MINDSレポート【第4回】

ウィズコロナの時代にも、ミレニアル世代は新しい働き方を探求する

ミレニアル世代が主導する異業種連携働き方改革推進コミュニティMINDSの2年目の活動が本格化している。新型コロナウイルスによる自粛要請から非常事態宣言への流れの中でも、新しい働き方を模索する彼らの活動は継続しており、ウィズコロナ時代の到来にも先行したリモート対応を実践している。

文/狐塚淳


MINDS アップデート

・2020年活動継続決定、新たに3社が参画

・2020年3つのチャレンジを決定

・2020年4月~ MINDS DAYをリモートで実施

トップダウンではなく、新しい働き方を考えていく

 ミレニアル世代が主導する異業種連携の働き方改革推進コミュニティMINDS(Millennial Innovation for the Next Diverse Society)が発足したのは2019年1月だった。2025年までに世界の労働人口の75%が35歳以下になるという予測の中、ミレニアル世代こそがこれからのより良い働き方を探求し、変革をリードしていくべきだと考えるMINDSの活動に、マイクロソフトや味の素、JALなど、働き方改革においても先進的な10の大企業が当初から参画した。

 働き方改革の多くの成功事例では、成功した要因として経営者がトップダウンで取り組んだことが挙げられている。確かに、働き方改革の取り組みについて、従業員の意識への浸透がまだまだ不十分な場合は、トップが働き方改革推進室などを組織し、その方向性を具体的に示すことで、取り組みをスピードアップすることが可能だろう。

 しかし、方向性を絞り込むことでスピードアップが図れる分、情報収集や改革の手法の選択に偏りが出てくる可能性も完全には否定できない。より広く取り組みの選択肢を検討し、10年先20年先までを睨んだ、働き方改革への道筋を構築するには、現場の若い働き手が意識的に改革に取り組んでいく必要がある。

 ミレニアル世代は人数的には多数派だが、まだ大企業の中で主導的な役割を果たせるポジションを占めていない場合も多い。そこでMINDSが考えた仕組みは、参画企業のミレニアル世代によるコミュニティメンバーとリーダーを各社から募るとともに、参画企業の役員・部長クラスをエグゼクティブスポンサーと位置付け、異業種連携コミュニティが検討した新しい働き方の実践と提言を、参画企業各社へフィードバックし、企業ベースでの実践を進め、さらにはそれを社会変革に向けた提言として発信していこうというものだ。つまり、MINDSは発足当初から、参加企業各社のコミットメントを前提としている。

MINDSの概要

 こうした体制のもと、MINDSは「すべての個人が自分らしく働く社会を実現する」というミッションと、「業界、会社の枠を超えたミレニアル世代から多様性ある働き方を日本社会に浸透させる」というビジョンを決定し、自分らしい働き方として「やりがいのある仕事へ」と「自由な働き方の選択へ」という方向性を定め、5つのテーマで分科会活動を進め、成果をあげてきた。そのメッセージは社会的にも認知されつつあり、東京都主催の「スムーズビズ推進大賞 特別賞 フューチャー賞」を受賞している。

MINDS2年目のスタートと、新型コロナウイルス禍

 当初、MINDSは1年間限定のプロジェクトとして開始された。MINDSメンバーは企業の従業員であり、仕事としてコミュニティに参加し、そこで得た気づきを企業に持ち帰りそれぞれの企業の中で発展させることが構想されていた。

 しかし、2020年2月に開催された「MINDS2019年活動報告会・記者発表会」で、新たにキリンホールディングス、東洋エンジニアリング、日本通運の3社の参加と、2020年の継続が発表された。MINDSのチームリーダーを務めるマイクロソフトの山本築氏は「コミュニティ内からも、やり残した取り組みや今後取り組みたいことがあるなど、継続を望む声があがってきました。それを検討し、10月くらいに活動を続けることを決定しました」と振り返る。参画企業が増加し、日本の社会に自由な働き方とやりがいのある仕事というMINDSのビジョンが拡大しつつあるタイミングで、活動の母体となるコミュニティの継続は必須だろう。

 活動報告会では、MINDSからの提言として“Diverse,Inspiring,Inclusive”~違いを楽しみ、やりがいを持って、変化を受け入れる~が、提示された。従来からMINDSが掲げていた働き方への取り組み方が、1年間の活動を経て、取り組みの姿勢を示すメッセージになった。

 そして2020年の活動として、MINDSのメッセージの浸透を図るために3つのチャレンジに取り組むことが発表された。一つ目が、メンバー交流会やイベント企画日などを月1回ペースで実施する「MINDS DAY」の制定。二つ目が、ミレニアル世代のキャリア成長を促すための情報交換会を行い新しい価値観を共有する「クロスリバースメンタリング制度」や「社外インターン制度」を導入するための「ピボットキャリアトライアル」。そして三つ目はミレニアル世代を対象とした「企業横断研修」の検討開始だ。

MINDS 2020年3つのチャレンジ

 これらの推進には、メンバーや参画企業エグセクティブなどが、初年度以上に濃密なコミュニケーションを行っていく必要があるだろう。しかし、2月の活動報告会からほどなくして、新型コロナウイルスが日本でも広がりを見せ始めた。働き方改革の観点から見れば、日本のテレワークを加速させたという効果もあったが、自粛要請から非常事態宣言への流れの中で、多くの企業活動が制限される事態になった。

 MINDSの活動も、対面の形は制限を受けざるを得ない。たとえば、社外インターンを行うにしても、相手先の企業がテレワーク中だとすれば、意思の疎通や活動内容に影響を受けざるを得ない。

 しかし、異業種複数企業にまたがるコミュニティであるMINDSは、以前からマイクロソフトのTeamsで他社メンバーともコミュニケーションを図ってきた。その経験を活かし、2020年のキックオフとして、最初のMINDS DAYを4月にリモートで開催した。

 およそ50名がTeamsを使用して、MINDS DAYに自宅からオンライン参加した。新規参画企業のメンバーも進んでコミュニケーションに参加できるよう、アジェンダを事前共有した。そして、人数を絞れるグループワークを全体ワークに先行して行うことで参入ハードルを下げ、チャットの利用で対話の活性化を図るなど、運用の工夫を重ねて、活発なリモートミーティングを実現した。その模様はMINDSが情報発信に利用しているnoteに詳しい。

 5月に開催された第2回のMINDS DAYでは、MINDSの活動の中心となるプロジェクトの立案を実現していくために、事前アンケートによるアイデア共有から、OneNoteのテンプレートを使用したプロジェクト立案書の作成までを、8つのグループに分かれて実施した。今回もTeamsをコミュニケーションツールとして利用し、立案書作成に一時間、その発表に一時間を使った。この立案書をもとに、今後の議論を深めていくそうだ。

 テレワークを利用する企業の割合は自粛期間に増大したが、まだ企業内で閉じた業務の置き換えが主で、新しいメンバーを加えた他社との協働作業をどうリモート化するかなどは今後の課題となっているケースがほとんどだろう。しかし、MINDSのミレニアル世代メンバーたちは、ウィズコロナ時代の新しい働き方の実践に向けてすでに活動を開始している。彼らの取組から生み出される新しいプロジェクト、次の提案に期待が高まる。

MINDSのFacebook: https://www.facebook.com/MINDS2019
MINDSのnote: https://note.com/minds

筆者プロフィール:狐塚淳

 スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。