5G時代、スマホの「使い放題プラン」をビジネスで使い倒そう


ウィズコロナの時代、リアルの会議とオンライン会議が交互に設定されることもあるが、外出先でオンライン会議となれば、安定した回線の確保に苦労する。そんな時に頼りになるのが5Gの「使い放題プラン」だ。使い放題は料金面が不安という方には、とっておきの裏技も紹介しよう。

文/石川 温


出先でのオンライン会議には5G「使い放題プラン」がお勧め

 新型コロナウィルスの感染拡大が落ち着き始めている中、「外に出歩く機会」が増えつつある。ちょっと前まではテレワークで自宅にこもっていた日数も多かったが、最近では「週に何日か出社する」あるいは「毎日、出社する」という人もいるのではないか。

 しかし、一方で働き方は変わりつつあり、「会議はオンラインが中心」「先方との打ち合わせもビデオ会議」が日常になってきた。

 一日中、オンライン会議であれば、自宅やオフィスから参加すればいいが、「朝一はオンラインで、昼間は出先で打ち合わせ、その直後にオンライン会議」といった、一日の間にオンラインとリアルが混在すると厄介になる。出先でオンライン会議に参加するため、静かな場所を確保する必要が出てくるのだ。

 もちろん、場所だけでない。オンライン会議を快適につなぐための安定した「通信回線」の確保が求められるのだ。

 そんなビジネスパーソンにお勧めしたいのが、5Gスマホ向けの「使い放題プラン」だ。

 NTTドコモ「5Gギガホ プレミア」、au「使い放題MAX 5G」、ソフトバンク「メリハリ無制限」、楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」が、これに当たる。

 スマートフォン向けの料金プランだが、スマートフォンからWi-Fiを飛ばす「テザリング機能」を使えば、ノートパソコンでの通信が可能だ。

 街中には公衆Wi-Fiスポットがあり、無料でWi-Fiにつなぐことも可能だが、セキュリティ上、あまりお勧めできるものではない。その点、スマートフォンの5G通信を経由してテザリングでノートパソコンにつなげば、セキュリティ面でも安心なのだ。

新登場した20GBプラン(2020年現在)

提供 サービス名称 月額料金(税別) デザリングの制限
NTTドコモ プレミア 5Gギガホ 6,650円
au 使い放題MAX 5G 6,580円 30GBまで
ソフトバンク メリハリ無制限 6,580円 30GBまで
楽天モバイル Rakuten UN-LIMIT Ⅵ 2,980円

オンライン会議のデータ容量は意外と大きい

 意外と知られていないのが、オンライン会議でのデータ容量だ。Zoomやマイクロソフト・Teams、Google・Meet、シスコ・Webexなどが存在するが、やりとりする内容によっては、1時間で1GB程度、データ容量を消費していったりする。

 日本国民がスマートフォンで使っているデータ容量の平均はだいたい10GB程度とも言われている。この数値は「コロナ禍前」のデータであり、オンライン会議が当たり前になるなかで、今後はもっと増える可能性がある。

 今年3月からNTTドコモ「ahamo」やKDDI「povo」、ソフトバンク「LINEMO」など、オンライン専用プランが登場したが、いずれも20GBが中心だ。外出先でオンライン会議に参加しようものなら、1日2回、会議があれば、10日程度でデータ容量が足りなくなってしまうのだ。

 その点、各社が提供する「使い放題プラン」なら、そうした不安を抱えることなく、オンライン会議に集中できる。

 ちなみに「使い放題」といっているが、これはあくまでスマートフォンでのデータ通信に限った話だ。

 テザリングを利用した場合、KDDI「使い放題MAX 5G」とソフトバンク「メリハリ無制限」は30GBという制限があるので注意が必要だ。

 その点、NTTドコモ「5Gギガホ プレミア」、楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」は、そうした制限がないため、テザリングであっても使い放題というのが魅力だ。外出先や出張先で朝から晩までオンライン会議に参加してもへっちゃらだ。

料金が気になる人にはpovo2.0がある

 確かに使い放題プランは魅力だが、NTTドコモ「5Gギガホ プレミア」は6,650円(税別)、KDDI「使い放題MAX 5G」とソフトバンク「メリハリ無制限」は6,580円(税別)と結構、いい値段がする。もちろん、家族割引や光回線とのセット割引で、もう少し安くすることは可能だが、それでも高いと言わざるを得ない。

 「昨年、菅首相が通信料金の値下げを政策の目玉にしていたが、もっと安く使える方法はないのか」「まだまだ自宅でのテレワークが中心で、出先に行くのは週に1回程度。もっと安く使える使い放題はないのか」と言いたくなる人も多いだろう。

 そんな人にお勧めなのが、KDDIが9月から始めたオンライン専用プラン「povo2.0」だ。

 KDDIでは今年3月からpovoというオンライン専用プランを開始したが、早くもリニューアルさせてきたのだ。

 povo2.0は、基本料金がゼロ円となっており、必要な時だけ、アプリを使って、データ容量を購入(povoではトッピングと呼んでいる)していけばいいようになっている。

 なかでも、活用したいのが「24時間、データ使い放題」というトッピングだ。330円を支払うと24時間、データ通信が使い放題になるというものだ(現在はお試し期間中ということで、翌日の23時59分59秒まで使える)。

 つまり、スマホのメイン回線はできるだけ安いプランにしておき、「週に1回だけ、出先でオンライン会議をする」という時だけで、povo2.0で24時間、データ使い放題のトッピングを買えばいい。

povo2.0は基本ゼロ円で、トッピングにより「24時間、データ使い放題」も可能

iPhoneの2回線利用なら、キャリアの回線トラブル時も安心

ちなみに、最近のiPhoneは、1台のiPhoneで2つの通信回線を利用することが可能だ。1回線目は、プラスティックのSIMカードを挿しつつ、2回線目はeSIMというオンラインで手続きできるSIMをiPhoneに登録しておくと、2回線を同時に使用できる。

最近のiPhoneなら1台で2つの通信回線を利用できる

 メイン回線はNTTドコモやソフトバンク、さらにはMVNOなどの安い料金プランにしておき、2回線目のpovoにしておけば、必要な時だけ、データ通信を使い放題にすることができる。

 先日、NTTドコモが大規模な通信障害を起こし、数時間にわたってデータ通信や音声通話ができないというトラブルが発生した。 

 2018年に発売されたiPhone XSやXR以降のiPhoneであれば(ただしiPhone SEをのぞく)、メイン回線はNTTドコモ、サブにpovoといった使い方ができる。万が一、NTTドコモが通信障害に遭ったり、また逆にKDDI回線であるpovoが落ちた時も、もう1回線があるので、通信や通話ができてしまう。

 今年発売されたiPhone 13は、どのキャリアで購入してもSIMフリー状態となっており、こうした使い方が簡単にできるようになっている。

 「使い放題プラン」で思いっきりストレスなく出先でオンライン会議をするのもいいし、2回線を使い分けることで、賢く節約しながら仕事をするというのもアリだろう。

 いずれにしても、かつての菅政権のおかげで料金プランが多様化してきただけに、自分の使い方にあった料金プランに変えていくといいだろう。

筆者プロフィール:石川 温(いしかわ つつむ)

中央大学商学部卒。1998年に日本ホーム出版社(現・日経BP社)に入社後、日経トレンディ編集部で編集記者として、ヒット商品、ケータイなどを取材。2003年に独立し、主にスマホ業界を幅広く取材する。日経電子版「モバイルの達人」を連載するほか、ラジオNIKKEIにて、毎週木曜20時20分から「石川温のスマホNo.1メディア」のパーソナリティを務める。メルマガ「スマホ業界新聞」を毎週土曜に配信中。YouTubeにて「石川 温のスマホ業界ニュース」も配信。近著に『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)。