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インボイス(適格請求書)

商品にかかる消費税率ごと(8%と10%)に金額をまとめた領収書・請求書を指す。複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式を「適格請求書保存方式(インボイス制度)」という。経過措置(~2023年9月30日)を経て、2023年10月1日から導入される。導入以降、売手側と買手側の双方がインボイスを7年間保管する必要がある。

現在(2023年4月)は、課税売上高が1000万円以下の小規模事業者は、消費税の納税義務が免除されている(以下、免税事業者)。インボイス制度が開始されても、この免税の仕組みは続行される。ただし、免税事業者と取引する買手側は、仕入れ・経費にかかる消費税を差し引く「仕入税額控除」が認められなくなり、売り手側に消費税を払うとともに、消費税も納税することから、実質的に税負担が増えてしまう。このため、個人事業主や、副業をしている会社員らも、取引先からインボイス発行を求められる可能性がある。一方、課税事業者になって消費税を納めれば手取りが10%減り、インボイスの写しを7年間保管するなどの業務負担も増えることになる。小規模事業者にとっては切実な問題だ。

インボイスを発行するためには、適格請求書発行事業者の登録を申請して、課税事業者なる必要がある。国税庁によると、2月末時点で登録したのは約240万事業者。大部分はもともと課税事業者で、免税事業者からの転換は少数だ。登録は10月以降でも可能で、判断を保留する事業者が多いとみられる。

なお、制度開始から6年間の経過措置期間が設けられている。インボイスがなくても、2023年10月1日から3年間は仕入税額相当額の8割、2026年10月1日から3年間は仕入税額相当額の5割を控除できる。売手側についても、課税事業者に転換した場合、3年間は納税額を「売り上げ時に受け取った消費税額の2割」とし、税負担を軽くすることになっている。
(青木逸美)