静脈などの生体認証対応で安心
持ち歩けるワークステーション

FUJITSU Workstation CELSIUS H7510

富士通が提供する「CELSIUS H7510」は、通常のノートPCとは一線を画した処理能力と多要素認証による安全性を持つ、15.6インチのパワフルなモバイルワークステーションだ。モバイル型の特性を生かして、デスクワークだけではなく自宅や屋外などさまざまな仕事場に持ち出せる。今後の働き方の可能性を広げる最新モデルを見ていこう。
text by 森村恵一

作業負荷の高いCADや画像処理に対応

高精細な4Kのモニターで設計図などを鮮明に表示する。輝度は500cd/㎡のため、屋外でも活用しやすいだろう。

 CADやグラフィックデザインなどを扱う業種で用いられるワークステーションは、高い処理能力と安全性が求められる。富士通のCELSIUS H7510は、そうした作業負荷の高い処理や多要素認証による安全な持ち運びに対応する。

 本体を開くと、15.6インチワイドの「LEDバックライト付きTFTカラーLCD」を搭載したディスプレイが現れる。LCDは500cd/㎡の高輝度液晶で明るく見やすい。

GPUは、インテル UHD グラフィックスに加えて、「NVIDIA Quadro T2000」「NVIDIA Quadro T1000」「NVIDIA Quadro P620」の三つを選べる。NVIDIA Quadro Tシリーズはモバイル向けの高性能なGPUで、2Dグラフィックス、3Dグラフィックス向けのAPIである「OpenGL」に最適化されている。T2000とT1000の違いは、1,024対768というパイプライン数による処理速度の差にある。ただ、コストパフォーマンスではT1000の評価が高い。P620はエントリーモデルとなるので、Tシリーズに比べると処理性能では差が出るが、Tシリーズと同様4GBのグラフィックス専用メモリーを搭載しているので、一般的なノートPCやデスクトップよりも高性能な画像処理を実現する。

クリエイティブ業やデスクワークに

(上)左側面にRJ-45×1、アナログRGB ミニD-SUB15ピン×1、HDMI×1、USB 3.2 Gen1×1、Type-C×2、スマートカードスロットなどを搭載。さらに右側面(下)には、USB 3.2 Gen2×2、Φ3.5mmステレオ・ミニジャック×1など豊富なインターフェースを実現。

 HDMIで外部モニターを接続すれば、4,096×2,160ドットの4K画質での動画再生や編集が可能だ。実際に本体に4Kモニターを接続して4K動画の再生などを行ってみたが、滑らかな映像再生にGPUの性能の高さを実感した。ハイパフォーマンスなCELSIUS H7510は、負荷の大きなCADや映像編集用に活用する場合や、パワフルにビジネスをこなす場合にもフィットするオールラウンドな1台となる。

 メモリーは、8GB?最大128GBまで搭載可能だ。M.2フラッシュメモリーかHDDのストレージを選択できる。HDDの場合は500GBのみとなるが、M.2フラッシュメモリーディスクは暗号化機能付きで、256GB?1TBまで選択できる。プロセッサーは、インテルvProテクノロジー搭載のインテル Xeon W-10855M プロセッサーか、インテル Core i7-10850H vProプロセッサーあるいはCore i5-10400H vProプロセッサーの3種類から選べる。テレワーク環境でも快適に作業したい設計者、クリエイターやデザイナーが活用する場合は、負荷の大きい処理に対応する最上位モデルのインテル Xeon Wプロセッサーを選択するとよいだろう。クリエイティブ業務は行わないものの、ハイパフォーマンスな業務処理を実践したいのであれば、Core i5搭載モデルが適している。価格と性能のバランスを考えるならば、Core i7モデルが賢明な選択となる。CELSIUS H7510は、用途に合わせたラインアップを取りそろえ、デスクトップのワークステーションに匹敵するモバイルワークステーションとして活用できるだろう。

手のひら静脈で安全に持ち出し

 CADなどを取り扱う建設現場などで活用する場合の利便性や安全性にも注目したい。持ち歩きが想定されるノートPCで不安要素となるのが、バッテリーの持ちや紛失・盗難による不正ログインだが、そうした問題もCELSIUS H7510は解決する。

 まず、バッテリーは約11.4?15.4時間までの長時間稼働が可能なので、充電の手間を減らせるのがポイントだ。本体裏面への脱着式を採用している。屋外で作業することを想定すると、バッテリーの残量を不安に感じるユーザーもいるだろう。そうした場合に予備のバッテリーを使える点は、大きな安心と業務効率のアップにつながる設計と言える。

 セキュリティ面をカバーするために本製品で活用できる機能が、手のひら静脈認証や顔認証でのパスワードレスログインに対応するセキュリティソフト「AuthConductor Client Basic」だ。本ソフトウェアは標準で添付するほか、富士通のダウンロードページからもダウンロードが可能。しかし、ソフトウェアと併せてあらかじめ「内蔵型手のひら静脈認証センサー」や「内蔵型指紋センサー」を選択して搭載する必要がある。今回、手のひら静脈センサー搭載モデルで登録を試みたところ、手をかざす場所の案内が文字とイラストのアイコンで認証時の画面に表示され、分かりやすくスムーズに登録できた。ログイン時も、数秒でログインできた。二つの認証方法を組み合わせる多要素認証も可能なので、CADデータを扱う工事や建設現場といった作業現場などで持ち歩く場合も不正ログインを防止できるだろう。

手のひら静脈認証では、手をかざすだけで迅速にログインできる。