GIGAスクール構想では端末整備をはじめとしたハード面以外にも、デジタルならではの学びを実現するソフトウェア面、日常的にICTを活用できる体制を整える指導体制面といった三位一体の整備が必要だ。これら全てをサポートするのが、WindowsやMicrosoft 365 Educationをはじめとした、マイクロソフトのプラットフォームだ。学校教育に必要なサービスとサポート提供を行う日本マイクロソフトの取り組みをKeyPointとともに見ていこう。

KeyPoint.1

GIGAスクール向け情報を集約・発信

日本マイクロソフトが提供している「GIGAスクールパッケージ」の内容をはじめ、既存のWindows PCにあった「高い」「管理しにくい」といった先入観を払拭する情報を、Webサイトに集約して提供。学びに必要なハードウェアやソフトウェアの要件を発信している。

KeyPoint.2

Intune for Educationで管理がしやすい

MDMツール「Intune for Education」の管理画面は、タイル状の分かりやすいUIを採用している。Intune for Educationでは、児童生徒がデータにアクセスするデバイスやアプリを管理したり、指定したグループへのアプリの追加や削除などの管理が可能だ。

KeyPoint.3

学びを深めるソフトウェアもセット

Microsoft 365 Education GIGA Promoでは、学習者用基本ツール「Microsoft 365 Apps」を利用可能。利便性が高く安定したインストール版と、Webブラウザー版の両方が利用できる。特にMicrosoft Teamsは全てのOfficeツールをつないで学ぶハブツールとして、さまざまな教育現場で活用されている。

KeyPoint.4

教員向け研修コンテンツが充実

教育委員会・教職員向けの研修パッケージ「GIGA Start Program」の一つであるオンライン学習コンテンツは、マイクロソフトの教育センター(https://education.microsoft.com/ja-jp)で無償公開されており、誰でも取り組める。

導入から活用までをフルサポートする
マイクロソフトのGIGA向け提案

■導入から活用のフェーズへ

 日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長 中井陽子氏は「GIGAスクール構想の予算による端末調達の公共案件は全国でほぼ完了しています。すでに教室で使い始める学校現場も増えてきており、今後のGIGAスクール構想は端末整備から活用のフェーズに移っていきます」と指摘する。

 日本マイクロソフトでは、2020年2月に「GIGAスクールパッケージ」を発表し、GIGAスクール構想と学習者用端末などの標準仕様に適合した「GIGAスクール対応PC」に加え、マイクロソフトのクラウドサービスなどを組み合わせたソリューションの提供をスタートした。また、2020年3月にはこれらのGIGAスクール向けの情報を集約したWebページ(https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/education/default.aspx)を公開し、GIGAスクール時代の教育現場のICT環境整備に、マイクロソフトのプラットフォームが適している理由なども詳しく紹介している。

■シンプルな運用が可能

 GIGAスクールパッケージでは、MDMツールである「Intune for Education」を含む教育プラットフォーム「Microsoft 365 Education GIGA Promo」(以下、GIGA Promo)、教育委員会・教職員向けの研修パッケージ「GIGA Start Program」、そしてGIGAスクール構想の標準仕様に対応した端末がセットになり、1台当たり4万5,000円で導入できる※。GIGAスクール構想の補助金の範囲内で導入できるお得なパッケージだ。

 GIGA Promoでは、前述したIntune for Education、学習者用基本ツール「Microsoft 365 Apps」(旧:Office 365 ProPlus)、Windows 10 Pro Educationがセットになっている。端末にひも付いたライセンス形態で、該当端末が使える限り最長6年間の利用が可能だ。Intune for Educationは端末の大規模一斉展開を考慮した、シンプルな導入を実現する端末管理(MDMツール)で、Windows、iOS、AndroidのマルチOSを管理できる。クラウドベースの展開方法を取り入れており、従来のWindows端末の展開と比較して大幅な導入期間の短縮が実現可能なのだ。

「Intune for Educationを使えば、スリープ状態からのWindows Updateも可能になります。夜間に充電保管庫内で端末を自動アップデートできるため、授業中に突然更新が始まるといったこともありません」と中井氏。Windows Updateの時間がかかるといったイメージや、容量を圧迫するといったイメージは過去のものであるとし、「Windowsであればシンプルな運用が可能です」と強く語る。日本マイクロソフトでは、実際に教育現場で現在のWindows 10端末に触れてもらったりデモを見てもらったりすることで、学校現場での運用のしやすさを訴求していったという。

※基本パッケージの場合

■求められる高校への整備

 GIGA Start Programでは、いつでも取り組める無償のオンライン学習「GIGA Learning Path」、自治体レベルでの無償の訪問型研修およびオンライン研修、そして訪問型研修やオンライン研修の受講者をMicrosoft Teamsのコミュニティに招待する「GIGAオンラインユーザー会」での情報交換の現場を提供する。GIGA Learning PathはGIGAスクールパッケージ導入の学校現場以外でも利用できる無償のeラーニング動画教材で、それぞれの学校の教員研修の一環として利用可能だ。

 GIGAスクール構想によって、多くの自治体に教育用の情報端末が整備された。その内Windows端末が導入されたのは約35%ほどだという。「今後は、GIGAスクール構想によって導入された端末を活用した学びを成功に導いていくことを目指していきます。まずは実際に活用しているお客さまの事例などを公開し、ほかの学校現場の先生方に『これならできる』と活用を広げていってもらえたらと思います」と中井氏。

 また、日本マイクロソフトのパートナー企業に対しては「デバイスだけでなく、Microsoft 365 Educationを中心としたアプリケーションも利用してもらい、教育現場での活用を進めていってもらえたらと思います。また、GIGAスクール構想は小中学校を対象にしたICT環境整備でしたが、高等学校での端末の整備もすでに始まっています。高等学校では特に、WindowsやMicrosoft 365を活用した“探究学習”が最も身になりやすい教育シーンであるため、今後支援をさらに強化していきます」と中井氏。

 活用のフェーズに入りつつある小中学校への支援と平行し、高等学校のICT環境整備に力を入れていく日本マイクロソフト。次号の本企画では、今回割愛したMicrosoft 365 Appsの詳細とオンライン教育、そしてWindows×Microsoft 365の組み合わせによる高等学校の探求学習の可能性について、解説していく。