日本IBMが進めるAI本格活用への取り組み

人工知能

 7月12日、日本IBMは、AI本格活用に向けた取り組みについて記者説明会を開催した。

 同社 執行役員 テクノロジー事業本部 データAIオートメーション事業部長 塩塚英己氏は、AI本格活用のためのアプローチを次のように語る。「当社のアプローチは三つです。一つ目は、さまざまな環境に分散したデータを物理的または仮想的に統合するデータ基盤アプローチ『データ・ファブリック』です。データ・ファブリックの実現には、四つの技術要素の取り組みが必要です。それは複数クラウドのデータを統合的に活用する『マルチクラウドデータ統合』、データの信頼性とプライバシーを確保する『ガバナンスとプライバシー』、顧客中心のデータ分析を実施する『カスタマー360』、AIモデル開発のライフサイクル管理やAIモデルの信頼性を確保する『MLOpsとモデルの信頼性』です。当社は段階的に取り組む範囲を広げ、最終的には全社的なAI活用にまで推進させます。二つ目は『信頼できるAI』です。データ、モデル、プロセスの信頼の獲得がAIの本格展開を支えると考えています。三つ目は『AIを活用した自動化』です。今後はAIや機械学習などさまざまな技術を用いて複数の業務や組織に自動化を適用する考え方『ハイパー・オートメーション』が重要になります。単一のプラットフォームでハイパー・オートメーションを実現する製品『IBM Cloud Pak for Business Automation』で、顧客の業務の自動化をエンドツーエンドで支援します」

パートナー企業との共創を加速

 日本IBMは、顧客やパートナー企業と共にテクノロジー活用を加速する取り組み「共創アプローチ」を推進している。同社は共創アプローチの推進のために、パートナー企業との共創機会を創出する「パートナーソリューション共創センター」を含む五つのセンターの設立、AIソリューションなどを体験するデモツアー「IBMテクノロジー・ショーケース」の実施、顧客と共創活動を行う専任部隊「クライアント・エンジニアリング」とIBM製品の価値を最大限活用し顧客のビジネスに貢献するチーム「カスタマー・サクセス」の拡大を行う。最後に塩塚氏は「環境、体験、体制の各側面から共創活動を加速します」と展望を語った。