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裁量労働制

労働者が実際の労働時間と関係なく、あらかじめ労使間で取り決めた時間働いたものとみなす制度のこと。1987年に労働基準法の改正により導入された。当初はシステムエンジニアや研究開発者、編集者/デザイナー、プロデューサー/ディレクターなどの専門的かつ仕事の時間配分について具体的な指示をすることが困難な一定の専門分野に限った導入であったが、1996年の改正によって、企業内において企画・立案・調査・分析などを行う一定範囲のホワイトカラー労働者にも適用する制度が設けられた。前者を専門業務型裁量労働制、後者を企画業務型裁量労働制と呼ぶ。

裁量労働制では時間管理が個人の裁量に任されるため、勤務時間帯や出退勤時間は自由に決められる。フレックスタイムと異なるのは、フレックスタイムが出退勤時間を労働者の判断に委ねる制度なのに対し、裁量労働制は実労働時間にかかわらず一定時間労働したものとする見なし労働時間制度である点だ。

裁量労働制の導入に際しては、会社側あるいは労働者側が一方的に導入することはできず、会社と労働者の代表が労使協定を結ぶ必要がある。その際には出退勤時間指示の撤廃や、適切なみなし時間制の規定、長時間労働時の健康確保などの協定を定め、これを労働基準監督署へ届け出る必要がある。現在、裁量労働制の対象の営業職などへの拡大を経団連が要望しており、働き方改革の一環としてその是非が国会で議論されている。

(古市威志)