ニューノーマル世界のITビジネス戦略を探る #7 パネルディスカッション

DIS WORLD Digital Days 2021セミナー報告


2021年2月16日~19日まで、「ニューノーマルで変わるITビジネス。その影響と対策を学び、考える。」をテーマにDIS WORLD Digital Days 2021(主催:ダイワボウ情報システム)が開催された。注目のセッションをお伝えする最終回は4日目のセミナーから、Special Sessionのパネルディスカッションを紹介する。


テレワークの現状と推進するためのポイント

「【パネルディスカッション】今こそ、企業経営のワークスタイル変革を! ~業績を伸ばすための「攻め」のテレワーク~」と題して行われたスペシャルセッションには、株式会社フィラメントの代表取締役CEOである角勝氏をコーディネーターとして、5人のパネリストがテレワークについて議論を行った。

株式会社フィラメント 代表取締役CEO 角勝氏

冒頭で角氏は、コロナ禍で社会がどうなるのか、企業としてテクノロジーをどう活用すべきか、あるいは営業や社内調整、勤怠管理などさまざまな課題があると指摘、これをチャンスに変えるために、環境変化に対応した企業経営の成功事例を知ることができれば、それを自社に生かせるのではないかと考えている人が多いのではないかと話し、そうした事例や成功のヒントになる知見を持つパネリストに集まってもらったと語った。

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏

その角氏が議題の1つとして挙げたのは、「テレワーク/ワークスタイルの変革って浸透してきていますか? みなさんの周りの雰囲気を教えてください」というもの。これに対して日本マイクロソフト株式会社の業務執行役員でエバンジェリストである西脇資哲氏は、テレワーク/ワークスタイルの変革が浸透しているかどうかに関しては、もはや浸透して常識になっている、テレワークをやっているか否かについては会社やチームの判断ではないかとした。

株式会社はらぶん 執行役員 本社営業推進室長 江角修一氏

一方、島根県に本社があり、隣県の鳥取県と合わせてICTサービスやそのアフターサービスなどを展開している株式会社はらぶんの執行役員 本社営業推進室長である江角修一氏は「関心は高まっているが……」と回答する。その意図について、テレワークは在宅ワークとイコールで浸透してしまったことで、かえって誤解を生んでしまったと話し、さらにもともとモバイルワークさえあまり取り組めていなかった県民性があったことから、テレワークイコール在宅ではなく、どこでも働けるようにしましょうという段階だとする。

株式会社ソリトンシステムズ 取締役兼執行役員 ITセキュリティ事業部長 橋本和也氏

株式会社ソリトンシステムズの取締役兼執行役員ITセキュリティ事業部長の橋本和也氏は「しているところも、していないところも」と回答した。橋本氏は一部の企業において7~8年前から在宅勤務への取り組みは始まっていたが、顔が見られないと仕事が見えないという経営層の人たちがそれを遮っていたと語る。

ダイワボウ情報システム株式会社 サブスクリプション推進グループ マネージャー 塚本小都氏

ダイワボウ情報システム株式会社のサブスクリプション推進グループのマネージャーである塚本小都氏は、2019年と2020年を比較すると、クラウドサービスであるMicrosoft 365の売れ行きが全国どこのエリアで見ても20ポイントほどアップしていると紹介し、その背景にはコロナ禍があったのではないかと話す。ただ新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いた秋頃にリバウンドがあり、クラウドサービスの販売にも影響が生じたという。その上で、モバイルワークやクラウド利用が進んでいたが、緊急事態宣言のインパクトがあまりにも大きすぎたために、リバウンドで以前の状態に戻ってしまうのではないかと心配していると話した。

テレワークのコミュニケーション課題を解決する「発信と反応」

「『攻めのテレワーク』を実践するために必要なもの」というお題でも議論が交わされた。このお題に対し、「隙間時間・企業方針」と書いたのは橋本氏だ。その意図について、空いている時間にちょっとした処理をするとか、ちょっとしたメッセージを打つとか、隙間を如何に支配するかで攻めのテレワークは大きく違ってくると思っていると橋本氏は説明する。具体例として挙げられたのは、Microsoft Teamsを使ったコミュニケーションである。Microsoft Teamsを使い、ドキュメントの共有や編集もその中で行うことで5倍から10倍は効率が上がったと実感していると述べ、こういったものを企業の中で積極的に使う方針を打ち出し、隙間で処理を行うことが攻めのテレワークに非常に役立つと語った。

江角氏は「Surfaceと365とUTMです」と答えている。Surfaceはマイクロソフトが提供しているモバイルPCであり、安定して稼働し、バッテリーの持ちもよく、起動もすばやいことなどを魅力として挙げた。また365はMicrosoft 365のことであり、これにすべてを集約して仕事をする癖を付ければ生産性向上に寄与すると説く。またUTMはファイアウォールやIPS/IDS、アンチウイルス、アンチスパムなどの機能を集約したセキュリティ製品である。たとえば外出先で作業する際、UTMに搭載されているVPN機能でオフィスに接続することにより、外出先であってもインターネットを安全に使うことが可能となり、安心してテレワークを進められるとした。

Microsoft Teamsをはじめとするコミュニケーションツールを使い、どうやってチームワークを高めていくという観点から、「発信と反応」と回答したのは西脇氏である。たとえば人に会うといったとき、テレワークであれば移動などの手間が省けるといったメリットがある一方、出社すれば人の姿が見えるので反応しやすいと話す。しかしテレワークでは人の姿が見えず、情報量が減るため反応しづらくなるとして、テレワークだからこそ発信すべきだと述べ、何でもない会話でも構わないので発信する、そうすれば反応も得られやすく、テレワークの定着につながるのではないかとした。

テレワークで必須なものとして、コミュニケーションツールとセキュリティ、そして紙とハンコを使った業務に対応するソリューションを挙げたのは塚本氏である。いろんな地方の方々にヒアリングした結果として、テレワークができない理由としてもっとも大きかったのが紙とはんこだったと塚本氏は説明し、電子契約や電子捺印の導入、あるいはワークフローの完全DXを実現することができれば、テレワークに対して攻めの姿勢で取り組めるのではないかとした。その上でダイワボウ情報システム株式会社が展開しているサブスクリプション管理ポータルである「iKAZUCHI」を紹介し、紙とはんこにまつわる問題を解決するソリューションを提供していると紹介、テレワークを実現するためにぜひ検討してほしいと述べた。

最後に角氏は、歴史は常に変わっていて元には戻らない不可逆なものであり、働き方の大きな転換点で歴史をさらに進め、生産性を高め、よりよい社会を作っていく、そういう意識で企業の経営者たちも取り組むべきだと思いを新たにしたと語って締めくくった。