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2021/09/09

今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー - 第35回

リモートワークでよいコミュニケーションのチームを作るために


『リモートワーク・マネジメント 距離と孤独を乗り越える強いチームづくり』セダール・ニーリー 著、 山本 泉 訳/アルク

ハーバード・ビジネス・スクール教授でグローバル戦略やデジタル戦略の策定・実施を通した組織規模拡大手法を主な研究テーマとするセダール・ニーリーの著書。リモートワーク全盛の時代の「信頼構築の新しいプロセス」と「リーダーの新しい役目」について、その知見を公開する。

文/土屋勝


リローンチ・ミーティングの重要性

著者のセダール・ニーリーはハーバード・ビジネス・スクール教授で、グローバル戦略やデジタル戦略の策定・実施を通した組織規模拡大手法を主な研究テーマとする。いくつかの企業の取締役も兼務しており、楽天グループの研究機関である楽天ピープル&カルチャー研究所諮問委員も務め、楽天のグローバル化に関する著書もある。

著者はまず、リモートワークでチームをうまく運営するためには「リローンチ・ミーティング」の開催が欠かせないという。チーム立ち上げ時の「ローンチ・ミーティング」は、日本でもよく行われる。ローンチ・ミーティングは、業務ニーズに応じたチームプランを明確化する場だが、リローンチ・ミーティングはプロジェクトが立ち上がってから定期的に、少なくとも四半期に一度は開くべきで、リモートワークの場合はもっと頻繁に、6週から8週ごとに実施すべきだという。リローンチ・ミーティングには、チームメンバーが全員出席し、率直に議論し、チームワークの最善のあり方について意見を出し合う。

このときに必要なチームワークの4つの基本条件が掲げられている。

・チーム目標を明確化し共有する
・個々のメンバーが果たす役割や抱える制約についての理解を共有する
・予算や情報など、利用できるリソースについての役割を共有する
・チームワーク円滑化のための規範を共有する

ローンチ・ミーティングの最大の目標は、メンバーの方向性の一致にある。リローンチ・ミーティングはこの4条件をチームがどの程度クリアしているかを定期的にチェックする場だ。

リモートワークの場合、コミュニケーション規範をきちんと設定しておくことも大切だ。本書で取り上げられている例では、6人からなるチームで、あるトラブル発生時に時差がない地域に住んでいる4人が、先にチャットで意見を交わした。翌日、6人全員が揃っての正式な会議がもたれたが、4人と2人の間には埋められない溝ができていた。2人が知らない話について質問してもスルーされ、4人はどんどん先に進んでしまう。不信感は嫌悪感になり、ついにチームは分裂してしまった。

このような事態を避けるために、著者はチャットの利用規範を定めておくべきだという。たとえば、一部のメンバーでチャットをしているうちに仕事の話になったら、いったんチャットを中断し、その場にいない主要メンバーに声を掛けること。これを決めておけば、チームは分裂せずに済んだかもしれないという。

リモートワークに向く仕事とは

在宅ワーカー273人を対象に行ったアンケート調査の結果では、リモートの方が向いている仕事は、複雑性が高く、かつ同僚からのサポートを必要としない仕事だという。複雑性が低くても同僚との連携が不要な仕事、たとえばコールセンター業務などもリモートの方が生産性が上がるという。

より双方向性が強い仕事でも、リモートワークと業務パフォーマンスの間に負の相関関係はないという。職種にかかわらず、リモート化によって業務パフォーマンスが大幅に低下することはなく、一部の仕事については全面リモート化した方がパフォーマンスが改善した。著者は「たいていの仕事はリモート形態になじみます」と語る。

コミュニケーションツールを活用する

リモートワークに使われるコミュニケーションツールというと、日本ではどうしてもメールが中心だと思われる。だが、グローバルITコンサルティング企業のアトスは、2011年2月に社内メールを禁止すると発表した。7万4,000人の社員を抱える同社では、メールのやりとりに社員が追われ、業務の妨げになっていたのがその理由だ。社内メールに代わって導入されたのが社内SNSやインスタントメッセージング、いわゆる“ビジネスチャット”だ。長い文章を得意とするメールは、ついつい返事を書くにも構えてしまい、時間がかかる。短いメッセージを交わせるSNSやチャットならば、より素早いコミュニケーションが可能になる。

リモートワークが陥りやすい問題として「テクノロジー疲れ」がある。リアルな世界では分刻みのスケジュールでミーティングが入っていても、たとえ廊下を歩くだけであってもかならず移動の時間がかかる。ところがリモートワークだと各自が机の前に座ったまま、即座に次のミーティングが始まることがありえる。このような場合、ミーティングの後処理時間をあらかじめ組み込んでおかないと、みるみるうちに仕事が山積みになってしまう。スケジュールが詰め込めるからといって詰め込む必要はないし、ビデオ会議システムがあるからといって、むやみにビデオ会議を開く必要もないのだ。

メール、電話、ビデオ会議、チャットなどといったコミュニケーションツールは、TPOに合った形で利用することが大切だ。正しいデジタルツールとは「チームが生産的に活用できて、リモート環境で成果を上げられる」ものだからだ。

リモートワーク・センスを研ぎ澄ます「エクササイズ」

本書の最後には、知見やベストプラクティスを読者のチームでも実践できるよう、章ごとの「エクササイズ」が用意されている。たとえば、第1章の「ローンチ(リローンチ)・ミーティングの開き方」では、「自チームの目標を記載してください」「自チームにはどんなコミュニケーション規範がありますか」。第3章の「リモートチームの生産性を上げるには」では、「例を参考に、自チームがこれまでに出した結果を評価してみましょう」。第4章「リモートワークでのデジタルツール活用法」では、「最近、「テクノロジー疲れ」を経験したのはどんなときですか。今後またテクノロジー疲れが起きないようにするには、どういう点に気をつければよいと思いますか」といった具合だ。

「質問に答えていくうちにリモートワーク・センスが研ぎ澄まされ、自信をもって自チームにおける」様々な課題に取り組めるようになるはずだという。

著者はグローバル戦略の専門家で、世界的な企業の取締役を兼務しているだけあり、取り上げられている事例は巨大多国籍企業が多い。中には27か国・18言語にまたがる68名のチームでのトラブル事例もある。日本でこれだけ広範囲なグローバルチームというのはまずないだろうが、中小企業でもアジア圏の人とチームを組むことは珍しくない。リモートワークに限らず、言葉や文化、宗教が異なる人たちとのチームをうまく築き、運営したい人にお勧めの一冊だ。

まだまだあります! 今月おすすめのビジネスブック

次のビジネスモデル、スマートな働き方、まだ見ぬ最新技術、etc... 今月ぜひとも押さえておきたい「おすすめビジネスブック」をスマートワーク総研がピックアップ!

『リモートワーク大全』(壽かおり 著/ポプラ社)

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、「会社に出社しない」働き方を導入し、リモートワーク・テレワークを実施する会社が増えてきている。一方で、急遽リモートワーク・テレワークを導入したこともあり、導入した企業だけでなく、実際に働く社員からも戸惑いやストレスの増大、コミュニケーション不足などの問題点が言われている。本書は、主に一般のビジネスパーソンが、リモートワーク・テレワーク時に必要なことがすべて書かれた一冊。ツールやアプリ、会議・打ち合わせの効率的なやり方から、家族や子どもとの接し方まで、本書を読むだけで、リモートワーク・テレワークに必要なことがすべて身に付きます。(Amazon内容紹介より)

『リモートワークの達人 (ハヤカワ文庫NF)』(ジェイソン・フリード 著、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン 著、横石 崇 訳、高橋 璃子 訳/早川書房)

「本当に仕事がしたかったら、会社になんか行かなければいい」(本文より)。ITエンジニア本大賞(ビジネス書部門)受賞『小さなチーム、大きな仕事』著者が贈る、アフターコロナの働き方バイブル! 世界中に散らばる36人の社員を率いて数百万人ものユーザーに製品を届ける経営者コンビが贈る、リモートワークのバイブル。2014年1月に単行本として刊行した『強いチームはオフィスを捨てる』の改題文庫化。(Amazon内容紹介より)

『テレワーク歴15年の達人が教える うまくやる人のリモートワーク術』 (山内貴弘 著/すばる舎)

4つの性格タイプ別の対応で誰でも無理なく効率UP。部下も上司も職場にいるより結果が出せる!? 日本IBMで要職をつとめたのち、日本のトップIT企業クレスコに転職した経歴を持つ著者は、15年ほど前から、グローバルな仕事環境下でさまざまなテレワーク/リモートワークを行ってきた。現在、コロナ禍を経て一気にテレワーク/リモートワーク比率が上がった日本で求められるノウハウを、著者の長年の経験を踏まえて解説した1冊。(Amazon内容紹介より)

『リモートワーク段取り仕事術 』(相原秀哉 著/明日香出版社)

これまでリモートワークとは全く縁のなかったビジネスパーソンの多くが、2020年のコロナ禍に伴う緊急事態宣言をきっかけに突如として出社を禁じられて、リモートワークへ移行しました。在宅勤務になると、口頭ですぐに確認したいことがあるのにできず次の行動まで時間がかかる、チームでやる仕事なのに周りの人の進捗状況がわからない……このようなコミュニケーションの問題が発生します。また、1人でやっているとモチベーションが上がらない、ちょっと塞ぎ込んできたなど、メンタル面にも影響を及ぼしてしまうのです。本書では、リモートワークの特性を踏まえ、よくある悩みや困りごとを提示し、それを乗り越えるための「コツ」や「情報」を10の章と50の節で説明しています。(Amazon内容紹介より)

『リモートワークの達人たちに学ぶ 家での働き方とモノ選びと』 (MdN編集部 編集/エムディエヌコーポレーション)

コロナ禍になる以前からリモートワークを導入してきた人、会社がリモートワークを推奨している人、リモートワークを導入し郊外に引っ越した人、会社でも自宅でも仕事ができるように構築してきた人などに取材を敢行。作業環境はもちろん、在宅ワークの時間の使い方などについて話を伺いました。彼らは、YouTube、Instagram等で多くの支持を得ているベテラン在宅ワーカーたちです。モノ選びのコツから、座り心地のいい椅子、在宅ワークに最適なデスク、賃貸でもできるワークスペースのつくり方、癒しグッズ、家電やガジェットなどもたくさん紹介しています。あなたの在宅ワークをより快適にするアイデアやヒントがきっと見つかることでしょう。(Amazon内容紹介より)

筆者プロフィール:土屋勝(ツチヤマサル)

1957年生まれ。大学院卒業後、友人らと編集・企画会社を設立。1986年に独立し、現在はシステム開発を手掛ける株式会社エルデ代表取締役。神奈川大学非常勤講師。主な著書に『プログラミング言語温故知新』(株式会社カットシステム)など。

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