【第30回】スライドショーを記録して渡す(2)
2017/01/31

コクヨのDAYS OFFICEが目指すもの
「オフィスらしさよりも、働く人らしさが大切」と提唱するコクヨが目指すのは、働く人が大切にしたい価値観を大事にできる余白のあるオフィスだ。「ワークスタイルも、ライフスタイルだ」と問いかけるコクヨの「DAYS OFFICE」が目指す新しい働き方のスタイルを探ってみた。
第7回
コクヨのDAYS OFFICEが目指すもの
文/田中亘
働く場の変革期に応えるワークスタイル研究の成果
コクヨの新しい家具ブランド「DAYS OFFICE」は、新しいワークスタイルとなる執務環境を提供する。昨年12月にテーブル3種、チェアー3種を発売していたが、今年の7月から正式に製品のラインアップを拡充した。新たに追加された家具は、コミュニケーションを誘発させる「ビッグカウンター」と「ビッグテーブル」、視線が抜けるデザインの「ウォールシェルフ」、リラックスできる布製の「ワイヤードソファー」、緩やかに仕切りができる「ラダースクリーン」。さらに、首都圏では「グリーンスタイル」も提案している。
これらのDAYS OFFICE家具を綺麗にレイアウトすると、オフィスの中はまるで洒落たカフェか、ホテルのオープンスペースのような風景になる。最近、都心部でもクリエイティブ系の企業では、エントランスや社員の休憩スペースを洒落たインテリアにする例が増えている。コクヨのDAYS OFFICEは、そうした雰囲気をオフィス什器の延長として導入できる家具だ。その開発の背景について、同社では次のように話す。
「現在、経営者はデスクなどの効率的な作業の場ではなくコミュニケーションの場を社員に積極的に提供することが必要な時代になっています。仕事のモチベーションをどのように湧かせるか、これがDAYS OFFICEの開発における根底にある思いです。世界の先進的なオフィスを分析したところ、オフィス内に“豊かな空間”があることで、インフォーマルなコミュニケーションが促進されて組織の柔軟性や自立性の向上、人材の新規採用などに好影響を与えています。しかし、ワーカーにとって魅力ある“豊かな空間”は、企業にとって手間とコストの面で大きな負担となり、投資に踏み切れない場合もあるでしょう。“負担が少なく豊かな空間が構築できる状況にするのがコクヨの一つの使命”と考え、DAYS OFFICEを開発しました」

抜け感のある緩やかな空間が、気づきや発見を生み、仲間とのコミュニケーションをつくる。
オフィスに居心地の良い空間を誰でもかんたんに
コクヨでは、DAYS OFFICEを空間構成家具と呼んでいる。特長は、従来のオフィス概念に捉われない執務環境を大がかりな内装工事を伴わずに構成できること。コンセプトは、「オフィスに居心地の良い空間を誰でもかんたんに」だ。つまり、空間設計のデザイン費やオーダーメイドの家具、ビル側への工事依頼など、空間構築をする際の手間とコストをかけずに、そうした雰囲気の中で仕事ができるオフィスを手軽に構成できるメリットがある。もちろん、単に椅子と机を並べるだけよりは投資が必要になるが、そのメリットをコクヨでは次のように指摘する。
- 新たな価値を創造するためのコミュニケーションの誘発
- 社員のモチベーションの向上と優秀な人財の確保と維持
- 働き方の変化に対応したオフィス空間の有効活用
実際に、コクヨの品川オフィスによる実地検証では、次のような効果が得られた。
- 部門をこえた社員同士のコミュニケーションだけでなく、経営層と一般社員とのコミュニケーションの活性化も行えた
- 新入社員や他拠点からの出張者からも、堅苦しくなくリラックスして働きやすいと高評価を得られた
- イベントスペースとしても活用するなど多様なシーンで利用され、ほぼ100%に近い稼働率で運用されている
コクヨの社内だけではなく、実際にDAYS OFFICEを導入した企業でも、カウンターやソファなどを入れたことで、オープンスペースの稼働率があがり、社員からも好評価が得られているという。この顧客の事例では、「これまでのミーティングスペースの置換えであり、特に内装工事などもしていないので最小限のコストでコミュニケーションスペースを創出できました」という。

家具を置いていくだけで、簡単に「居心地の良い空間」を実現。
これからのキーワードは「ワイヤレス」
ワーキング革命のために、ミーティングスペースをDAYS OFFICEを利用した洒落た空間に変革することは、世界的な企業の働き方を見ても、意味のある取り組みだ。机と会議室と客先だけを行き来する働き方では、社員のモチベーションを向上させるのは難しく、革新性のある発想や意見が生まれてくる可能性も低くなる。しかし、IT商材としてのワーキング革命を考えたときに、オフィス家具を提案するだけではビジネスにならない。その点について、コクヨでは興味深い指摘をしている。
「ノートPCやタブレットなど働くツールがモバイル化され、Wi-Fiでいつでもどこでも働けるデスクに縛られない時代背景の中で“DAYS OFFICE”は誕生しましたが、『居心地の良い空間』を追求するためには『ワイヤレス』が一つのキーワードだと考えています。電源や画面投映のためのケーブルなど、まだまだ働く場にはケーブルが存在します。ワイヤレス化を進めることで、もっと多様でストレスフリーな働き方をサポートできます。また、そうしたソリューションが『誰でもかんたんに』導入できるパッケージ化も普及には重要です。当社品川オフィスの“DAYS OFFICE”空間でも、ワイヤレス環境はテスト的に導入・運用しています」
つまりDAYS OFFICEの提案は、オフィスのワイヤレス化にもつなげられる可能性を秘めている。確かに、せっかく洒落たオフィス空間を作り上げても、ディスプレイの共有をケーブルの抜き差しで行っているのでは、せっかくのクリエイティブ空間が台無しになる。また、ワイヤレス化の促進は、結果としてオフィス内で電源ケーブルを使わずに長時間稼働するモバイル機器の導入促進にもつながる。現在では、Windows系2in1モバイルPCも、長時間のバッテリー駆動が可能なので、DAYS OFFICEとセットで提案すれば、まとまった台数を販売できるかもしれない。
デスクや収納庫と同じ感覚で家具を置くだけで、スモールスタートで洒落た空間を創出できるDAYS OFFICEの提案は、ワイヤレス化とモバイル機器の売上にもつながるワーキング革命の第一歩なのだ。

ワーカーが自ら「居心地の良い場所」を選ぶことでモチベーションをあげられる。
(PC-Webzine2016年10月号掲載記事)
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