ニューノーマル・ワークスタイル 第4回

ChromebookとGoogle Workspaceでニューノーマルを見据えた働き方を実現


Google CloudのプレミアパートナーとしてGoogle Workspace、Chromeデバイス、Google CloudといったGoogleソリューションを取り扱う株式会社電算システム。Chromebookの導入に数多くの実績を持ち、また、既存の業務をChromebookで対応するためのシステムインテグレーションを通して多くの顧客企業の課題を解決してきた。今回は、電算システムにChromebookとGoogle Workspaceを利用するメリットについて聞いた。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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Chromebookでサイバー攻撃を防ぐ

企業がChromebookを採用するメリットについて、その大きなポイントは「セキュリティ対策にある」と株式会社電算システムは指摘する。それは、単にマルウェアに感染しづらいというものではなく、企業で統合的に管理するデバイスとしてのセキュリティ性能の高さを意味する。同社がWebサイトに掲載している情報によれば、現在のWindows 10のアップデートには、多いときで約1.4~3.5GBの更新データがダウンロードされるという。OSを更新するためには、かなりの時間がかかる。PCをHDDで利用していると、定期アップデートやドライブのウイルススキャンに負荷が増大して、Windows 10の操作全体が重くなる。それを嫌って、OSのアップデートを中断したり延期したりしてしまうユーザーも多い。しかし、そうした更新を怠ることで発生するセキュリティホールは、大きな問題になる。特に、コロナ禍でリモートワークが急増しているだけに、家庭にあるPCのセキュリティホールは、サイバー攻撃のターゲットになりやすい。

こうした不安を解消する方法として、Chromebookが注目されている。Chromebookは、セキュリティのアップデートにかかる時間が短い。一度に更新されるファイルの容量が小さく、またOS自体の動作が軽いので、利用者に負担がかからない。加えて、Chromebookのセキュリティ管理ポリシーは、300以上の設定項目が用意されており、スクリーンショットを禁止したり、外部デバイスの接続を拒否したりするなど、きめ細かい防御が可能になる。それらの設定をリモートで一括管理できるので、セキュリティに対する知識のない社員が在宅で利用しても、安全性が確保される。

Google Workspaceで業務をこなす

セキュリティ対策に優れていても、日常の業務で利用できなければ、Chromebookへの置き換えは進まない。そうした状況を打破する切り札となる存在が、クラウド型オフィススイート「Google Workspace」だ。「Googleドライブ」というクラウド上のストレージ、文書作成アプリの「ドキュメント」、表作成・表計算アプリの「スプレッドシート」、プレゼン作成アプリの「スライド」などのオフィスツールがそろっている。そのフォーマットは、WordやExcel、PowerPointといったOfficeソフトと互換性があり、相互にデータをやりとりすることも可能だ。

しかし、100%の互換性があるかというと、そこまで完璧ではない。例えば、PowerPointで複雑なデザインやアニメーションなどを作成し、スライドで開いても完全に再現することはできない。同様に、Excelでデータの重いシートを作っていたり、Wordで高度なフィールド変数を使っていたりすると、ドキュメントやスプレッドシートでは利用できないケースもある。

こうした課題を解決するために、電算システムでは仮想デスクトップインフラ(VDI)のシステムインテグレーションを提供している。Office系ドキュメントの依存率が高い大手企業では、Chromebookをシンクライアントのように導入し、既存の業務はVDIにより、Windows 10とOfficeを利用するという。大手企業の情報システム部門にとっては、端末の管理負担を低減し、テレワークで使用するデバイスがサイバー攻撃に遭う可能性を下げられるので、導入が広がっているという。

全ての業務でChrome対応が必須

VDIによるハイブリッドな解決策は、IT予算のある大手企業であれば、容易に導入できる。一方で、そこまでコストをかけられない中堅中小企業がChromebookの導入を推進するためには、「全ての業務においてChrome対応が必須」だと電算システムでは指摘する。つまり、Office系アプリをGoogle Workspaceに移行するだけではなく、基幹系システムもWebアプリケーションとしてChromeから利用できる環境に整えるのだ。Chromebookは、Chromeブラウザーを利用するためのデバイスなので、業務システムの全てがChromeに対応すれば、VDIを使わずにWindows PCからの切り替えが可能になる。

基幹系も含めた業務システムのWebアプリケーション化は、DX推進にとっても大きなテーマになっている。社内にあるWindows PCと専用アプリを利用しなければ業務が遂行できない環境のままでは、テレワークのようなオフィス以外の場所での働き方は実現できない。全てのシステムをChromeブラウザー対応にすることは、結果として全社規模でのDXを加速して、働きやすい環境の整備にもつながる。

電算システムでは、ChromebookとGoogle Workspaceに移行した成功例として、「月250時間の残業時間がゼロになった」「2日間かかっていたPCのセットアップが30分になった」「セキュリティ対策にかかるITコストを40%削減した」といった数字を紹介する。こうした成果は、同社の導入事例では、ほんの一部になるという。ChromebookとGoogle Workspaceの組み合わせは、これまではWindowsとOfficeが当たり前だったIT基盤に対して、新たな成果をもたらす。

しかし、全社導入するにあたっては、Windowsとの違いを正しく理解しておくだけではなく、ネットワークの整備も含めた対応が必要になる。ChromebookとGoogle Workspaceは、クラウドの利用が前提になるので、社内やテレワークでのネットワーク環境が作業の快適さを左右する。また、Chromebookの多くは、コストを下げるためにインテルのCeleronなどのローエンド向けプロセッサーを搭載しているので、動画再生やWeb会議のように、端末に負荷のかかる処理では、満足に機能しない心配もある。ちなみに、電算システムによれば「Google Meetは動作が軽いので、性能の低いChromebookでも十分に利用できる」と評価している。また、Chromebookを製造しているPCベンダーでも、そうしたビジネスニーズに応えるように、高性能な機種もラインアップしてきている。米国を中心にビジネス活用が進むChromebookだが、国内でもコロナ禍を機にニューノーマルを見据えた柔軟でセキュアなデバイスとして、普及が加速しそうだ。

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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