サーバーのパフォーマンスと価格競争力を高いレベルで両立する

 2017年に発売されたEPYC™ プロセッサはサーバー用CPUとして当初から性能の高さが評価され、スーパーコンピューターでの採用が先行した。実際にランキングの上位を占めるなど優れた性能を発揮し、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)での採用からデータセンターでの採用へと広がった。
 公表されている事例を挙げると、マイクロソフトのAzureやMicrosoft 365、グーグルのGoogle Cloud Platform、AWS(Amazon Web Services)といったクラウドのハイバースケーラーでEPYC™ プロセッサ搭載サーバーが大量に稼働しているほか、Yahoo! JAPANやGMOインターネットグループなど国内の大手サービスプロバイダーやクラウドおよびデータセンターの事業者にも広くEPYC™ プロセッサ搭載サーバーが採用されており、サービスとビジネスを支えている。
 EPYC™ プロセッサを搭載するサーバーの優位性について日本AMDの関根正人氏は「スーパーコンピューターなどのHPC領域でEPYC™ プロセッサ搭載サーバーが数多く採用されている通り性能への評価が非常に高く、一方でシステムの価格においても競争力が高いことから最近では企業のお客さまの業務用システムにもEPYC™ プロセッサ搭載サーバーが採用されるケースが増えています」と強調する。
 企業がEPYC™ プロセッサ搭載サーバーを採用する理由として、システム価格を抑えて処理性能が高いサーバーが導入できることが挙げられる。関根氏は「例えば従来は数多くの台数を導入しなければならなかった用途において、EPYC™ プロセッサ搭載サーバーを選択することで導入台数を半分以下に削減できるケースも珍しくありません」とアピールする。

産業向けのテクニカルコンピューティング領域での採用が活発

 システムの運用に必要なサーバーへの投資を抑えつつ、性能を向上させられることはサーバーを導入するユーザーにとって非常に魅力的なメリットであろう。しかしサーバーを販売するビジネスに携わるプレーヤーにとっては面白くない状況になってしまう。その点に関して関根氏は首を横に振って否定する。
 関根氏は「EPYC™ プロセッサ搭載サーバーは非常に高い性能を発揮しますので、最新テクノロジーを用いたコンテナ化された高度な仮想環境や大規模な仮想環境であっても、少ない台数で快適に動作させることが可能です。こうした仮想環境では基盤ソフトやアプリケーションなどのソフトウェアへの投資額が大きくなるため、サーバーの台数を削減して生じた予算に対してソフトウェアへの投資を提案したり、サーバーが接続されるネットワークやストレージへの投資を提案したりすることで、パートナーさまのビジネスを伸ばすことができます」とアドバイスする。
 コスト面だけではなく導入するシステムを通じた業務の改善、効率化にもEPYC™ プロセッサー搭載サーバーのメリットが享受できる。EPYC™ プロセッサー搭載サーバーの性能の高さは前述の通りだが、そのサーバーで稼働するソフトウェアについてもEPYC™ プロセッサーに最適化することで、さらなる性能向上が図られている。
 関根氏は「EPYC™ プロセッサーは産業向けのテクニカルコンピューティングソフトウェアのベンダーからも評価が高く、EPYC™ プロセッサーに最適化されたテクニカルコンピューティングでのアプリケーションソフトも出揃っています。例えば製品の設計、開発におけるシミュレーションに、EPYC™ プロセッサー搭載サーバーとEPYC™ プロセッサーに最適化されたシミュレーションソフトを利用することで業務にかかる時間を大幅に短縮でき、開発サイクルの短縮、開発工数の削減に寄与します。こうした用途でも多数の事例がありますので、ぜひ『AMDケーススタディ』あるいは『AMD CASE STUDY』で検索して世界中の導入事例(https://www.amd.com/ja/resources/case-studies.html)を参考にしてください」と語る。

AMDが公開しているEPYCプロセッサの導入事例

AMDが公開しているEPYCプロセッサの導入事例

 最後に関根氏は「AMD EPYC™プロセッサは、『AMD Ryzen™プロセッサ』に搭載されている『AMDメモリー・ガード』と同様に、メモリー内のデータをリアルタイムで暗号化する機能であるセキュア・メモリ・エンクリプション(SME)を搭載しており、ページテーブル単位でメモリー上のデータを暗号化して物理メモリーへの攻撃を保護します。またセキュア・エンクリプテッド・バーチャライゼーション(SEV)と呼ばれるAMD独自の機能で、仮想マシン単位で仮想OSごとの物理メモリーを暗号化することもできます。このようにサーバー用CPUにもAMD独自のテクノロジーが実装されており、サーバーを導入する際はコア数だけではなく、CPUのメーカーやモデルにも着目して製品を選んでください」とアピールする。

日本AMD株式会社
コマーシャル営業本部
セールスエンジニアリング担当
マネージャー
関根正人氏

日本AMD株式会社
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マネージャー
関根正人氏