかにブラックモデルが用意されています

法人向けのCPUはインテルのCore i5-1035G7 / Core i7-1065G7ですが、コンシューマー向けにはAMDのRyzen 5 3580U / Ryzen 7 3780Uが搭載されています

Mini DisplayPortに代わりUSB Type-C端子を搭載

Surface Laptop 3 15インチの本体サイズは339.5×244×14.69mm、重量は1542g。「Battery report」コマンドで確認したところ、設計容量は4万5,800mWh、フル充電容量4万6,790mWhのリチウムイオンバッテリーを内蔵されており、最大11.5時間のローカル動画再生が可能なバッテリー駆動時間が謳われています。

画面は、15インチPixelSenseディスプレイ(2496×1664ドット、201ppi、縦横比3:2)を搭載。10点マルチタッチ操作とSurfaceペンによる描画に対応しています。

インターフェースはUSB Type-C×1、USB Type-A×1、3.5 mmヘッドフォンジャック×1、Surface Connectポート×1を搭載。Mini DisplayPortに代わりUSB Type-C端子が搭載されたわけです。通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0をサポート。残念ながらWWAN(LTE)対応モデルは用意されていません。

ACアダプターは独自のSurface Connectポート仕様が同梱されていますが、USB Power Deliveryに対応しており、USB Type-C端子経由で充電が可能です。GaN(窒化ガリウム)採用の超小型USB Power Delivery対応充電器と組み合わせれば、持ち歩く荷物を軽くできますよ。

本体天面。ボディー材質はアルミニウム合金です

本体底面。底面のヒンジ部分には放熱口が配置されています

本体前面と本体背面

本体右側面(写真上)にSurface Connectポート×1、本体左側面にUSB Type-A×1、USB Type-C×1、3.5 mmヘッドフォンジャック×1が配置されています

15インチPixelSenseディスプレイには、「エンハンス」と「sRGB」のふたつのカラープロファイルが用意されており、ディスプレイの設定で切り替え可能。デフォルトは「エンハンス」ですが、忠実な色を表示したい時には「sRGB」を選択します。なおディスプレイ上部には、720pのWebカメラとWindows Hello対応顔認証用カメラが搭載されています

カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率99.1%の色域を確認しました。モバイルノートPCとしては平均以上の色域です

10点マルチタッチ操作とSurfaceペンによる描画に対応。Surfaceペンは別売りです

キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後。「\」キー以外の文字キーはすべて等幅に揃えられており、打ちやすいキーボードです

Surface Connectポート仕様のACアダプターを同梱

本体の実測重量は約1550g

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測289.5g

Core i5-1035G7を搭載した下位モデルでも十分な処理能力を発揮

今回借用したのはCPUにCore i5-1035G7を搭載した下位モデルですが、CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」を実行したところ、CPUスコアは712 cbを記録。第8世代のインテルCore i7プロセッサー搭載機では、700 cbに達しなかったモデルが数多くあったので、本製品は十分な処理能力を備えていると言えます。

一方、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」ではシーケンシャルリードが2003.28 MB/sに留まりました。他社薄型ノートPCのフラッグシップモデルの多くが3000 MB/sを超えているなか若干見劣りするスコアですが、体感できるほどの差ではないと思います。

バッテリー駆動時間については、バッテリーベンチマーク「BBench」でディスプレイ輝度40%、バッテリー残量3%までという条件で計測したところ、8時間49分44秒というスコアを記録しました。ディスプレイ輝度はまだ下げる余地があるので、一般的な利用スタイルであれば継ぎ足し充電しなくても済むバッテリー駆動時間を備えていると言えます。

総合するとCore i5-1035G7搭載モデルでもクリエイティブ系アプリを利用できるだけの処理性能を発揮しており、ストレージ速度も必要十分なパフォーマンスを備えています。ただし、今後も取り扱うデータサイズが大きくなることは間違いありません。もし筆者がSurface Pro 3を購入するとしたら、16GBのメモリーを搭載したモデルを選ぶと思います。

CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは712 cb、OpenGLスコアは65.03 fps

ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」のシーケンシャルリードは2003.28MB/s、シーケンシャルライトは812.33MB/s

「Battery report」コマンドを実行したところ、設計容量4万5,800mWh、フル充電容量4万6,790mWhと表示されました

場所を移動しつつ1日ずっとPCワークするなら大画面モデルがオススメ

Surface Laptop 3の13.5インチモデルは1265g、15インチモデルは1542gと277gの差がありますが、ディスプレイのサイズと解像度が大きいぶん15インチモデルのほうが長時間利用した際の疲労が少ないです。場所を移動しつつも、結局はほぼ1日PCの画面を見続けて作業する方は、多少大きくて重くても、視認性を優先するべきだと筆者は考えます。

15.6インチモデルで1kgを切るノートPCも存在しますが、処理速度、画面サイズ、解像度、操作性、堅牢性のトータルバランスを考慮すれば、Surface Laptop 3 15インチの1542gは個人的には十分許容範囲です

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。