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2021/11/05

あの人のスマートワークが知りたい! - 第30回

セカンドライフに踏み出すのは勇気がいるが、必ず誰かが見ていてくれる


~プロサッカー選手からベンチャー企業の経営者に転身、現在はYouTubeでも活躍する鈴木啓太さんに聞いた

プロサッカー浦和レッズでスター選手として活躍し、日本代表に選ばれ、世界で闘う。素晴らしい実績を残しながら、惜しまれつつ引退。さっそうと起業家としてサプリメントの製造販売などを手掛ける会社の経営を始める。そして、YouTubeチャンネルを開設し1年で多数の登録者を集めるなど、ほとんどの人が経験できない人生を歩む鈴木啓太さんにYouTubeとセカンドライフについて伺った。

文/吉田典史


鈴木啓太
1981年、静岡市生まれ。中学は東海大一中に在籍し、全国中学校サッカー大会優勝する。東海大翔洋高校卒業と同時に、2000年、Jリーグ浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)に加入。ポジションはMF。2006年~2008年は日本代表となり、唯一全試合先発出場を続ける。2015年に引退するまで、16年間浦和レッズで活躍。
2015年には腸内細菌の可能性に着目し、腸内フローラ(腸内細菌の生態系)解析事業を行う研究開発型のベンチャー企業・AuB(オーブ)株式会社(中央区)を設立。33 競技750人を超えるトップアスリートの腸内を研究し、酪酸菌など約30種の菌の配合により、腸内環境を改善するサプリメント「AuB BASE」と、プロテイン「AuB MAKE」の製造販売をする。トップアスリートの腸内の分析データから独自の特徴を発見し、製薬会社や食品メーカーとの共同研究や自社製品開発を行う。スポーツ、ヘルスケアビジネスの分野でも、積極的に助言やコンサルティング、講演などをする。
https://aubstore.com/
https://www.youtube.com/channel/UCWcfNaOvJ-UtZvWMTqDaNjw

聞き役に徹して、ゲストの持ち味を引き出したい

― YouTubeでご自身のチャンネルを開設され、話題となっていますね。

鈴木 2020年11月にチャンネルを開設し、(この取材を受ける時点で)1年近くが経ちます。サッカーとビジネスは関係が深いとかねてから思っていますから、サッカーファンはもちろん、経営者や会社員の方にもご覧いただける内容を目指しています。

例えば、監督やコーチと選手は上司と部下の関係に近いものがあるように思います。それを意識し、一番初めにアップロードした番組では、川淵三郎さん(Jリーグの初代チェアマンで、現在は日本サッカー協会の相談役)にご出演いただき、リーダーの資質について伺いました。

最近では、中村憲剛さん(元日本代表、川崎フロンターレ)に理想の監督像をテーマにお聞きしています。中村さんも話していましたが、素晴らしい監督は戦術を教えるだけでなく、チーム作りや選手の育成までできるのです。そんなところも、会社員の方に知っていただければと思います。

― 現在までに74本以上をアップロードし、再生回数は30~60万が多く、登録者数は5.48万人(2021年10月21日現在)。YouTubeのチャンネルが多数ある中で、開設1年でこんなにヒットしているケースは少ないですね。

鈴木 再生回数や登録者数を増やすことだけを目標にしているわけではないのですが、私たちが評価されているか否かの1つの目安として位置づけています。元選手との対談形式にしてからは、お陰様で一段と増えてきました。私が現役の頃からのサポーターの方々もご覧になってくれているみたいです。前々からブログやTwitter(@keita13suzuki)、インスタグラムをしてきたのですが、そちらから来て観てくださる方も多いようです。

対談では私がホスト、元選手がゲストなのですが、テレビ番組の「徹子の部屋」(テレビ朝日)を意識しています。収録の際には、まずは自分が聞きたいことを尋ねて、お聞きする。聞き役に徹して、ゲストの持ち味を引き出したい。視聴者の方にもそんなやりとりを楽しんでいただきたいですね。

スポーツが好きな方たちのコミュニティをつくりたい

― 特に力を入れている点は?

鈴木 何より自分が聞くことを楽しみたい。YouTubeの魅力は、自分が楽しんでいるものを「ねぇ、観てよ」とご覧になっている方とシェアできることだと思います。だから、例えば「あの監督は(ゲストの)元選手にとっては、実際のところはどうだったんだろう」と私が知りたいことを聞いています。答えるのが難しいかもしれないことも、あえて尋ねます。

もう1つの魅力は、時間軸が長いこと。半年以上前にアップロードした動画を最近ご覧になった方がコメントを書いてくれています。Twitterでは、ここまで時間軸が長くはないのかもしれませんね。だけど、瞬発力はあります。例えば、「今日のスタメンは…」などと試合を観ながらリアルタイムでつぶやくことができますから。

YouTubeは、伝えることができる情報量が他のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に比べて多いこともいいのでしょうね。動画でいろいろなことを取り上げることができます。手軽に撮影、編集ができるのも魅力ですが、私たちは毎回、時間と労力、ある程度の予算をかけて丁寧に作り、番組の質を高めるようにしています。企画会議では4~5人で「あの選手にこんなことを聞いたらどうなのかな…」などとフランクに1時間半ほどは話し合います。4~5人のうち、半分が弊社の社員、半分は外部の制作会社のスタッフです。

番組の台本も作りますが、スタッフ間の情報共有の意味合いのもの。ゲストとのやりとりのほとんどは、アドリブです。収録前にゲストと打ち合わせをするのは数分。必要以上に、対談の段取りは決めません。収録は外部のスタジオを借りて、カメラは3台。2~3人の撮影スタッフがいます。ゲストからは、「こんなに力を入れているんだ」と驚かれることもあります。

その後は、映像の編集をします。互いに踏み込んだ発言になるために、ゲストから「あの部分をカットしてほしい」と依頼されることは稀にあります。もちろん、それに応じますよ。「ピッ―」と発信音を入れて、その部分の言葉が聞こえないようにする場合もありました。現在までは、目安として1週間に1本のペースでアップロードしてきました。これからはサッカーを中心としながらも、機会があれば他のスポーツの選手にもお話を伺ってみたいと思っています。スポーツが好きな方たちのコミュニティになればいいですね。

選んだ道を正解にし続ける、その努力をするだけ。YESにするだけですよ

― 70~80歳まで働く人が目立つようになってきました。最初の会社に勤めた後も、次のチャレンジが普通になってきて「セカンドライフ」がキーワードになりつつあります。プロサッカーから、会社の経営者に、しかも起業家になるのは相当な覚悟と勇気が必要だったのではないですか。

鈴木 引退後も、サッカーの世界で生きていこう。一時はこう考えましたが、子どもの頃から少々危ないかもしれないけれど、楽しいことが好きだったのです。生きていくうえで安全や安心はもちろん大切ですが、できないことをしてみたい、チャレンジしたい、苦しくとも乗り越えてみたい。できるようになるのは、うれしいじゃないですか。そんな思いを抑えきれなかったのです。人生一度ですから、思い切って会社の経営の世界に飛び込んでみました。

どちらかと言えば、深くは考えずに好きなことに向かうタイプです。だから、失敗も多い…(苦笑)。それでも、明日が来るんですよ。現役の頃、自分のパスミスで負けた時もあります。苦しいけれど、チームの仲間に支えられ、乗り越えることができました。会社を経営するようになってから日が浅い頃には、経営状態が悪化し、ずいぶんと苦しかったのですが、社員やクライアントの皆さんに支えられ、助けられました。

あの時に苦しんだから今があるのではないかな、と感じます。現時点では「あの経験は楽しかったな」と振り返る余裕はまだないのですが、これからも成長はしていきたいですね。

― セカンドライフを前に「どうすればいいのか」と迷う人もいますね。

鈴木 無理にセカンドライフを試みる必要はないと思いますが、人生を歩んでいくと、岐路に立たされることはありますね。その時、どちらかを選択せざるを得ないものです。選んだ後に上手くいかないことがあったとしても、例えば「あの選択をしたから、こうなったんじゃないか…。実は誤った選択をしたのではないか」と考えるべきではない、と思います。むしろ、選んだ道を正解にするように努力することに力に注いだほうがいいのではないでしょうか。

「岐路に立った時にはその選択でよかった、きっとベストだったのだろうと思います。だから、あなたはその道を選んだんですよね…。それ以上でもそれ以下でもないでしょう」。そんなことを言いたいし、自分に言い聞かせてもいます。選んだ道を正解にし続ける、その努力をするだけ。YESにするだけですよ。

怖いんです、私も。セカンドライフに踏み込むのは、勇気が必要ですから。だけど、必死にがんばっていると誰かが見てくれているんです。現役の頃、「お前はボールを持つな、すぐにパスをしろ」「シュートを打つな」と言われたことがあります。当時の浦和レッズは、スター選手が多かったのです。コンプレックスを感じる時期もありました。

他の選手たちはあまりしたがらないのかもしれませんが、それでも、ディフェンスでひたすら走り回っていました。多くはボールのそばにいて、蹴っていたいと思うものなのです。正直なところ、私も悔しかった時期があります。だけど、シュートを決めた選手が「(鈴木)啓太のお陰。自分をずっとカバーしてくれていたから」と新聞やテレビの取材を受ける時に言ってくれているのを知ると、うれしいものです。私のポジションは花形ではなかったのかもしれないけど、仲間が認めてくれていたんだと思えましたから。

小中学生の頃に、母親が「必ず、誰かが見ていてくれる」と何度も教えてくれました。当時は「絶対に誰も見ていないよ」と思っていましたが、今は母の言っている通りと思います。必ず誰かが見ているものです。YouTubeも、そんな思いを秘めて続けていきます。ぜひ、ご覧になってください。

筆者プロフィール:吉田 典史

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』(ダイヤモンド社)など多数。

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