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2021/05/27

もっと知りたい! Pickup スマートワーク用語

第6回 VR・AR・MR・SR・XR


エンタメ、ゲームから商用にも活用が広がる「XR」技術

映画やゲームでおなじみのVR(仮想現実)や「ポケモンGO」などで一躍有名になったAR(拡張現実)。近年はこれらに加え、MR、さらにSRやXRという言葉も登場しています。コンピュータや通信技術の発展にともない、ゲームなどエンタメ業界を中心に発展してきたこれらの技術は、産業界でも活用が広がりつつあります。

文/ムコハタワカコ


XR=仮想世界と現実を融合させる技術の総称

VRは、以前からよく知られていますが、近年はAR・MRという言葉もよく耳にするようになりました。さらに最近はSRやXRという言葉も登場していますが、それぞれどんな意味や特徴があるのでしょうか。

VR(Virtual Reality)は、仮想現実とも呼ばれ、人工的な環境、サイバースペースをヘッドマウントディスプレイなどのデバイスによって、現実のもののように体験できる技術です。

AR(Augmented Reality)は、拡張現実と訳されます。現実の空間にデジタルコンテンツを重ねて表示し、そこにないものを表現できる技術で、「ポケモン GO」や「ドラクエウォーク」といったスマートフォンの人気ゲームアプリにより、一般にも広く知られるようになりました。

MR(Mixed Reality)は、複合現実と呼ばれ、現実と仮想世界とをより融合させて、リアルタイムで影響し合うように体験できる技術です。ユーザーを仮想世界に没入させるVR、現実世界にバーチャルな情報を表示するARの両方を合わせたような特徴を持つMRでは、仮想世界と現実世界の情報を同時にユーザーに提供することで、現実空間で仮想の体験をすることや、遠隔地などから仮想世界を通して現実空間の人物とのリアルなコミュニケーションが可能になります。

SR(Substitutional Reality)は、代替現実とも呼ばれます。現実世界に過去の映像を融合して投影し、過去に起きた事象が現実の時空間にあるように見せる技術です。

XRは、VR・AR・MR・SRの総称で、仮想的に作られたコンテンツや環境と、現実の感覚や空間とを融合させる技術全般を表します。「xR」と記述されることもあります。

物語から始まったVRとARの歴史

VRの概念は、1935年に発表されたスタンリー・G・ワインボウムの小説『Pygmalion's Spectacles(ピグマリオン劇場)』に登場するゴーグル型のVRシステムに始まります。この小説には「バーチャルリアリティー」という言葉も登場しています。

実際にVRが体験できる装置は1962年、映画撮影技師のモートン・ハイリグによって開発されました。「Sensorama(センソラマ)」という名のこの装置は、3次元映像やステレオ音響、振動、匂い、風などを再現しようとした大がかりな機械でした。その後、ユタ大学の計算機科学者アイバン・サザランドがこの装置の小型化に取り組み、1968年に開発されたのがヘッドマウントディスプレイの前身とも言える「The Sword of Damocles(ダモクレスの剣)」でした。この装置はセンソラマに比べれば小型化されたとはいえ重いため、天井からつり下げて使う必要がありました。

1970年代から80年代にかけてはコンピュータ技術の進歩とともにVR技術も進化し、同時にバーチャルリアリティーという言葉も一般化しました。1990年代に入るとゲーム業界でVR技術が応用されるようになります。セガは1993年にヘッドマウントディスプレイを用いたVRシステムを発表。1995年には任天堂が家庭用ゲーム機として「バーチャルボーイ」を発売し、第一次VRブームと呼ばれる盛り上がりを見せます。ただ、当時の技術では十分な没入感が表現できなかったこともあり、本格的なVR普及にはつながりませんでした。

再びVR技術が注目されるようになったのは2010年代のことです。2012年にOculus VRが開発したヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」の登場をきっかけに、第二次VRブームが勃興。2016年は「HTC Vive」や「PlayStation VR」といったヘッドマウントディスプレイが発売され、「VR元年」と呼ばれる年となりました。

一方、ARの概念は『オズの魔法使い』の作者として知られるライマン・フランク・ボームが1901年に著した小説『The Master Key(マスター・キー)』に登場します。物語に出てくる「キャラクター・マーカー」という電子デバイスは、装着することで人の性格や特徴が額の上に表示されて見える、というものでした。

ARという言葉は1990年、ボーイング社の研究員トム・コーデルが提唱したものです。1992年には米国のアームストロング空軍研究所が、航空機パイロットの操作能力向上に役立てるためのARシステム「Virtual Fixtures」を開発。1993年にはコロンビア大学のスティーブン・フェイナー教授がレーザープリンターのメンテナンスをサポートするARシステム「KARMA」を発表するなど、1990年代にはAR技術に関する具体的な研究・開発が進むようになりました。

1999年にARアプリケーション開発のための画像認識ライブラリ「ARToolKit」がリリースされたこともあり、2000年代に入ると一般にもゲームや地図などのアプリの形でAR技術が広がります。2009年にリリースされた「セカイカメラ」は、GPSの位置情報を利用して、空間に「エアタグ」と呼ばれる情報を表示するアプリで、2014年のサービス終了までのダウンロード数は300万に達しました。また2016年リリースのARゲームアプリ「ポケモンGO」は、2019年時点において全世界で10億ダウンロードを達成しています。

ハードウェア面では2010年代、ヘッドマウントディスプレイのほか、腕時計型やメガネ型のウェアラブルデバイスの開発が加速し、これらのデバイスを活用したARシステムの開発も進みました。2013年、Googleが発表した「Google Glass」は残念ながらプライバシー保護などの観点から開発が中止されましたが、前述のVRヘッドセットのほか、2016年に登場したマイクロソフトの「HoloLens」などのハードウェアが、医療や建設・土木など産業界で、業務支援のためのARシステムとともに活用されるようになっています。

“現場”でもリモートワーク、XR最新事情

XR技術を活用したシステムやサービスには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。

VR技術は現在、ゲームやスポーツ・旅行などの映像コンテンツ、仮想3D空間でアバターによるチャットを楽しめるソーシャルVRサービスなど、エンターテインメント分野で多数活用されています。またコロナ禍の影響で、不動産物件の内覧がVR環境で行えるサービスなども拡大しています。

また航空機の操縦や工場・作業現場の研修など、本物の機器や場所の数が限られていたり、危険だったりする場合に擬似的な体験ができるトレーニングシステムでも、VR技術は活用されています。手術のシミュレーションなど、医療現場の実習などに使われるケースもあります。

AR技術はゲームなどエンターテインメント分野のほか、工場や機械などの保守・点検の際に、実際の空間や機器に重ねて点検箇所の情報や作業指示がディスプレイに表示される、業務支援システムなどでの利用例があります。

MR技術の活用例では、製品や装置・設備の3D CADデータをもとに、仮想空間で試作品を作る前に動作や状態を検証することができるシステムなどがあります。また現実世界の装置の状態を3Dデータで再現して、専門家が遠隔地から検証や保守などに活用するというケースも出ています。

さらにセンサーやヘッドマウントディスプレイを駆使して、遠隔地からロボットを分身のように操作する「テレイグジスタンス」と呼ばれる応用例もあります。宇宙空間など危険な場所での作業をロボットが肩代わりでき、生産性と安全性の面で期待される技術です。

従来、工場や建設、インフラ設備などの“現場”で行う業務は、オフィスワークとは異なり、リモートワークは不可能と考えられてきました。しかしXR技術の発達と普及が進めば、こうした業務でもリモートワークが実現する可能性があります。

通信環境などの課題を超えてXRの成長に期待

調査・分析会社のIDCが2020年11月に発表した世界のVR・AR市場に関するレポートによれば、VR・ARの市場規模は2020年から2024年の5年間に年率54%で成長し、120億ドル強(約1.3兆円)から728億ドル(約8兆円)に増加すると予測されています。

この成長の背景にはコロナ禍による影響に加え、今後も労働人口の減少や生産性の向上といった課題に直面する企業による非対面・非接触・遠隔でのコミュニケーションへのニーズがあります。VRやARをはじめとしたXR技術を活用した職場でのトレーニングや、パートナー企業・顧客とのやり取り、ゲーム等エンターテインメントへの応用は、さらに進むものと見られます。

IDCのレポートでは、B to BのVR・AR市場で2024年に最も多くの投資が予想される分野は、トレーニング(41億ドル)、産業メンテナンス(41億ドル)、小売ショーケース(27億ドル)と分析されています。一方、消費者向け市場の3分野(VRゲーム、VRビデオ等の視聴、ARゲーム)の合計金額は176億ドル(2024年)と見込まれています。

高い成長が見込まれているのは、社内向けのビデオ撮影(年成長率101.0%)と物流・配送管理(100.5%)の各分野。コンシューマー向け市場の規模の方まだまだが大きいとはいえ、今後はB to B分野でXR技術の活用がより進むものと考えられます。

AR/VR市場のセクター別シェア(2020年)
コンシューマー53.0%、流通・サービス15.8%、製造・資源13.8%、公共12.7%、インフラ3.2%、その他1.6%
出典:IDC Worldwide Augmented and Virtual Reality Spending Guide

XR技術の普及に当たっては、まだまだ課題もあります。ヘッドマウントディスプレイの解像度やフレームレートは向上しているものの、まだ十分とは言えず、このことが乗り物酔いに似たいわゆる「VR酔い」を起こす一因ともなっています。ハードウェア面ではディスプレイの重量やバッテリーの持ちなどにも問題は残ります。これらの課題は技術の発展で将来的には解消していくはずですが、本格的なXRシステム、サービスの普及のためには、乗り越えなければならない壁です。

また、XR技術を用いたコンテンツやサービスを現実世界に近い感覚で楽しめるようにするためには、高速・大容量で低遅延の通信環境も必要です。これについては5G(第5世代移動通信システム)の普及が大きく貢献するはずです。

5Gには「高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」といった特徴があります。日本では2020年3月に通信キャリア各社が5Gサービスを開始したばかりですが、5Gサービスのカバー率が上がれば、大容量のデータのやり取りが必要なXR技術を使ったコンテンツやサービスの提供を、いつでもどこでも受けることが可能になるでしょう。これまでは実現不可能、あるいは誰も思いつかなかったようなXRシステムやサービスが続々と誕生するのも、そう遠い未来の話ではないかもしれません。

筆者プロフィール:ムコハタワカコ

書店員からIT系出版社営業、Webディレクターを経て、編集・ライティング業へ。ITスタートアップのプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。派手さはなくても鈍く光る、画期的なB to Bクラウドサービスが大好き。うつ病サバイバーとして、同じような経験を持つ起業家の話に注目している。

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