ロードバランサー
外部からの通信(トラフィック)を複数のサーバーに振り分ける装置の総称。英語の「load(負荷)」+「Balancer(釣り合いをとるもの)」が由来で、「負荷分散装置」とも呼ばれる。
Webサイトにアクセスが集中すると、実行する処理が急増し、ページの表示速度の低下やシステムダウンなどトラブルが起こる場合がある。ロードバランサーはアクセスを複数のサーバーに分散するため、サーバーの負荷を軽減し、レスポンスを向上させる。また、サーバーが故障したとき、自動的に他のサーバーへ割り振ることで、システムダウンを抑制できる。故障したサーバーのメンテナンス中に、他のサーバーでサービスを継続することも可能だ。
ロードバランサーの提供形態は「ハードウェア型」「ソフトウェア型」「クラウド型」の3つに分類される。従来のハードウェア型は高い処理能力を持つが、専用機が高価なため、導入費用が高額になりやすく、運用コストもかかる。また、柔軟にリソースを拡張することができない。コストを抑えるために開発されたソフトウェア型は、搭載するサーバーの処理能力によってパフォーマンスが左右され、機能も限定的なケースが多い。
ここ数年で、急速にシェアを伸ばしているのが、クラウド型のロードバランサーだ。トラフィックが急増する繁忙期だけ、リソースを追加するといった柔軟性を持った運用ができ、過剰投資を避け無駄なコストを抑えられる。ただし、クラウド型はサーバー攻撃や情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策が必要不可欠となる。
機器もソフトウェアも使わずに負荷分散する方法に「DNSラウンドロビン」がある。1つのドメイン名に複数のIPアドレスを割り当て、クライアントからのリクエストを順番に振り分けることで、負荷を分散する。DNSサーバーの登録情報を書き換えるだけなので、実装が容易でコストも抑えられる。しかし、サーバー障害検知や柔軟性などの機能面ではロードバランサーに及ばない。
(青木逸美)