ASUSから魅力のコンパクトモバイルノート誕生


ASUSのノートパソコン「ASUS ExpertBook」シリーズに、コンパクトモバイルノート2製品が登場した。回転式2in1の「ASUS ExpertBook B5 B5302FEA」とクラムシェルの「ASUS ExpertBook B5 B5302CEA」だ。人気シリーズの新製品の特長と実力を戸田覚氏がレポートする。

文/戸田 覚


「ASUS ExpertBook」に13.3インチの2製品が登場

 ASUSの「ASUS ExpertBook」は、超軽量な14インチモデルの「ASUS ExpertBook B9 B9450FA」が大変な人気になった。今回、新たに13.3インチのコンパクトなモデル「 ASUS ExpertBook B5」シリーズが2モデル登場したので詳しくレビューしていこう。

 なお、「ASUS ExpertBook B5 B5302FEA」は回転式の2in1、「ASUS ExpertBook B5 B5302CEA」はクラムシェルとなっている。本稿では、わかりやすいように、前者をExpertBook B5 2in1、後者をExpertBook B5と記載する。

 まずは、両モデル共通している部分から紹介していく。

 気になる重量だが、ExpertBook B5が約1キロ、ExpertBook B5 2in1が約1.2キロとなっている。もちろん、日常的に持ち歩いても負担のない軽さだ。しかも、実物を手にすると剛性感の高さには驚かされる。とにかくカッチリとしているのだ。ボディーは天板と底面がマグネシウム合金、パームレスト部分がマグネシウムアルミニウム合金となっている。

 米軍規格に準拠した堅牢性が特徴で、120cmの高さからの落下、ヒンジ開閉5千回、30キロ圧力テストなどを実施しているという。

ASUS ExpertBook B5シリーズ2モデルが登場

クラムシェルと回転式2in1の組み合わせだ

ExpertBook B5は約1キロ(以下カタログ値)。今回はキッチンスケールで計測した参考値を表示する

ExpertBook B5 2in1は約1.2キロとなっている

頃合いの性能と素晴らしい拡張性

 ExpertBook B5の価格は14万7400円、ExpertBook B5 2in1が16万9400円と、高級な金属を使用したボディーのモデルとしては、かなり割安感がある。実は性能も頃合いで割切っている点にも注目だ。

 ExpertBook B5は、第11世代のインテルⓇCore™ i5-1135G7を採用している。確かに、WordやExcelを中心に使うなら、十分な性能だ。ExpertBook B5 2in1は、同じく第11世代のインテルⓇCore™ i7-1165G7を採用。こちらは、ハイエンドなCPUを搭載し、プレゼンや動画の編集でもストレスがないように考えられているわけだ。

 拡張性は、基本的に両モデルとも共通で、Thunderbolt™ 4対応のUSB Type-C端子が2つで片方は充電に使うことになる(充電はどちらでも利用可能)。さらに、USB Type-A端子が1つ、HDMI端子を搭載。有線LAN接続は、付属のmicroHDMIイーサネットアダプターを利用して使うことになる。この薄型ボディーを考えると完璧な拡張性と言えるだろう。現在の利用度合いをよく考えた端子の構成で、例えば、USBメモリーをよく抜き差しするUSB Type-A端子は右側に配置。また、指紋センサーは電源ボタン一体式で右側面に搭載する。

 細かなところだが、両モデルともWebカメラに物理シャッター(プライバシーシールド)が付いていたり、ディスプレイパネルが開きやすい切り欠きのあるデザインを採用するなど、スペックには記載されない使い勝手の良さも、嬉しいポイントだ。

端子の数、位置ともにとても満足できる。なお、ExpertBook B5 2in1はボリュームボタンを備える。Thunderbolt 4対応端子を搭載するので将来性も安心。外付けモニターにもつなぎやすい

有線LAN端子は付属のアダプターを使う。USB端子を利用しないので拡張性は損なわれないのがいい

キーボードはなかなか打ちやすい

 ExpertBook B5は、13.3インチモデルだが、狭額縁なので一昔前の11~12インチサイズのコンパクトさだ。ビジネスバッグとして小さなリュックなどを利用している人も、問題なく持ち運べるのが嬉しい。

 本体がコンパクトになるとしわ寄せでキーボードが窮屈になりがちだが、ExpertBook B5のキーボードはかなり打ちやすい。キーストロークは約1.5ミリ確保している上に、本体の剛性感の高さが打ちやすさにつながっている。カッチリとしてて、たわみがほとんど感じられないので打ちやすいわけだ。

 最近はテレワークで、自宅でもモバイルノートをメインマシンとして使う人も増えているが、このキーボードなら長時間打ち続けるのにも向く。

 スペースキー回りの配列がやや独特だが、実用上はさほど困ることはないだろう。タッチパッドも本体サイズを考えれば大きめで使いやすい。

 なお、バッテリー駆動時間はExpertBook B5 2in1が約6.2時間、ExpertBook B5が約7.4時間とあまり長くないのは残念だ。ただし、両モデルともに、USB PowerDeliveryによる充電に対応するので、モバイルバッテリーを持ち歩けば長時間利用できる。また、より長時間駆動を求めるなら、最長30時間駆動のExpertBook B9を選ぶ手もある。

キーボードはストロークが深めで打ちやすい

付属のACアダプターはコンパクトな65Wタイプだ

2in1モデルは完成度が高い

 試用して驚いたのがExpertBook B5 2in1だ。2in1はどのメーカーの製品も重くなりがちだ。ダブルヒンジやディスプレイの強度を上げるために、クラムシェルよりは重量で不利になる。

 ところが、ExpertBook B5 2in1は1.2キロとかなり軽く収まっている。その上、ディスプレイがとてもしっかりしていて、ヒンジの硬さも素晴らしい。このヒンジなら中途半端な角度のテントモードやL時モードなどで利用しても、自然に開いてしまうようなトラブルはないだろう。しかも、何年も使い続けてもヘタる可能性は低そうだ。

 さらに注目したいのが、ディスプレイがノングレア処理されていること。仕事に最適な映り込みの気にならない仕上げだ。

 今回は試用できなかったが、ペンによる手書きにも対応する。Web会議のプレゼンやホワイトボードの利用では、ペンによる手書きが威力を発揮する。企画や商談の多い職種にはおすすめだ。

 なお、クラムシェルのExpertBook B5は、しっかりしたヒンジだが、指一本でディスプレイが開ける。パネルを開こうとすると、キーボード部分まで持ち上がることがないので使いやすい。どちらのモデルも、とても“わかっている”設計がなされているわけだ。

ExpertBook B5 2in1は、ディスプレイが回転する。ヒンジがしっかりしているので、好みの位置で止まる。なお、映り込みの少なさも注目

スピーカーも上々で、Web会議に使ってもストレスが少ない

まとめ

 ExpertBookは、これで13インチ、14インチ、15インチの製品が出そろった。ビジネス向けのスタンダードノートとして選択肢が広がったのは嬉しい。

 最大の注目点は、価格が手ごろなことだろう。モバイル性、性能、価格が揃ってこそ企業で導入の検討に値するわけだ。故障原因不問の保証、無償で加入できる「ASUSのあんしん保証」に加え法人向けに4年・5年保証のオプションも提供されているので、いつまでも安心して使いたいならチェックしてみると良いだろう。

 なお、ASUSは文教向けのデバイスで定評があり、すでに全国約1500の学校で採用されている。

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。