【第2回】ベンチャー女優・寺田有希さんから学ぶ――これからのビジネスパーソンに求められる働き方
2021/01/26
5G × フィールドで変わるソリューションの未来【第二回】

MM総研 加太幹哉アナリスト
大手キャリアによってコンシューマー向けのサービスが開始された「5G」。この技術を応用してプライベートな空間で運用し、産業や行政の場でも活用しようという「ローカル5G」の実用化へ向けた取り組みが活発化を見せています。今回は、集合住宅におけるローカル5G活用の可能性や現状に加え、新たなエアモビリティとして期待が高まる5Gを使ったドローン技術のいまと今後の可能性について、それぞれMM総研の加太幹哉アナリスト、狩野翼アナリストに聞いてみました。
文/古作光徳
ローカル5G活用でワイヤレスを民主化
オフィスやマンションがローカルキャリアに
加太 主に生産拠点を持つ企業や自治体を中心に実証実験が行われているローカル5Gですが、その波はコンシューマーの手が届く範囲まで広がりを見せつつあります。例えば私たちにとってもっとも身近であり、頻繁にモバイルソリューションを活用する場所と言えば、マンションのような集合住宅やオフィスといった空間です。
―― ブロードバンド通信サービスや企業ネットワークサービス事情に精通するMM総研の加太氏によると、2020年現在の光回線契約数は約3400万件。その約1/3となる1000万件以上は集合住宅で利用されており、固定ブロードバンドはさらなる広がりを見せているとのことです。
加太 マンションの場合は、管理会社が一括して建物ごとに一括契約を行い、各戸へ分波して提供するケースが多く見られます。また、光回線だけでなく、ケーブルテレビを使ったネット回線も700万件弱あるなど、固定ブロードバンド回線は非常に巨大な市場です。しかし、いま高速かつ低遅延のローカル5Gが登場したことによって、このコンシューマー向けの巨大なブロードバンド市場にも変化が訪れようとしています。
地方ならではの強みで大都市圏との格差を無くす
ケーブルテレビ網がある地方こそ大きなビジネスチャンスに
加太 2020年11月の段階では商用化されているケースは見受けられませんが、集合住宅におけるネット環境をローカル5Gに置き換えて提供するといったサービスによって、ブロードバンド市場が大きく変わると予想しています。
―― MM総研の調査によると2021年には実際に取り入れる集合住宅が現れると予測。現状、導入コスト面に大きな課題が残るため、収益化しやすい都市部の大規模集合住宅(概ね100戸以上)をターゲットにサービスが始まり、その後にエリア拡大を見せていく見通し。
加太 スマートフォン向けの5G技術は、人口が集中する都市部で始まっていますし、ローカル5Gも同様になると思います。それに対し、地方部はケーブルテレビ網が発達しています。どうしても回線速度が遅いというイメージを伴いますが、ローカル5G化をチャンスと捉え、地方部でも高速なネット回線が提供できるような取り組みができたら面白いと思います。
ローカル5G+ドローンが創る
新たなエアモビリティの世界
狩野 遅延がほとんどなく超高速な通信が行える5Gは、高画質映像の送信に適しています。最近ではこのテクノロジーをドローンに搭載して様々なソリューションに活かしてみようという取り組みが各地で行われています。そのなかでも特にユニークな取り組みを行っているのが、慢性的な人員不足が続く警備の分野です。例えば超高精細な4Kカメラを搭載したドローンを人が集まるスタジアムなどのイベント会場で飛ばすことにより、人の流れを監視。AIによる解析によって不審者を検知したり具合が悪くなって動けなくなった人を空から発見して、迅速な対応が行えるのが大きなメリットです。さらに熟練の警備員が近くにいる警備員へ指示を出したり新任警備員の技術向上を狙った研修を行ったりするなど、人員不足に悩む警備事業を救うためのソリューション実用化に向けた実証実験が行われています。
もっと自由にドローンが飛び交える社会
それを実現するための環境整備が急務
―― ドローンを活用したソリューションの確立に欠かせないのが高速な5G通信やそれを飛ばすための仕組みを整備することにあると、ドローン技術をはじめ、航空法などの法にも詳しいMM総研の狩野氏は語ります。
狩野 先日、『空の産業革命に向けたロードマップ2020』が発表され、航空法も改正されました。これには、2022年以降、ドローンをさらに活用して日本の社会的課題を解決していこうという狙いがあります。この取り組みは、ドローンを飛ばしやすくするための環境整備が欠かせず、内閣府を中心に省庁横断型で動いています。まずは、ドローンを飛ばしやすくしたり、衝突を回避するための管制システムなどの環境整備が必要で、さらに飛行計画通り飛行しているかを監視したり飛行者と機体が一致しているかのチェック体制など技術面の環境整備も必要となります。こうした法整備と技術開発、実証実験はすでに動き始めており、2022年にはドローンを活かした監視システムや物資運搬などを含む物流などでの活用が実用化される見込みです。
ドローン技術の成長にはテクノロジーが必要不可欠
速くて信頼性の高いデバイスへの需要がさら高まる
狩野 現時点では、操縦者から見える範囲での利用が中心のドローンですが、将来的には自動操縦による目視外の範囲での運用も見据えられています。いくら高速な通信機能を備えたドローンといえども、そういったソリューションの実現には、精度の高いセンサー類や制御システムが本体内に組み込まれる必要があり、さらに飛行の経路や機体の状態などを管理するワークステーションやPCといったデバイスの性能も重要となるため、インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーのような高性能なプロセッサーを搭載したデバイスを活用していくということも重要です。
カメラによる画像収集や解析、物資運搬などへの活用が期待されるドローンですが、将来的には有人飛行までも見据えられています。いまを生きる私たち誰もが、一昔前に描いたSFの世界のような体験ができる日もそう遠くない時代が近づいているのです。
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