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2021/08/26

もっと知りたい! Pickup スマートワーク用語

第9回 テレワークとリモートワーク


時間や場所を有効活用する柔軟な働き方が急速に浸透

コロナ禍により、急速に普及したテレワークやリモートワーク。テレワークやリモートワークはいつ、どのようにして誕生し、どう広がっていったのでしょうか。テレワークの普及推進にあたって、政府がどのような施策を提供しているのか、労働者、企業、社会それぞれの実施メリット、導入にあたり気を付けたいことなどについて解説します。

文/ムコハタワカコ


テレワークとリモートワークの言葉の意味と歴史

「テレワーク(Telework)」とは「Tele(遠く、遠隔の)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語で、ICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を指します。同じように使われる言葉に「リモートワーク(Remotework)」がありますが、こちらは「Remote(遠い、遠隔の)」と「Work」という単語の組み合わせです。意味としてはテレワークもリモートワークもほぼ同じですが、テレワークは、国や自治体が統一用語として採用。一方、リモートワークは、比較的新しく北米を中心に使われるようになった言葉で、日本ではIT企業やスタートアップで使用されることが多いようです。

似たような言葉で、「在宅ワーク(WFH:Work from Home)」、「モバイルワーク」といった呼び方もありますが、これはテレワークを働く場所で示した言葉。テレワークは勤務場所によって大きく、自宅で働く在宅ワーク(在宅勤務)、移動中や外出先で働くモバイルワーク(モバイル勤務)、本拠地以外の施設で働くサテライトオフィス勤務に分けることができます。最近ではリゾートなど、休暇も楽しめる場所で働くワーケーションといった形態も取り入れられつつあります。

テレワークの発祥は1970年代のアメリカ。1973年、1979年に起きた石油危機や自動車交通量の増加に伴う大気汚染が問題となり、自動車出勤を回避するために一部で導入されるようになったと言われます。当時は「テレコミュート(Telecommute:遠隔通勤)」と呼ばれたテレワークですが、現在のように通信ネットワークやIT技術が発達していたわけではなく、コミュニケーション手段が電話・手紙などに限られていたため、広く定着することはありませんでした。

1990年代以降、パソコンの利用率増加とインターネットの普及により、テレワークは一般化していきます。アメリカでは1989年のサンフランシスコ地震(ロマ・プリータ地震)、1994年のノースリッジ地震により、リスク分散の観点からテレワークが注目されるようになりました。また、2001年の同時多発テロ以降は、BCP(事業継続計画)の災害・テロの危機管理対策としても重視されています。

日本でテレワークが導入されたのは1980年代のこと。不動産バブルにより都心オフィスの賃料が高騰したことから、郊外にサテライトオフィスを設け、従業員が働きながら育児や介護をしやすい環境を用意する動きが大手企業を中心に起こりました。しかしその後、バブル崩壊とともにサテライトオフィスは閉鎖されてしまいます。

再び日本でテレワークが脚光を浴び始めたのは、2000年代に入ってから。一般家庭向けインターネット回線の普及、高速化もあり、在宅勤務が徐々に広がっていきます。同時に政府により、テレワークを支援する施策も実施されるようになりました。

2009年6月には、ワークライフバランスの観点から在宅型のテレワーカーを倍増させる目標を政府が発表。その後、2010年代後半から推進されている働き方改革でも、テレワークは「柔軟な働き方を実現する有効な手段」として推奨されています。

コロナ禍による普及加速と政府の推進施策

政府によるテレワークへの取り組みについて、もう少し詳しく見てみましょう。日本では2016年7月からテレワークに関する府省連携を強化するため、内閣官房長官指示により関係府省連絡会議が開催されています。総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の4省と内閣官房・内閣府が連携しながら、テレワークの普及推進に向けた施策を実施しています。

テレワーク関係府省連絡会議
出典:テレワーク総合ポータルサイト(厚生労働省)

政府のテレワーク普及啓発のための取り組み
出典:テレワーク総合ポータルサイト(厚生労働省)

内閣官房IT室がテレワーク推進に関する目標を設定し、総務省・国交省が現状把握のための調査を実施。総務省・厚労省はテレワーク実施のためのガイドラインを作成しています。また、その普及のためには、内閣官房と4省それぞれが「意識改革」「ノウハウ支援」「導入補助」「周知・啓発」のための施策を実施しています。

こうした取り組みに加え、2020年・21年はコロナ禍がテレワークの導入・普及に大きく寄与しました。2021年7月30日に総務省が公表した、令和3年「情報通信に関する現状報告(令和3年版情報通信白書)」によれば、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業のテレワーク導入・普及は首都圏を中心に急速に進んでいます。

総務省の調査による、2019年9月時点での企業のテレワーク導入率は20.2%でした。東京商工リサーチによる調査でも、2020年3月上旬には17.6%だった実施率。それが2020年、1度目の緊急事態宣言時には56.4%まで上昇し、その後いったん低下しましたが、2度目の緊急事態宣言時には38.4%に再上昇しています。

コロナ禍の影響で、短時間で急いでテレワークに対応した企業も多く、「マネジメントやコミュニケーションで問題が生じて生産性が下がってしまった」との声もあることは確かです。ただし、こうした問題の中には新しいツールの活用で解消できることも多々あります。

また「今後もテレワークを継続したい」という従業員のテレワーク継続意向は、2021年の総務省「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」では6割を超える数字が出ています。人材確保の観点からも、テレワークの実施・継続は効果的であると言えます。

政府もポストコロナ時代のテレワーク推進に向け、さまざまな企業支援の取り組みを行っています。例えば総務省では、テレワーク導入段階に応じたサポートを行うため、初期相談やミニセミナーの開催、セキュリティやツールに関する個別の無料コンサルティングなどを実施。また厚生労働省でも情報提供のための「テレワーク総合ポータルサイト」を設置するほか、テレワーク実施のための手順をまとめたリーフレットの公開、無料で相談できる窓口の設置や、支援金を助成するなど、さまざまな施策が行われています。

メリットと導入にあたり気を付けたいこと

デジタル技術を利用することで、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方、テレワーク。その普及・浸透は、働く人、企業、社会のそれぞれに次のようなメリットをもたらします。

まず働く人にとっては、育児や介護、治療との両立といった多様な働き方が実現できること、通勤時間が削減されることなどがメリットとして挙げられます。企業にとっても、災害などの非常時における業務継続(BCP)の実現や人材の確保、離職の防止、デジタル活用による業務変革とそれに伴う生産性の向上、オフィスのコスト削減などの効果が期待できます。

さらに、社会全体にとっても、働き方改革の推進や生産性の向上はメリットです。また、時間や場所の融通が利くテレワークの普及によって、少子化で減少を続ける労働人口を確保することが可能になったり、地方で働ける人が増えることによって地方創生を実現できたり、幅広い範囲で効果が得られると考えられています。

一方で、テレワーク実施にあたっては、気を付けたいことや課題もあります。社会的にも最も大きな課題のひとつがセキュリティの確保です。情報処理推進機構(IPA)が毎年公表している「情報セキュリティ10大脅威」の2021年版では、組織に対する脅威として、1位「ランサムウェアによる被害」、2位「標的型攻撃による機密情報の窃取」に次ぐ3位に「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」が初めてランクインしました。

実際にテレワークにおけるセキュリティ被害の事例として、VPN機器の脆弱(ぜいじゃく)性を利用した不正アクセスや、在宅勤務中にウイルスに感染したパソコンを社内ネットワークに接続したことで、社内に感染が拡大するといったことが起こっています。

このようなセキュリティ被害を防ぐためには、常に最新のセキュリティアップデートを適用する、パスワードの使い回しをしないなど、基本的な対策が重要です。ただし、テレワークとなったことで身近に相談できる人がいない環境となる人も多く、企業は今まで以上に手厚い支援を行う必要があります。

作業に必要な通信や機器などの環境、スペースの確保といった環境整備も大切です。これについては、前述の総務省による調査研究では、半数以上の人が「比較的容易に実施できた」と回答しています。とはいえ、対応が難しい人のためにはやはり、何らかのフォローアップが必要となるでしょう。

同じ調査研究では「上司や部下、同僚と気軽に相談や会話する」「上司や部下、同僚と共同で作業を行う」「作業・仕事を行うための意欲の維持」といった項目について、「容易に実施できない」との回答が多く挙がっていました。コロナ禍に伴うテレワーク下では「雑談不足」への対策は重要な課題となります。組織としてのコミュニケーションやコラボレーション、企業文化の醸成や、業務へのモチベーション維持には、気軽な対話の有無が大きく関わるからです。そこで、ビデオ会議ツールやチャットツールなどのコミュニケーションツールの上手な活用や、出社日を分散しながら一定の割合で設けるなどの対応が求められます。

また、企業や管理者からテレワークを見た時には、従業員の自律性の確保や適切な勤怠管理が課題となるケースも多いことでしょう。そもそもテレワークが可能な制度がない、出社しなければ見られない資料やできない手続きがある、といった課題を挙げる人も多く、テレワーク実施にあたっては、今までの業務のやり方や制度の見直しなども含めた、企業の根本的な対策も求められます。

コロナ禍による影響が長期化する中で、テレワーク導入が進んだことにより、押印や書面を前提とした手続きの見直し、電子契約の利用も広がっています。デジタル化を前提とした業務プロセスの再設計、慣習の見直しも進みつつあります。コロナ禍をきっかけとしたテレワークの普及・浸透は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、日本の生産性向上に貢献していると言えるでしょう。

筆者プロフィール:ムコハタワカコ

書店員からIT系出版社営業、Webディレクターを経て、編集・ライティング業へ。ITスタートアップのプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。派手さはなくても鈍く光る、画期的なBtoBクラウドサービスが大好き。うつ病サバイバーとして、同じような経験を持つ起業家の話に注目している。

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