「年100日ビジホ住まい」の達人モバイルワーカーが伝授するビジホワーク必勝Tips&グッズ

築浅ホテルに直接予約が吉!自分だけの役立ちリストも忘れずに

文/山口真弘


出張先のビジネスホテルでバリバリ働く=ビジホワーク!

 オフィスではなく主に自宅で仕事することを指す「リモートワーク」「テレワーク」という言葉は、近頃よく耳にするようになりました。外回りの先で喫茶店で作業したり、出張先のホテルで仕事をするといった既存のケースも含めると、ビジネスパーソンがオフィス以外で仕事をこなす機会は、かつてに比べ格段に多くなっていると言えます。

 フリーランスで自宅作業が主である筆者の場合、ノートPCがあれば全国どこでも作業がこなせることもあり、年間数十日、多い年には100日ほどは、全国各地のビジネスホテルに滞在して仕事をしています。なるべく自宅環境をそっくりそのままビジネスホテルに持ち込めればよいのですが、あまり欲張り過ぎると荷物が多くなってしまうのが、モバイルワークの難しいところです。

 とはいえ年数十日ものビジネスホテルでの仕事を何年も行っていると、要領もそれなりによくなり、必要な道具とそうでない道具の区別もはっきりしてくるものです。今回はそんな筆者なりの、ビジネスホテルでの仕事、略して「ビジホワーク」に役立つTipsに加えて、ビジネスホテルでの作業に便利な7つのグッズをご紹介します。出張が多いビジネスパーソンの皆様の一助になれば幸いです。

Tipsその1:なるべく新しいホテルを選ぶ

 ホテル選びはモバイルワークにあたって重要な要素のひとつです。ネットワーク回線、コンセントの数、加湿を含む空調設備など、ホテルで快適に長時間の作業をするには、ホテルそのものの設備が大きくモノを言います。しかしホテルのホームページには、ネットワークの有無は書いてあっても、回線の太さや、またコンセントの数は明記されていません。

 ではどうすればよいか。判断方法は実にシンプル、「築年数がなるべく新しいホテルを選ぶ」ことです。建てられたのが新しいホテルほど、ネットワークの基幹は太く、室内のコンセント数も充実しており、なかには壁面などに充電用のUSBポートを備えた部屋もあるほどです。古いホテル、およびリニューアルオープンしたホテルでは、やはりどうしても限界があります。

 こうしたことから、二者択一で迷った場合、新しいほうのホテルを選ぶようにすれば、モバイルワークにおける満足度は高くなると言えます。なお、デスクとチェアだけは、ホテルの古い新しいとはあまり関係なく、形状による向き不向きがありますので(背もたれがないデザインチェアなども少なくありません)、ホームページの室内写真で確認することをおすすめします。

築浅ならIT環境も充実している可能性が高い。……さすがにプール付きは望み薄ですが。

Tipsその2:ホテルの予約は自社サイトから

 ホテルを予約する際、総合宿泊サイトを経由すると、予約できる部屋数が限られているうえ、エレベーターに近く廊下で話をする宿泊客の声が聞こえやすいなど、作業には不向きな部屋が割り当てられることが多々あります。

 そのため、いったん「当たり」のホテルを引いたあとは、なるべくそのホテル自身のホームページから予約することをお勧めします。こちらであれば、例えば道路に面していない静かな部屋をオーダーしたりと、個別の要望は通りやすくなります(もちろん度を過ぎた要望は禁物です)。会員登録の手間はかかりますが、それだけの価値はあります。

Tipsその3:ホテルおよび荷物はリストで管理

 筆者はこうしたモバイルワークにあたり、3つのリストを活用しています。ひとつは過去に宿泊したビジネスホテルについて、「枕元にコンセントがある」「空調が個別にコントロールできる」「冷蔵庫に2Lのペットボトルが入れられる」など、ホテルのサイトにはない項目を記録しておけるリストです。これがあれば、次回の予約にあたってホテルの優先順位をつけるのに重宝するというわけです。とくに、評価の高いホテルがどこも予約で埋まっており、低評価のホテルの中から宿泊先を選ばざるを得ない場合、どの設備を妥協できるか、これを見るだけで判断できます。

ホテルの管理リスト。過去に宿泊したホテルを5段階評価で一覧表示しています。会社勤めの方であれば、部署内で共有すると喜ばれるかもしれません。


具体的なチェック項目の一部。筆者は「Memento Database」という、データベースを自作できるAndroidアプリを使っていますが、記録さえできれば紙の手帳ベースでも問題はありません。

 残る2つは、持ち込むべき荷物のリスト、および遠征に出る前にチェックしておくべきタスクのリストです。前者については、出張が多い方であればおそらく独自のリストを用意されていると思いますが、後者についてはどんな内容か見当がつかない方も多いかもしれません。これは「PCやエアコンの電源をオフにする」「TV番組を録画保存するためのNASの残り容量をチェックしておく」「印刷しておくべき(航空券などの)チケットがないか確認する」など、遠征に出る前に見逃しがちな項目をまとめたリストです。これがあれば、急な遠征でも外出前に慌てなくて済むというわけです。

遠征に出る前にやらなくてはいけないことリスト。こちらはiOSの「Paperless」という、チェックリストを自作できるアプリを使っています。

ビジホワークに最適、デキる男のモバイルグッズ「7種の神器」

 続いては、筆者が、ビジネスホテルでの作業のために持ち歩いている、7つのアイテムをご紹介します。なるべく入手性が高いものを中心にセレクトしていますので、これまで使ったことがないアイテム、気になったアイテムがあれば、ぜひ使ってみてください。なお国内出張に特化していますので、海外出張で利用する場合、電圧などの点で不適切な場合があります。ご注意ください。

●モバイルWi-Fiルーター

 最近のビジネスホテルの多くはWi-Fiが利用できる設備を整えていますが、ノートPCやスマホ、タブレットなど接続する機器の数が多いと、ひとつずつSSIDとパスワードを設定して回るのは骨の折れる作業です。あらかじめ手持ちの機器との接続設定を済ませたモバイルWi-Fiルーターを持ち歩き、ホテルの部屋にある有線LANにつないで使うようにすれば、個別の接続設定も要らず、すべての機器がチェックイン後すぐに使えるようになります。プラネックスの「ちびファイ2 ac(MZK-UE450AC)」であれば、給電用USBケーブル直結タイプで、後述するUSB電源アダプタに挿してLANケーブルにつなぐだけで利用できます。

プラネックスのモバイルWi-Fiルーター「ちびファイ2 ac(MZK-UE450AC)」。

●ACアダプタ

 ノートPCを持ち歩くのであればACアダプタは欠かせませんが、体積がかさばることよりも、オフィスや自宅から持ち出す際にコンセントから抜き差しする手間のほうが、実は深刻だったりするものです。こうした場合、ACアダプタをもう1組買い求め、出張時にはそちらを持参するようにすれば、持ち出すたびに作業環境からACアダプタを取り外す必要がなくなり、驚くほど機動力が増すものです。最近はサードパーティ製の小型ACアダプタも多く市販されていますので、軽量でかさばりにくいそちらを出張用、製品同梱のACアダプタをオフィス用にするとよいでしょう。

出張用にサードパーティー製の汎用品を買い求めておこう。

●LAN/USBケーブル

 有線LAN回線を用意しているビジネスホテルでは、LANケーブルも常備してあることがほとんどですが、長さが不足していたり、また部屋には常備しておらずフロントに出向いて借りる必要があったりと、手間がかかることもしばしばです。こうしたことから、LANケーブルについては予備をひとつ持参すると安心です。サンワサプライの「1台3役巻き取りケーブル(KB-MK13BK)」であれば、コネクタを差し替えることでLANケーブル、USB(miniB)ケーブル、microUSBケーブルのいずれとしても使えますので、万が一の場合に重宝します。「microB仕様だと思っていた機器がminiB仕様だった」という場合にも役立ちます。

サンワサプライのUSBケーブル「1台3役巻き取りケーブル(KB-MK13BK)」。

●USB電源アダプタ

 最近はスマホ・タブレットはもちろんのこと、デジカメ、ゲーム機、さらにはノートPC本体に至るまで、USB給電に対応しつつあります。それゆえ出張時にはUSB電源アダプタが欠かせませんが、ポートの数が少ないと、途中で機器を取り替えながら充電しなくてはならず、手間がかかってしまいます。10ポート程度の製品であれば、将来的に機器が増えても安心です。Ankerの「PowerPort 10」であれば、最大60Wまでと容量にも余裕があることに加え、iPadのように消費電力の多い製品も対応しています。

AnkerのUSB急速充電器「PowerPort 10」。

●USB電源アダプタ小

 前述のように、USB電源アダプタは10ポートあれば基本的には事足りるのですが、これはあくまでもデスク上での話。10ポートのUSB充電アダプタとは別に、1~2ポート程度の小型のUSB電源アダプタを用意しておけば、就寝時にスマホを枕元で充電する場合のほか、新幹線のように充電用のコンセントを備えた車両内や、充電設備のある空港や飲食店などで重宝します。日本トラストテクノロジーの「cubeタイプ224(CUBEAC224)」であれば、2ポート搭載ながらコンパクトで、かつプラグが折りたたみ式なので持ち歩き時にかさばらず、またバッグ内でほかの機器に傷をつける心配もありません。

日本トラストテクノロジーのUSB充電器「cubeタイプ224(CUBEAC224)」。

●USB延長ケーブル

 最近は、ベッドの枕元などにあらかじめ充電用のUSBポートを用意しているホテルも少なくありませんが、設置場所がやや離れているせいで、手持ちの充電ケーブルをつないだまま手元で機器を使おうとすると、長さが足りないこともしばしばです。こうした場合、巻取りタイプのUSB延長ケーブルをひとつ携行しておくと、何かにつけて重宝します。百円ショップで売っている数十センチの長さのもので十分です。

若干離れたUSBポートと直結して使いたいときに重宝する。

●どこでも座れるリュック2

 ビジネスホテルは部屋が狭く、ノートPCを広げるためのデスクスペースもごくわずかということがしばしばです。折りたたみイスを内蔵したこの「どこでも座れるリュック2」があれば、ちょっと資料を広げたり、デスク上のいらない荷物を退避させるのに便利です。また、デスクのそばでリュックを立てた状態にしておけるので、荷物の出し入れがしやすくなる利点もあります。ただ、客先に持ち込むのに適したデザインではありませんので、ビジネスユースであれば商談に不要な資料や、衣類を持ち歩くためのサブバッグとして使うのがお勧めです。

サンコーレアモノショップの「どこでも座れるリュック2」。

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筆者プロフィール:山口真弘

テクニカルライター。PC周辺機器や電子書籍、電子辞書、ウェブサービスについてのハウツー記事をImpress Watch/ITmedia/CNETなどのWeb媒体に執筆。旅行の合間に仕事をこなすスタイルを実践しており、全国のビジネスホテルに滞在する日数は年間100日近くに及ぶ。著書に『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)など。