ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第45回

ThinkPadシリーズで初めて1kgを切った13型ノートPC「ThinkPad X1 Nano」


レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Nano」

ノートPCを導入するにあたって「重量」はやはり重要な要素。いまや「本格モバイルノートPC」であれば「1kg切り」が第一条件になった感さえあります。今回レビューする「ThinkPad X1 Nano」はシリーズで初めて1kg切りを果たしたクラムシェルスタイルの13型ノートPC。ThinkPad X1シリーズの長所を継承しつつ、軽量ボディーを実現したモバイルノートPCの決定版なんです!

文/ジャイアン鈴木


CPUは第11世代(Tiger Lake)のCore i5/i7を採用

ThinkPad X1 Nanoには直販モデルとして下記の3モデルが用意されています。

・「ThinkPad X1 Nano:パフォーマンス」

 Core i5-1130G7/Win 10 Home/RAM8GB/SSD256GB/13型2K液晶(タッチ非対応)

・「ThinkPad X1 Nano:プレミアム」

 Core i7-1160G7/Win 10 Home/RAM16GB/SSD512GB/13型2K液晶(タッチ非対応)

・ThinkPad X1 Nano:プレミアム(Pro OS選択可能)

 Core i7-1160G7/Win 10 Pro/RAM16GB/SSD256GB/13型2K液晶(タッチ非対応)

3モデルとも購入時に基本構成をカスタマイズ可能。OSはWindows 10 Home/同Pro、CPUはCore i5-1130G7/Core i5-1140G7/Core i7-1160G7/Core i7-1180G7、メモリーは8GB/16GB(LPDDR4X 4266MHz)。ストレージは256GB/512GB/1TB(NVMe SSD)、13型2K液晶ディスプレイはタッチ非対応/タッチ対応、キーボードは日本語/英語、HPD機能(人感センサーと顔認証カメラで画面を自動オンオフ)の有無、WWAN機能はなし/4G/5Gなどから選択できます。なおモデルごとに選べない構成もあるのでご注意ください。

これ以外のスペックは基本的に共通。インターフェイスはThunderbolt 4(USB Type-C 3.1 Gen2)×2、3.5mmコンボジャック×1を搭載。ワイヤレス機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.1をサポート。720pのカバー付きWebカメラを搭載し、生体認証は顔認証と指紋認証に両対応しています。

本体サイズは292.8×207.7×13.87mm。重量は構成によって異なりますが、マルチタッチ非対応/WWAN非搭載で約907g、マルチタッチ非対応/WWAN搭載で約939g、マルチタッチ対応/WWAN搭載で約1kg。48Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は最大約23時間とされています。

シャーシはカーボンファイバー+マグネシウム製。12項目の米軍調達基準に準拠する堅牢性を確保

本体天面。マルチタッチ対応モデルは天面がカーボン柄になります

本体底面。レノボ・ジャパンは「ハードウェア保守マニュアル」を公開しており、ThinkPad X1 Nanoはストレージの交換であれば比較的容易です(本体保証についてはマニュアルをご確認ください)

ディスプレイは、13型2K IPS液晶(2160×1350ドット、非光沢、輝度450cd/平方メートメル、sRGBカバー率100%、画面比率16:10)。マルチタッチの対応・非対応で輝度、色域などのスペックは変わりません。ディスプレイ上部には720pのカバー付きWebカメラ、顔認証センサーが内蔵されています

キーボード面。マウスカーソルは、TrackPointポインティングスティックとトラックパッドのどちらでも操作できます

本体前面には4つのマイクを内蔵。WWANモデルは本体背面にnanoSIMカードトレイが配置されています

右側面には電源ボタン、左側面にはThunderbolt 4(USB Type-C 3.1 Gen2)×2、3.5mmコンボジャック×1が用意

ACアダプターと電源ケーブルは合計246.2gと、本体に合わせて軽量に作られています

ThinkPad X1 Nanoのここが○

ThinkPadシリーズ最大の美点はなんと言っても極上のキーボード&トラックパッド。ThinkPad X1 Nanoのキーピッチは18.5mm、キーストロークは1.35mmと14型の「ThinkPad X1 Carbon」などと比べるとやや狭い&浅いのですが、フィーリングはそん色ありません。タッチパッドのクリック感も非常に上質。1kg切りノートPCのなかで、最上位クラスの入力デバイスであることは間違いありません。

記号キー以外はすべて等幅に揃えられた素直な配列のキーボード。初めて触れたときからフルスピードで文字入力可能です。もちろんキーボードバックライトも内蔵されています

顔認証センサーと指紋認証センサーを標準でダブル搭載している点もグッド。手軽さという点では顔認証センサー、太陽光下での確実さという点では指紋認証センサーに軍配が上がります。生体認証デバイスをカスタマイズ購入時に追加する製品も存在しますが、両搭載しているのは太っ腹ですねえ。

720pのWebカメラは「ThinkShutter」という開閉式カバーで物理的に塞げます

ディスプレイ上部には4つの360度集音マイクを内蔵。4つのマイクで指向性を持たせることで環境音を低減し、ノイズの少ない音声でオンライン会議に臨めます。またキーボード奥の特等席に内蔵されているステレオスピーカーもミュージックビデオの鑑賞に利用できるほどの音質ですよ。

パッと見ではちょっとわかりにくいですが、ディスプレイ上部に小さな4つの穴にマイクが内蔵されていて、クアッドアレイマイク仕様となっています

パフォーマンスは申しぶんなし。CPUベンチマーク「CINEBENCH R15」のCPUスコアは856 cbを叩き出し、バッテリー駆動時間についてはディスプレイ輝度40%でYouTube動画を連続再生して7時間21分動作しました。1kg切りの13型モバイルノートPCとしては、処理性能、バッテリー駆動時間ともに十分満足いく結果です。

「CINEBENCH R15.0」のOpenGLは86.34 fps、CPUは856 cb、CPU(Single Core)は207 cbを記録しました

ThinkPad X1 Nanoのここが△

「これこそ理想のモバイルノートPC!」とかなり気に入ったThinkPad X1 Nanoですが、個人的に唯一の不満点がインターフェイス。Thunderbolt 4(USB Type-C 3.1 Gen2)×2、3.5mmコンボジャック×1という構成自体はよいのですが、左側に集中しているので右から充電したいとき、モバイルストレージなどの周辺機器を接続したいときに不便なんですよね。Thunderbolt 4(USB Type-C 3.1 Gen2)×2を装備したノートPCの多くが同じような配置を採用していることが多いですが、新「VAIO Z」のように両側に配置したモデルも登場しています。ぜひ次期モデルでは左右に分けて配置してほしいところです。

M1搭載MacBook ProもThunderbolt 3×2が左側面に配置されていますが、狭いコワーキングスペースで利用する際に不便なんですよね……

記事執筆時点で出荷予定日が「最短6週間以上」とかなりの人気

ThinkPadシリーズの美点を継承しつつ、ついに1kg切りを果たしたThinkPad X1 Nano。記事執筆時点で出荷予定日が「最短6週間以上」とかなりの人気を集めているようです。

小型軽量を第一条件としつつも、処理性能、操作感、長時間駆動に妥協したくない方にとって最注目の一台であることは間違いありません。

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。