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2020/11/06

ワーキング革命 - 第56回

「改正電子帳簿保存法」で業務システムのデジタル化は加速するか


2020年10月1日から「改正電子帳簿保存法」が施行され、デジタルデータの利用明細が領収書の代わりとなり、キャッシュレス決済は領収書が不要になる。以前の仕様は「小規模な事業所では電子化の促進にならない」と指摘されてきたが、新たな改正で業務のデジタル化は加速するのか。その最前線の取り組みを業務アプリ開発メーカーに聞いた。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

デジタル明細やキャッシュレス決済では不十分

 改正電子帳簿保存法が事業部門のデジタル化を加速するかどうかについて、小規模事業者向けに「弥生会計」などの業務ソフトを提供してきた弥生では、「直接的な経理業務のデジタル化にはつながらない」と危惧する。これまでにも、電子帳簿保存法は何度も改正されてきたが、二人以上のダブルチェックが求められたり、タイムスタンプの運用が必要になるなど、数人または一人で経理を賄っているような会社では、運用に課題があり現場での導入は進んでこなかった。こうした背景から、今回の改正電子帳簿保存法の施行でも、業務のデジタル化の加速がすぐに進むことはなさそうだ。

 その一方で、コロナ禍の中にあり、会計ソフトの市場には顕著な変化が表れている。2020年4月末に実施されたMM総研による調査によれば、会計ソフトの利用形態としてクラウドが20%台に到達した。具体的な変化の値としては、2019年3月の調査による18.5%に対して、2020年4月に21.3%と上昇している。弥生によれば、自社の売上比率の分析からも、4月以降でクラウド会計ソフトの伸びが続いているという。

 これまで、出社して職場にあるPCで会計業務を行うことが当たり前だった働き方が、コロナ禍による急速なテレワークの広がりで、業務担当者の在宅勤務に適したクラウド型の会計ソフトが需要を高めている。その傾向は、緊急事態宣言が解除された後も続いていて、例年ならば年末や年度末に集中する会計ソフトの販売が、5月も6月も対前年比を上回り「140%伸びている」という。

 弥生では、こうした傾向は会計ソフトだけではなく、経費精算や勤怠管理など他の業務ソフトにも広がると予測している。改正電子帳簿保存法によるデジタル化は期待できなくても、ニューノーマルに適した働き方を実践するために、小規模事業者にもクラウドを活用したテレワークの流れはきている。

3年後の電子インボイスを見据えた新たな商機

 会計業務を取り巻く制度改正としては、3年後の2023年10月1日から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が導入される。弥生では、このインボイス制度の施行を「業務のデジタル化によって大幅な効率化を実現する機会」と捉えている。そのために、「電子インボイス推進協議会」を10社共同で今年7月29日に発足させた。同協議会では、電子インボイスの標準仕様を策定・実証し、普及の促進を目指す。

 多くの事業者が共通で利用できる電子インボイスシステムを構築するためには、仕様の標準化が不可欠だ。標準仕様は、大企業から中小企業まで、分け隔てなく利用できなければ意味がない。そして、電子インボイスが広く利用されるためには、標準仕様に対応した業務ソフトウェアと通信ネットワークが必須になる。そのための標準化を実現するために、電子インボイス推進協議会は活動していく。

 実際に3年後の施行に間に合わせるためには、遅くとも2年以内には、標準仕様に準拠した業務アプリケーションとネットワーク網が構築されている必要がある。これらの基盤が整えば、中小企業でも業務のデジタル化は加速し、関連する商材も広がる。

クラウドストレージの利用も提案

 改正電子帳簿保存法や適格請求書等保存方式(インボイス制度)といった大きな制度改革による業務のデジタル化を後押しする流れがある一方で、多くの小規模事業者では喫緊のコロナ禍対策を求めている。こうした需要に応えるために、弥生では一時的にライセンスの条件を緩和して、会計ソフトを利用できる場所に柔軟性を提供した。

 具体的には、会計ソフトを利用できるPCを職場や会計事務所だけではなく、在宅にも広げた。そのおかげで「自宅で経理業務」を遂行できる環境が整い、コロナ禍をしのいだケースも多い。

 しかし、こうした緊急事態での対応は、真のデジタル化には至らない。実際のところ、多くの現場では「自宅のプリンターで請求書を印刷して郵送している」という。職場が家に変わっただけの現状にある。こうした状況を改善するきっかけは、やはりクラウドにあるが、売上を伸ばしているとはいえ、急速なクラウド化には抵抗も多い。

 そこで弥生では、オンプレミスとクラウドの中間に位置する「弥生ドライブ」を活用したテレワークも提案している。弥生ドライブは、いわばOneDriveやGoogleドライブの弥生版だ。弥生が提供するクラウドストレージに、会計ソフトからダイレクトにデータをやりとりできる。通信環境さえ整えておけば、クラウドに精通していない業務担当者でも、業務データのアップロードが可能だ。また、データ共有サービスを活用すれば、社内外の関係者ともデータを共有できる。

 オンプレミスの業務ソフトとクラウドストレージの連携は、業務部門のデジタル変革の第一歩であり、働き方改革の商材として提案できる可能性も高い。

(PC-Webzine2020年11月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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