レッドハット、2023年度の事業戦略を発表

事業戦略

 レッドハットは4月25日、2023年度の事業戦略について記者説明会を開催した。同社の2023年度の事業戦略の中核は三つある。一つ目の注力ポイントは「コアビジネスの拡大」だ。同社 代表取締役社長 岡 玄樹氏は「国内で80%のシェアを誇る『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)が今も安定して成長しています。さらに、RHELを利用できる提供方式の選択肢を増やしています」とコアビジネスを語る。

 また、ここ数年で企業向けコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」(以下、OpenShift)、ITオートメーションソフトウェア「Red Hat Ansible」が急成長し、新たなコアビジネスとして確立した。これを受けて岡氏は「2023年度はこれら三つをさらに拡大していく予定です」と意気込みを語る。

 同社の二つ目の注力ポイントは「クラウドサービスの確立」だ。同社はサブスクリプションとクラウドを両立してRHELを提供しながら、OpenShiftをクラウドサービスとして提供し始めた。こうしたクラウドサービスを拡大させつつも、オンプレミスソリューションも重視し、両立することで、顧客にハイブリッドクラウドを提供すると岡氏は強調した。

 三つ目の注力ポイントは「エッジビジネスの基盤構築」だ。エッジは現在クローズドな世界だが、今後はクラウドでの開発が進み、エッジにデプロイするだけでなく、継続的なアップデートを行う仕組みが2024〜2025年度ごろに本格化することが見込まれる。岡氏は「2桁成長を続けるために、中長期の事業に取り組む必要があります」と注力する理由を説明する。

 最後に岡氏は「これらの事業戦略を推進しながら、アプリケーションのプラットフォームの選択肢を増やし、開発・運用に一貫性をもたらす『オープン・ハイブリッドクラウド』を実現し、顧客のビジネス変革を引き続き支援していきます」と展望を語った。

企業文化を説明するレッドハットの岡 玄樹氏。

日本企業のアジャイル開発を支援

 日本市場独自の状況として、アジャイルコンサルティングサービス「Red Hat Open Innovation Labs」が好調なことを受け、岡氏は2023年度の同サービスの戦略について次のように語る。「富士通とのパートナーシップ強化によるリーチの拡大、会社全体でのアジャイル開発をサポートするフレームワーク『Scaled Agile Framework』の活用、アジャイル開発を支援するコミュニティーの設立・運営を実施する予定です。当サービスでは、当社のオープンな企業文化を顧客やパートナー企業に波及させることを重視しています。オープンな企業文化をさらに広めるため、当サービスを主軸にし、日本におけるアジャイル開発の本格的な普及を強力にサポートします」