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2017/02/15

ワーキング革命 - 第8回

日本オラクルが取り組む 美味しい働き方改革

日本オラクルは、青山の自社ビルのワンフロアを改装して、新しいカフェテリアをオープンさせた。新カフェテリアは、社員の多様なワークスタイルを支援し、ヘルシーなライフスタイルを支援する目的で開設された。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

340席の多様なカフェテリア形式の社員食堂

 日本オラクルの社内には、これまで社員食堂はなかった。日本法人が設立された初代社長の時代には、茶室やワインを試飲するVIPルームを設けることもあった。しかし、現在の青山の自社ビルに移転してからは、すべてのフロアを執務室として利用し、社員は食事のために外に出たり、弁当などを買ってくる必要があった。ただし、フロア内の多くはフリーアドレスになっていて、自由な働き方は推進していた。

 そんな日本オラクルが、社員食堂を作ろうと取り組んだきっかけは、VISION 2020という社内改革のテーマにあった。そこに掲げられている「業界でもっとも賞賛される会社になる」ために、社員食堂の開設に踏み切ったのだ。会社としての競争力の原資を社員のスキルに求め、その社員の業務に対する満足度を高めるための一環として、クラウドを積極的に活用したIT企業ならではのカフェテリアを開いた。

 その新カフェテリアは、340席の多様なレイアウトになっている。大テーブルを中心に、4人掛けのテーブル席や窓際に面したカウンター席に、カーテンで囲われた個室、そして円卓のあるVIPルームなど、社員だけではなく来客などももてなせる空間を用意した。中でも、窓際の席からは神宮球場やラグビー場、将来的には国立競技場も見渡せるので、スポーツのシーズンには格好のロケーションとなる。

 そのカウンターには電源があり社内のWi-Fiも利用できるので、社員は食事だけではなくPCを持ち込んで作業もできる。フリーアドレスのフロアとは違うインテリアや雰囲気の中で、よりクリエイティビティを発揮する仕事ができるわけだ。

メインキッチンではプレート600のほかに、麺や丼ものも用意。

イベントエリア。

モニターが用意されたボックスベンチ。

600kcalのヘルシーランチプレートを用意

 日本オラクルの試算によれば、IT企業で働く人たちのランチは、600kcalあれば十分だという。一般的な外食やコンビニ弁当では、カロリーオーバーになる心配がある。そこで新カフェテリアでは、「プレート600」というメニューを開発している。プレート600は、余分な内臓脂肪のカットや体重のコントロールを目的とした料理だ。健康を維持して生活習慣病を予防する。

 記者発表会では、プレート600の試食会も行われた。参考に出されたメニューは、冷豚しゃぶとたっぷりの野菜に麦飯とポテトサラダ、ドレッシングはノンオイルで食塩などもコントロールされている。不足しがちな栄養素を補充するために、ビタミンAにB1、B2、Cそして食物繊維も豊富なメニューになっている。さらに、短時間で栄養をチャージできるように、日替わりで10種類のスムージーも提供される。ちなみに、がっつり食べたい社員のために、プレート600だけではなく、麺や丼ものなど高カロリーなメニューも用意される。

 「ウォーターフォール」と名付けられた新カフェテリアでは、すべての食器にセンサーが取り付けられていて、ピックアップしたメニューの内容を自動で計算し、プリペイドカードで精算する。この一連の運営システムが、日本オラクルのデジタルショーケースとなっている。VISON 2020で「No.1のクラウドカンパニーになる」という目標も掲げている同社では、新カフェテリアの運営ノウハウも商材として活用していく戦略だ。

 もちろん、ワークスタイル変革を支える「マルチパーパス」なカフェとして、社内外のイベントや他部門とのコミュニケーション、ミーティングでの活用も促進していく。さらに、顧客との会食や記者発表、パブリックビューイングなどの多目的な利用も推進していく考えだ。

個室も用意されている。

記者説明会で提供されたプレート600とスムージー。

カフェテリア中央に設置されたビッグテーブル。木の組み合わせが多様性を象徴している。

創造的なヒラメキは会議室からは生まれない?

 IT業界の歴史を紐解くと、革新的な製品やテクノロジーの多くは、エンジニアがレストランの紙ナプキンに走り書きしていたり、居酒屋での会話の中から生まれたり、歩きながらとか、ちょっとした雑談の合間とか、何気ない日常のワンシーンから誕生している。反対に、大勢のスタッフが何時間も会議室に閉じこもっていても、革新的なアイデアは生まれない。

 こうした過去を研究したからなのか、米国の西海岸系の新興IT企業では、社員の福利厚生と創造性を引き出す目的で、カフェテリアなどの施設を充実させる傾向が高い。また、自社ビルがなく、充実した飲食施設を保有できないベンチャー系IT企業では、賃貸ビルの中よりも、カフェテリアにPCを持ち込んで仕事をする社員が多いと聞く。

 ソーシャルネットワークやビジネス向けのコミュニケーションツールが発達し、どこにいてもリアルタイムにスタッフとチャットやビデオメッセージを交換できるようになり、もはやオフィスの決められた机と椅子にいる必要がなくなってきた。そうなれば、いかに自分の働き方に合った「場所」で作業をできるかが、生産性にとっては重要であり、その「場」をマルチに提供することが、企業には求められている。日本オラクルの新カフェテリアは、老舗IT企業も時代の新たな波に乗ろうとする取り組みの一つといえる。

 自社ビルのワンフロアを社員食堂にするほどの投資はできなくても、会社の近くのカフェテリアで仕事ができるようにするとか、社内の休憩スペースを雑談が促進される空間にレイアウトを替えるなど、多くの企業が取り組めるワーキング革命もある。そのポイントを指摘し、Wi-Fiやモバイル通信、そしてモバイルデバイスの有用性を提案すれば、新たなビジネスチャンスにつながる。

窓際の席からは球場やラグビー場が見える。

食器が取り付けられセンサーで食事内容を自動で計算して清算する。

(PC-Webzine2016年11月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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